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心理学用語集: 心理療法の選択

2 - 心理療法心理療法の選択 > B1- 心理療法の選択

 ここでは、心理療法の選択についてまとめます。
用語: 心理師に求められる姿勢選択における留意点



心理師に求められる姿勢

 心理療法には様々な種類があります(心理療法)。
 クライエントの利益を考えるならば、1つの学派の心理療法を無批判に行うのではなく、そのクライエントにとって最も有益と考えられる支援方法を選択し、場合によっては組み合わせたり調整したりして支援を行う必要があります。

 心理師には下記のような姿勢が求められます。

  1. 常に幅広い心理支援について継続的に学び、最新の情報に触れていくように心がける。
  2. 心理支援を提供するものには、幅広い可能性の中で、支援の方法を選択し調整していく「柔軟性」が求められる。
     一方で、節操なく支援方法を変えていく過度な柔軟性は治療効果を損ねるため、バランス間のある柔軟性が必要。
  3. クライエントが自主的に心理支援の選択を行うことができるように、アカウンタビリティ(説明責任)を果たし、クライエントと率直に話し合う姿勢が求められる。


心理療法の選択における留意点

 心理療法を選択するときの留意点を下記に挙げます。
 クライエントの状態によっては、あえて心理支援を行わず、薬物療法や運動療法などを勧めます。

  1. 特定の診断に対するエビデンスを考慮する。
     クライエントの症状や診断に対して、実証的に支持されている心理療法(アメリカ心理学会)や、コクラン・レビュー(医学論文のレビューを集約したデータベース)などを参照し、エビデンスが示されている心理療法を優先的な選択候補とする。
     (参照:エビデンスベイストアプローチ

  2. クライエントの価値観や文化的背景を考慮する。
     心理療法の選択は、クライエントの価値観に基づいて、支援者との率直な対話を通して、クライエント自身が主体的になされる必要がある。
     (あらかじめ設定された良いアウトカムではなく、良いプロセスを重視。文化的価値観に敬意をはらう。心理療法の利点や限界を説明する。)

  3. クライエントの人格的な特徴に適合させる。
     クライエントの心理的アセスメントに基づき、特性に応じた心理療法の選択を行う。児童や学生など発達の段階によっても考慮が必要となる。
     リアクタンス(指示されると、自分で決めたい気持ちが高まる傾向)が低いクライエントには、「指示的」な心理療法の効果が高い。
     逆にリアクタンスが高いクライエントには「非指示的」な心理療法の効果が高いとされている。

  4. クライエントの変化のステージとレベルに適合させる。
     クライエントの「変化のステージ」と「変化のレベル」に応じて、支援方法を選択していく。

  5. 面接様式などを考慮する。
     クライエントの状況やニーズに合わせて、個人面接、カップル・夫婦セラピー、家族面接、集団面接(集団療法)や、それらの併用かといった面接様式の選択も必要となる。


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