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心理学用語集: 内田クレペリン精神作業検査

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 ここでは、作業検査法である「内田クレペリン精神作業検査」をまとめます。
 他の作業検査法としては、「ベンダー・ゲシュタルト・テスト」があります。



内田クレペリン精神作業検査の特徴

 内田クレペリン精神作業検査は、Kraepeline,E(クレペリン)の行った精神機能の研究を「内田勇三郎」が応用して開発した、性格や適性評価の心理検査です。

 クレペリンは、1桁数字の連続加算過程に働く精神機能について研究した結果、下記の「作業機能の5因子」を抽出しました。

  1. 意志緊張:作業に臨んで起こる意志の緊張
  2. 興奮:同一作業の進行に伴う作業へ没頭
  3. 慣熟:作業遂行のために精神諸機能が統合される状態。
  4. 練習:慣熟に比べて比較的長く続く慣れ。
  5. 疲労:作業量を減少させる。

 そしてクレペリンは、これらの5因子が総合されたものとして「作業の推移」を解釈できるとしました。
 内田クレペリン精神作業検査は、この考えを基にして、1桁数字の連続加算という作業の量的・質的な推移から人格や適性を判定します。



実施及び判定方法
実施方法:

 実施方法は、ランダムに並んだ1桁の数字を連続して加算し、下1桁を記入します。
1分毎に行を変えながら、「前半15分、休憩5分、後半15分」とする30分法で行ないます。
 1分毎の作業量の推移を折れ線グラフにして、「作業曲線」を作成します。


判定方法:

 判定は、被検者の作業曲線と健常者のデータを基に作成された「定型曲線」を比較して行ないます。
 そして、作業量の安定性や、作業ミス(誤謬率)、作業量の変化(初頭、休憩、終末)などから、人格や適性を判定します。

 定型曲線(健常者常態定型)は、下記のような特徴があります。健常者(健常者常態定型)と病者・異常者の結果(非定型)には、明確な差が生じるとされます。

作業期間定型曲線の特徴
前半 前半は「U字またはV字型の曲線
  1. 初頭:1分目に「初頭努力」が見られ、著しく作業量が多い。
  2. 中間:2分目から6〜7分目に弛緩による作業量の低下が見られる。
  3. 終末:6〜7分目以降は、再び作業量が増加し、15分目に「終末努力」が見られ、1分目に次ぐ作業量となる。
後半 後半は「右下がりの曲線
  1. 初頭:「休憩効果」と慣熟効果が現れて、作業量が最大となる。
  2. 中間・終末:徐々に作業量が下降していき、右下がりの曲線となる。


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