精神障害とは、「精神や行動における特定の症状を呈することによって、著しい苦痛や社会的な機能の低下(機能的な障害)を伴っている状態」とされます。
ここでは、精神障害を理解するために「精神症状」についてまとめます。
精神症状としては、「抑うつ」、「躁」、「不安」、「強迫」、「せん妄」、「記憶障害」、「幻覚」、「妄想」、「思考障害」などが挙げられます。
精神症状 | 説明 |
---|---|
抑うつ | 気分の落ち込み、精神運動活動が抑制している状態です。気分の落ち込み自体は、健康な一過性の感情です。
|
躁 | 気分が高揚し、精神運動活動が亢進している状態です。自尊心は、肥大し、自信にあふれ、活力が亢進します。
|
不安 | 漠然とした対象のない恐れの不快感情のことまたは、不快感を伴った安らかではない状態です。
一方、「恐怖」とは、特定の対象に対する恐れの感情であり、対象によって、高所恐怖、閉所恐怖、対人恐怖、不潔恐怖、などがあります。
|
強迫 | 感情に裏付けられたこだわり・とらわれ(優格観念)があり、それが繰り返し生じる思考である「強迫観念」とそれを打ち消すために繰り返す「強迫行動」のことをさします。 優格観念自体は、健康な心理反応ですが、強迫となると不安が引き起り、思考や行動に悪循環が生じます。
|
せん妄 | 意識と注意の障害であり、悪性の寝ぼけと言えます。急性の発症、日内・日間変動が激しい事を特徴とし、ほとんどが一過性です。
意識レベルは変動し、「見当識の障害」がみられることがあり、通常は睡眠や食事のパターンがひどく乱れます。
|
記憶障害 | 体験した出来事の記銘、保持、想起ができない状態です。下記のような区別がなされます。
|
幻覚 | 外的な刺激が存在しないにもかかわらず、真の知覚と区別できない知覚体験をすることです。
幻視、幻聴、幻味、幻臭、幻触や、身体感覚で表現しにくい体感幻覚があります。 |
妄想 | 不十分な根拠に基づく強固な確信性があり、説明や反証による「訂正不能」な不合理な信念のことです。
|
妄想とは、不十分な根拠に基づく強固な確信性があり、説明や反証による「訂正不能」な不合理な信念のことです(教育的・文化的背景の観点から考えると不合理)。
妄想には、大きく「一次妄想」と「二次妄想」があります。
一次妄想とは、「突然不合理な思考がうかび、直感的事実として確信される信念」をさします。
二次妄想とは、「主観的体感に関する、本人なりの意味づけ(発生的了解)として生じる信念」をさします。
一次妄想と二次妄想の明確な分類は難しいとされてもいますが、一次妄想は「妄想気分」「妄想知覚」「妄想着想」「妄想表像」「妄想覚性」の5種類に分類されます。
( 詳細: ▼ 一次妄想 )
主に二次妄想(本人なりの意味づけとして生じる信念)を対象とした、内容的な妄想による分類は下記のものが挙げられます。
妄想の種類と内容 |
---|
被害妄想・関係妄想:
|
誇大妄想:
|
微小妄想・虚無妄想:
|
被影響妄想(自我障害):
|
カプグラ症候群とは、友人や配偶者、両親その他近親者などが、「瓜二つの外見の別人に入れ替わってしまった」と誤認する妄想です。
配偶者、両親など自分が愛着を持つ人物が偽物であることが妄想の主題であり、入れ替わった対象(偽物)に対して猜疑的、被害的であることが多いとされます。認知症の周辺症状として現れます。
カプグラ症候群のほか、「フレゴリ症候群」、「相互変身妄想」、「自己分身症候群」が妄想性人物誤認症候群としてまとめられています。