本文へスキップ

公認心理師・臨床心理士・心理職(心理系公務員)を目指す方々のための「心理学用語」を説明したサイトです

心理学用語集: アセスメント方法

4 - 心理査定・検査心理的アセスメント > 13- アセスメント方法

 ここでは、「心理的アセスメントの方法」と「収集する情報とその留意点」についてまとめます。
また「面接法と観察法の種類」(構造化面接、実験的観察法など)についてもまとめています。

用語:アセスメントの方法収集情報留意点面接法(構造化・半構造化・非構造化) / 観察法(自然観察・実験的観察・参与/関与観察)



     
心理的アセスメントの方法

 心理的アセスメントの方法としては、下記が挙げられます。

1. 面接:当事者や保護者からの聞き取り

 任意の相談では、当事者との「インテーク面接(主訴や背景の確認するために質問や観察を通して情報収集を行う面接)」がきわめて重要となります。
 現在の問題に対する認識とニーズを把握し、当事者の話の流れを損なわずに重要事項を把握していきます。
重要な情報は、クライエントと支援者との関係性が形成されるにつれて、開示されるものであり、詮索的・侵入的な聞き取りは避けて行います(情報収集の留意点)。

2. 行動観察

 話し方、姿勢、しぐさ、表情、症状に関連した反応や動作などの行動は心理的アセスメントにおいて重要な情報です。行動観察による情報収集を行います。
 行動観察は、面接の場面だけでなく、病棟・学校・保育園等といった生活の場面においても行われます。
 行動観察においては、当事者との「関わりながらの観察(関与観察)」にも留意します。

3. 心理検査

 心理検査によって情報を収集します。心理検査のローデータだけでなく、心理検査における当事者の言動も重要な情報となります。

4. 関係機関からの情報把握

 当事者と関係があった機関(相談機関、医療機関、教育機関、福祉施設など)からの情報は心理的アセスメントにおいて有益です。
 当事者および家族から同意を得たうえで、個人ではなく所属機関として情報を確認することが原則です。他機関との情報共有においては、その機関の役割や支援内容について十分に把握し、クライエントに対して、情報共有の目的についてアカウンタビリティを果たし、インフォームド・コンセントを得ます。

 ただし、児童虐待のケースは、関係機関は要保護児童対策地域協議会に加わって支援を行うことが推奨されており、その場合の機関同士の情報共有は法的に認めらています。



     
収集する情報と留意点

 心理的アセスメントにおいて把握が望まれる情報としては、下記のようなものが挙げられます。
 時系列に対応した出来事、問題点や課題、健康的で優れた資質や潜在的な可能性などを含めて把握します。

項目内容
主訴 主訴(困り事・問題)、来談の経緯、問題発生の経緯、当事者の現状認識や願いなど
状態像 現在の病気や既往歴、運動能力等の「身体的側面」。
 知的、情緒、行動などの「心理的側面」。
 家族や学校や職場などの他者との関係性、就学・就労状況、社会的スキルなどの「社会的側面」。
生育歴 出生時や乳幼児期の状態、保育園や学校等での適応状況。
 友人関係や学業の状況。就職先のストレスや対人関係
 犯罪等の経歴。家族との死別や深刻な被害や心理的外傷など。
家族の状況 家族構成とジェノグラム(3世代前まで)、家族成員の年齢、職業、特徴、死因、成員の関係性など
 経済状況や生活状況の把握(間取りなど)
所見、他今までに提示された医学所見、心理検査所見、その他

     
情報収集における留意点:

 情報収集における留意点としては下記が挙げられます。

  1. 事実へのアプローチ:
     情報把握においては、事実へアプローチし、客観的情報と主観的情報を見極めることが重要となります。
  2. ラポールの形成と質問の流れ:
     初回面接・インテーク面接においては、ラポールの形成が重要となります。詮索的・侵入的な聞き取りは避けて、情報収集を早まらずに行います。重要な情報は、ラポールの形成につれて当事者から開示されます。
     情報収集は、援助者が収集したい順番通りではなく、クライエントの話の流れを損なわないよう把握していくが大切です。
  3. 情報管理と守秘義務:
     心理的アセスメントにおいて用いられる情報は高度なプライバシー情報です。情報管理と守秘義務について十分な留意が必要です。

 その他の留意点としては、「犯罪や虐待等の被害の訴えや、法的・行政的対応が必要なケース」の対応についてです。
 これらのケースについては、支援者は最小限の情報把握にとどめ、司法面接などを学んだ専門家に委ねることが適切です(司法面接などは心理的支援のための面接と目的も方法も異なるため)。



     
面接法と観察法の種類

 アセスメントの方法として挙げた、面接(面接法)、行動観察(観察法)の種類についてまとめます。

面接法の種類:

 面接法は、クライエントと言語的・非言語的なやり取りを直接行うことを通して、その人を理解しようとする方法です。
 面接法の種類には、「構造化面接」、「半構造化面接」、「非構造化面接」があります。

   
種別内容
構造化面接 あらかじめ用意した質問内容にそって行う(質問紙型の面接)。質問内容や方法が決まっているため、情報の信頼性が高まる。一方で、質問項目以外の情報を得ることはできない。
半構造化面接 質問内容はあらかじめ決めるが、質問の変更や追加の質問を行う。質問項目以外の多様な情報も収集できる。
非構造化面接 質問内容をあらかじめ準備しない。多様な情報は収集できるが、面接者の技量に負うところが多い。

     
観察法の種類:

 観察法は、クライエントの表情や態度などの行動を観察することを通して、その人を理解しようとする方法です。
観察法の種類には、「自然観察法」、「実験的観察法」、「参与観察法(関与観察法)」があります。

種別内容
自然観察法 ありのままの行動を観察する方法(参照:観察法の特徴
実験的観察法 観察者が対象を意図的に操作し、その反応や変化を観察する。
参与観察法
(関与観察法)
 対象と実際にかかわりながら観察する(参照:Sullivanの関与しながらの観察


4 - 心理査定・検査 > 心理的アセスメント >