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心理学用語集: アセスメントのアプローチ

4 - 心理査定・検査心理的アセスメント > 11- アセスメントのアプローチ

 ここでは、心理的アセスメントにおける観点やアプローチに関する理論についてまとめます。


心理的アセスメントの意義・目的

 心理的アセスメントとは、「面接や観察、心理テスト等を通して、クライエントを様々な視点からとらえ、クライエントが抱えている問題を理解すること」です。
 診断との違いは、不適応的な側面だけでなく、健康的側面やその人らしさとして行動特性や性格特徴、潜在的な可能性といった側面もとらえた全人格的な理解に努めることです。
 
心理的アセスメントは、心理的実践を根幹から支えており、その目的とは、下記の3点とされます。

  1. クライエントに対して適切な介入や支援を考えること。
  2. 支援の効果を測定すること。
  3. 予後や見通しを判断すること。

心理的アセスメントにおける倫理的配慮

 心理的アセスメントにおいても、心理的支援で重要となる「インフォームド・コンセント」、「アカウンタビリティ」といった倫理的配慮が求められます。

インフォームド・コンセント:

 クライエントに対して心理的支援を実践するためにはまずクライエントの同意を得ることが大前提となります。インフォームド・コンセントは、クライエントを守るだけでなく、心理師自身も守ることにつながり、適切な支援を行うために重要です。

 心理検査を用いたアセスメントにおいては、その説明と十分な理解に基づくクライエントの同意が必要となります。

  1. 心理検査が何を測定するものであるのか。何がわかるのか。
  2. 実施する際のクライエントへの負担や留意点
  3. アセスメント結果の説明。それにもとづく、今後の支援の提案。
アカウンタビリティ(説明責任):

 専門家として、「クライエントに対する説明」だけでなく、「連携する他職種の専門家への説明」も求められます。
クライエントにとって、他職種への連携が必要な情報は、クライエントの同意を得たうえで、連携する必要があります。

  1. 幅広い知識や技法の習得にもとづき、心理検査や心理的支援方法の目的やその提案理由などを説明できること。
  2. クライエントの守秘義務を実践しながらも、支援に必要な情報を他職種の専門家に連携できること。

心理的アセスメントの観点・アプローチ

 心理的アセスメントにおける重要な観点としては、「エビエンスベイスト・アプローチ」、「生物心理社会モデル」、「事実への適切なアプローチ」、「行動への着目」が挙げられます。

エビデンスベイストアプローチ:

(エビデンスベイスドアプローチ、エビデンスベーストアプローチとも訳されています)

 エビデンスベイストアプローチとは、エビデンス(科学的根拠)に基づいた方法のことです。アセスメントにおいても、心理職自身の得意不得意や興味関心だけでアセスメントの方法を選択するのではなく、明確なエビデンスがあり妥当性が認めらえた方法を用いることが必要となります。
 代表的なエビデンスの対象としては「介入方法の効果」「心理状態の理論(見立て)」「面接技術」などが挙げられます。効果判定法として、複数の研究結果を集めて統合し、それらを用いて解析を行う方法である「メタ分析(meta-analysis)」が大きな影響を及ぼしました。

 根拠も乏しく、時代に合わない手法を用いることはクライエントに不利益を与えることになってしまいます。有効なアセスメントのためには、必要最低限の知識や技法の習得は必要であり、また、最前線の情報や研究に関心を払うことが求められます。


生物心理社会モデル:

 クライエントを様々な視点で多元的にとらえるためには、「生物心理社会モデル」は欠かすことができない重要な視点です。
 生物心理社会モデルには「生物・心理・社会が並列なモデル」と「生物的な変容を中心に心理的な変容、社会的な変容が生じるという階層的なモデル」の2つがあります。

 例えば、会社員のクライエントがうつ状態を改善したいと来談してきている場合でも、その原因が職業性ストレス(心理面)ではなく、脳の腫瘍(生物面)によるものといった可能性もあります。
 生物心理社会モデルで考えるからこそ、医療機関や他機関、家族などとの連携ができるのであり、クライエントへの包括的な心理的支援へとつながります。


事実への適切なアプローチ:

 クライエントの心理的機序や真の問題を理解し、適切な心理的アセスメントのためには、事実に対して適切にアプローチする必要があります。
 事実には、クライエントを取り巻く「客観的事実」と、クライエント本人が抱く「主観的事実」があるため、それらを見極めながらアセスメントをしていきます。


行動への着目:

 アプローチの方法の1つとしては、クライエントの「行動」への着目があります。

  1. 行動は、「生物システム、心理システム、社会システム」の3側面が重なり合い、相互に影響を与えあう接点になっているともされている。
  2. 行動には、客観的な意味、クライエントの主観的な意味(認知が反映されている)、環境における機能的な意味(何らかの働き)が含まれていると考えられる。

 例えば、中学生が「学校を休みがちになる」という行動に着目します。
その行動は、「腹痛という体調不良」という生物面、「将来やアイデンティティを意識し始めたことにより両親への反発や抵抗」という心理面、「クラス替えによる周囲へなじめない不安など」という社会面などが相互に影響を与えた結果という考え方もできます。



心理的アセスメントと支援の関係性

 心理的アセスメントと治療・介入、あるいは、調査面接と臨床面接は、同時かつ区別なく(混然一体として)、進行していくものであるとされます。
 診断プロセス自体が最初から治療的性質を持ち、時とともに診断と治療が融合して、ともに広がり深まる経過をとると考えられます(=「診断と治療はともに進む」)。

情報収集を行うための「発問というプロセス自体」が治療的要素をも内包しています。

  1. 改善に向けた提言を生み出す。
  2. クライエントが体験を言葉にしながら、別の視点でとらえなおす。
  3. 新たな対処法をイメージする

 したがって「心理検査のみ」といった専門性を限定することは、心理検査で得られる可能性をそぎ落としてしまうことになりえます。
 心理士は、心理検査においても、心理検査を介したクライエントとのかかわりがもたらす多様な事象の意味を意識し、開かれた姿勢でいることが望まれます。



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