ここでは、心理療法を選択する際のクライエントの「行動変容ステージ」と「変化レベル」、及び「統合的アプローチ」についてまとめます。
用語: 行動変容ステージ(変化のステージ) / 変化のレベル / 心理療法の選択 / 統合的アプローチ
クライエントの変化には「ステージ」と「レベル」があるとされます。
ここでは、クライアントの「行動変容のステージ」について説明します。
行動変容ステージは、ProchaskaとClementeによって考案された「多理論統合モデル(Transtheortical Model:TTM)」の中核概念の一つです。
保健指導や、依存症などの援助においては、「行動変容ステージ(行動変容の段階)」に応じて介入を行います。
行動変容ステージモデルとは、人が行動を変える場合は「1.無関心期、2.関心期、3.準備期、4.実行期、5.維持期」の5つのステージを通ると考えます(引用)。
すべてのステージで、その時期に応じた心理教育や心理的な働きかけを行うことで支援します。
1. 無関心期(前熟考期) |
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| 2. 関心期(熟考期) |
| 3. 準備期 |
| 4. 実行期: |
| 5. 維持期 |
維持期の後に、終結期(問題行動に戻る誘惑を経験しなくなり、逆戻りを予防する努力をしなくてもよくなる時期)を定義している場合もあります。 |
クライエントの変化のレベルには下記の5段階があります。
クライエントの変化の低いレベル(1〜)は、「外的(現れている事象など)」であり、高いレベルは「内的(無意識的なものなど)」です。
治療は低いレベルから進めることが推奨されています。
クライエントの変化のレベル(5段階) |
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Level 1 - 症状・状況的な問題 |
Level 2 - 不適切な認知 |
Level 3 - 現在の対人間葛藤 |
Level 4 - 家族、システム内の葛藤 |
Level 5 - 個人内葛藤 |
クライエントの「変化のステージ」と「変化のレベル」に応じて、支援方法を選択していくことが重要とされます。
変化のステージとレベルに応じて選択される心理療法の一例として下図に記載します。
心理療法には多くの学派がありますが、多くの研究において学派間の治療効果の違いは大きくないことを示している一方で、クライエントの動機づけが治療効果に多くの影響を及ぼすことが示されています。
そのため、クライエントニーズを尊重し、それに適合した心理療法を工夫して総合的により効果的な提供するという立場をとるのが「統合的アプローチ」とされます。
統合的アプローチの中にも、下記のような立場があります。