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心理学用語集: アセスメント要請と実践

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 ここでは、心理的アセスメントが「要請される形態」と「支援方針の策定」についてまとめます。
用語:

  1. アセスメントの要請: 個人や家族, 医師, 非行児童や児童虐待等, 司法分野, 被災者など
  2. クライエントの理解支援方針の決定


心理的アセスメントが要請される形態

 心理的アセスメントが要請される形態としては、下記が挙げられます。

<任意による当事者や家族等からの依頼>
  1. 当事者や家族等からの依頼:
     当事者や保護者等が、自身が所属する機関(学校・職場の相談室、クリニックなど)に来談したときに、当事者のニーズや抱えている問題を把握するために心理的アセスメントを行う場合です。
     当事者や保護者等が、心理検査を目的として来談する場合もあります(他機関からの紹介、医師からの要請、個人的な理由など)。
  2. 病院や施設における医師からの依頼:
     当事者や家族等の同意に基づく、病院や施設における医師からの依頼を受けた場合です。
     入院治療においては、医師や他職種などから構成された支援チームの専門家として、入院治療を実施するための心理的アセスメントに協力します。
     入院治療では日常生活を中心とした環境全体が支援の場として位置づけられるため、あらゆる場面からの情報把握を行い、生活場面を中心とした総合的な心理的支援のための心理的アセスメントを行います。
<社会的な要請による心理的アセスメント>
  1. 非行児童や児童虐待等へのアセスメント:
     非行児童や児童虐待等の要保護ケースに対してアセスメントを行う場合です。要保護ケースの多くは、心理的支援を受けることの動機が非常に乏しく、第3者による児童相談所等への相談や通告等によって、支援の場につながる場合がほとんどです。
     このような場合、生命の危険も含めた危険の有無の「リスクアセスメント」が必須となり、緊急性が高い場合は早期に介入し、安全を確保する必要があります。
     当事者の家族は、心理的課題のみならず経済的困窮など多岐にわたる課題を抱えている場合も少なくないため、他機関や他職種との連携が必要となります。
  2. 司法分野におけるアセスメント:
     裁判所での審判のために活用される鑑別や調査のために心理的アセスメントを行う場合です。
     少年院等に収容された少年の更生や、受刑者の矯正のためにも、心理的アセスメントが求められます。
  3. 被災者に対するアセスメント:
     災害時に被災地で心理的アセスメントを行う場合です。被災者に心理的支援を行う場合は、現地で支援活動を行っている機関や団体を把握し、それらと連携しての支援が基本となります。
     現地の支援チームの一員として、インフラ整備を含めた多様な支援活動に協力し、そのうえで心理的支援のための心理的アセスメントを行うことが必要となります(関連: 被災者のケア )。


クライエントの理解と支援方針の策定
クライエント(ケース)の理解:

 心理的アセスメントを通して把握された情報をもとに、問題の背景にある課題やメカニズムを検討します。
 クライエントを症状だけでなく意識的・無意識的な問題を複合的にとらえ評価していくことは「ケースフォーミュレーション(事例定式化)」と呼ばれます。
 次のような観点をもってクライエントへの理解を深めていきます。

  1. 長期的な障害や疾患の存在:
     問題の背景に生来的な、あるいは事故等によって長期的に抱えた身体的障害、成長障害などがあるか。
  2. 過去の生育環境による影響:
     被虐待、家庭内不和、死別、その他心的外傷体験などといった生育環境や出来事が心的発達の滞りやゆがみ、現在の問題や症状に影響をあたえていないか。
  3. 2次障害としての不適応:
     抱えている障害や課題が、2次障害を引き起こしていないかどうか。現在の症状は2次障害であり、核心的な問題は別にないか。
  4. 強みや潜在的可能性:
     当事者の健康的な側面、強み、潜在的な可能性を見出す。

支援方針の策定:

 アセスメントの結果に基づいて、支援方針を策定していきます。
 支援方針は、「クライエントに対する直接的な支援」だけでなく、「周囲を取り巻く人たちに対する働きかけ」も必要となります。
 支援方針に必要な視点を下表にまとめます。

1.抱えている課題解決にむけた支援方針
 クライエントが抱えている課題に対して、治療やリハビリ、二次障害の予防や低減など、目的を整理し、支援構造や方法を決めていきます。
2.家族、学校、職場等に向けた支援方針
 クライエントの家族や所属している組織・機関の環境が、当事者の問題や症状の原因となっている場合もあります。
 家族や所属機関を理解したうえで、協力関係を構築し、ともに支援していくための支援構造や方法をきめていきます。関連機関や関係者と合同カンファレンスを行うことは有効とされます。
3.潜在的可能性を引き出すための方針
 現在の環境の中で、クライエント本人の健康的側面や資質が活かされていない場合も少なくないため、潜在的可能性を引き出すような方針を決めていきます。
4.すでにある支援者や支援機関への情報共有
 すでにある支援者や支援機関へ情報共有をすることで、クライエントへの理解が深まり、支援の充実につながることも可能となります。
 クライエントに関わる支援者間で、必要な役割を担いあうことで、多面的に支援することが可能となります。


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