ここでは、精神障害の診断方法の種類についてまとめます。
診断方法の種類としては、「状態像診断と伝統的診断」、「操作的診断と事例定式化」が挙げられます。
用語 : 状態像診断・伝統的診断 / 操作的診断(ICD-10 / DSM-5) / ケース・フォーミュレーション(事例定式化)
日本における診断の分類の1つには、「状態像診断」と「伝統的診断」があります。
「状態像診断」とは、症状によってある状態を診断することをいいます。状態像とは、症状のパターンを型にまとめたものをさします。
例えば、気分の落ち込み、精神運動制止、不眠などの症状のパターンならば、状態像は「抑うつ状態」となります。
伝統的診断とは、原因を基準とした診断であり、外因性、内因性、心因性の3つに分類されます。
解りやすさという長所はありますが、現実には、原因は相互に影響しているため、1つに帰結させることは難しいです。
他の診断の分類としては、「操作的診断」と「事例定式化(ケースフォーミュレーション)」があります。
「操作的診断」とは、診断基準を設け、その基準に症状を当てはめることで診断することをいいます。
WHOの疾患分類である「ICD-10」や、アメリカ精神医学会による「DSM-5(精神疾患診断・統計マニュアル)」がこの方法にあたります(参照:障害・疾病の分類)。
ICD-10は、日本の障害者の認定等に用いられている診断基準です。今後ICD-11へ改訂される予定です。
DSM-5には、ICD-10の診断コードが対応づけされています。DSM-5から、自閉症スペクトラムに代表されるように「スペクトラム(連続体)」の概念が導入されており、重症度が定義されるものがあります。
( 補足: ▼ DSM-5の特徴 )
「事例定式化」とは、「ケース・フォーミュレーション」とも呼ばれ、障害を症状からだけではなく、クライエントの意識的・無意識的な問題や不適応感を心理面・現実的な生活面から捉えます。そして、それらの背景にある要因を整理し、介入へと繋げるように複合的に評価することをさします。
以下に事例定式化の特徴を挙げます。