ここでは、司法・犯罪分野における法規や制度である「家事事件手続法」についてまとめます。
また、「司法面接」及び、司法・犯罪分野で「心理職に求められる技能や態度」についても記載します。
用語:
家事事件手続法は、家庭裁判所が管轄する家事審判事件及び家事調停の手続きについて定めた法律であり、2013(平成25)年に施行されました(以前は、家事審判法)。
家庭内の紛争紛争が対象で、訴訟の形式によらない非公開の手続きで処理を行い、成年後見・保佐や、婚姻・離婚、親子、親権、相続などに関する事件の審判や、親権者の変更、養育費の請求、遺産分割などの調停があります。
児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)とは、児童(18歳未満の者)の権利について定められた条約であり、日本は1994(平成6)年に批准しています。
これをうけて家事事件手続法に、「子どもの意思の尊重と意見表明権」が強化されました。
権利条約には「生命に対する固有の権利(6条)」、「出生の時から氏名を有する権利(7条)」、「できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利(7条)」、「自由に自己の意見を表明する権利(第12条)」などが定められています。
(外務省:児童の権利に関する条約)
ハーグ条約とは、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ国際私法会議)であり、日本は2014(平成26)年に批准しています。
国際結婚・離婚を受けて、子の国際的な奪取、不当な連れ去りを防止のための条約であり、子が「16歳未満」であると、子を奪われた親は、国の政府を通じて相手国にこどもの返還や面会を請求できます。
成年後見制度とは認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な人を保護し支援する制度です(法務省)。
成年後見人等の職務は「本人の財産管理や契約」などの法律行為に関するものに限られており、食事の世話や実際の介護などは、一般に職務の対象外です。また、後見人等は、契約等の法律行為の取り消しは行えますが、食料品の購入等の日常生活に関する行為の取り消しはできません。
被後見人等(本人)の法律行為は、後見人等が代理で行われますが、選挙権は制限されません。
成年後見制度には大きく法定後見制度と任意後見制度があり、さらに法定後見制度は判断能力の程度などに応じて「後見」「保佐」「補助」の3つから選べます。
後見人・保佐人は医療保護入院の家族等に含まれ、入院の同意を行う事ができます。
( 補足: ▼ 後見・保佐・補助の概要 )
成年後見制度の申し立ては、「本人、配偶者、親族(四親等)、検察官」などや「市町村長」が行えます。
成年後見人に選任される者が必要な資格等は無く、法定後見は家庭裁判所の審判により成年後見人等が選任されます。
「司法面接」とは、法廷でも使用することのできる精度の高い供述証拠を聴取することをめざした面接法の総称であるとされます。
特に、子ども、および障害者など社会的弱者を対象に、以下の3つの目的を持って行う面接ともされています(引用:司法面接支援室)。
負担をできる限り少なくするため、面接は原則1回であり、録画による記録を行います。
面接の流れは「ラポールの形成」、「こどもによる自発的な報告」、「オープンクエスション」、「WH質問(何,誰,どこ等)」となり、出来事に関する事実の聴取を行います。
「認知面接」とは、事件の目撃者から正確な情報を引き出すための捜査の面接手法です(文献:高村,2005)。
下記の4つの手法が用いられます。
司法・犯罪分野において、心理職に求められる技能や態度としては、下記のような点があげられます。