ここでは、司法・犯罪分野における「犯罪者被害者に関する法律」及び「裁判員制度」についてまとめます。また司法で行われる「精神鑑定」についても記載します。
用語:
犯罪被害者等基本法は、犯罪被害者等のための基本方針及び重点課題が規定された法律であり、2004(平成16)年に成立しました。
犯罪被害者等が受けたその被害を回復、軽減し、再び平穏な生活を営むことができるように支援する施策が規定されています。
犯罪被害者等とは、「犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為(交通事故も含まれる)」によって、被害を被った者及びその家族又は遺族をさします(日本国籍の有無は問わない)。
犯罪被害者保護法は、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律のことです。
犯罪被害者の刑事手続における負担の軽減を目的とした法律であり、「被害者の公判傍聴に対する配慮」,「刑事裁判終了前の公判記録の閲覧・謄写」、「公判期日又は公判準備に対する旅費の支給」などが規定されています。
被害者参加旅費等の支給は、法務大臣から委任された「日本司法支援センター(法テラス)」
が行います。
(詳細: ▼ 日本司法支援センター:法テラス)
犯罪被害者支援法(旧:犯罪被害者給付金支給法)は犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律のことです。
犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族又は重傷病を負い若しくは障害が残った者に対して、犯罪被害者等給付金を支給し、さらに被害等を早期に軽減するように支援します。
給付金の対象は、犯罪による被害が「遺族、重傷病、障害」となったものです。財産犯の被害は支給の対象外です。
「被害者支援センター」は都道府県公安委員会が犯罪被害者等早期援助団体として指定したものをさします。犯罪被害者等の支援に関する広報・啓蒙活動、犯罪被害等に関する相談、給付金申請の補助、物品の供与又は貸与、役務の提供などを行います。
裁判員制度は、国民の中から選ばれる裁判員が「刑事裁判」に参加する制度です。2009(平成21)年から開始されました。
裁判員は、法廷で行われる審理に立ち会い、裁判官とともに被告人が「有罪か無罪か」と「量刑」(有罪の場合にはどのような刑にするのか)を判断します。
「司法精神鑑定(精神鑑定)」は、法律家が精神障害に関する専門知識を補うために精神科医に精神医学的・心理学的な検査とそれに基づく判断を依頼することです(参考:NCNP )。
精神鑑定の種類には「刑事責任能力鑑定、医療観察法鑑定、成年後見鑑定」などが挙げられます。
刑事責任能力鑑定では、刑法第三十九条における「心神喪失(責任無能力)」、「心神耗弱(部分責任能力)」の状態であるかを鑑定します。
心神喪失とは、「精神の障害により事物の理非善悪を弁識する能力(事理弁識能力)がない状態」、または「その弁識に従って行動する能力(行動制御能力)のない状態」をいいます。
心神耗弱とは、心神喪失ほど能力が欠如する程度には達しないが、著しく減退している状態をいいます。
鑑定には時期等に応じて、下記のような区分があります。
「情状鑑定」は「裁判所が刑の量定、処遇方法を決定するために必要な智識の提供を目的とした鑑定」とされます。
精神科医や臨床心理士が行い、犯罪の動機や原因を本人の性格や知能、さらに生いたちにまでさかのぼって分析します。司法精神鑑定とは目的が異なります。
弁護人から請け負う鑑定は「私的鑑定」、裁判所から受命するものは「本鑑定」と呼ばれます。