ここでは、精神疾患の薬物療法に用いられる向精神薬の「副作用」についてまとめます。
用語:
薬剤の利用による副作用の出現は、患者に大きな不安を招き、服薬に対する患者のアドヒアランスに大きく影響します。
「アドヒアランス」とは、患者の積極的な治療方針の決定への参加と決定後の自らの行動のことをさします。
ここでは副作用として「耐性」、「薬剤性せん妄」についてまとめます。向精神薬固有の副作用については、後述の「向精神薬の副作用」を参照してください。
「耐性」とは、長期に薬剤を投与を続けると臨床効果が低下することです。同じ効果を得るために、より多くの物質の摂取が必要になり、一部の向精神薬にも生じます。
耐性の形成は、薬剤に対する身体依存と関連し、投与を急に中止すると離脱症状(物質使用を中止することによって生じる、不眠、一過性の錯覚などの病的な症状)が出現します。
「薬剤性せん妄」とは、薬剤が投与されたことによって引き起こされた「せん妄」のことです。
特に、高齢者は、「薬剤の吸収が遅い、代謝・排泄が低下、血液脳関門に障害がある」等の要因によって薬剤性のせん妄が引き起こされる場合があります。
向精神薬の種類別にその副作用をまとめます。
抗精神病薬の主な副作用 |
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| 抗うつ薬の主な副作用 |
【三環系抗うつ薬】(抗コリン作用が強い)
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【SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)】
(補足:▼ セロトニン症候群)
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【SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)】
| 抗不安薬・睡眠薬の主な副作用 |
「非ベンゾジアゼピン系」の薬剤の方が「ベンゾジアゼピン系」よりも副作用が少ないです。
【ベンゾジアゼピン系薬剤 (エチゾラムなど)】
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【非ベンゾジアゼピン系薬剤 (メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬)】
| 気分安定薬の主な副作用 |
気分安定薬の副作用は、急性のものもありますが、主に長期使用において生じる副作用です。
| 精神刺激薬の主な副作用 |
| 抗認知症薬の主な副作用 |
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抗精神病薬等の副作用としてみられる「錐体外路症状(EPS)」とは、筋緊張が低下し、不随意運動を伴う多動状態です。下記のようなものが挙げられます。
「抗コリン作用」とは、神経伝達物質であるアセチルコリンがその受容体に結合するのを阻害する作用の事です。
抗コリン作用による副作用としては、口渇、便秘、悪心、排尿障害などがあります。三環系抗うつ薬は抗コリン作用による副作用が強く、SSRIやSNRIは抗コリン作用が抑えられています。
賦活症候群とは、抗うつ薬であるSSRIやSNRIの副作用であり、「不安、焦燥、不眠、敵意、衝動性、易刺激性、アカシジア、パニック発作、軽躁、躁状態」などの症状が現れます。また、悪化するとリストカットなどの自傷や、自殺行為に至ることもあります。
双極性障害の場合は、うつ状態から躁状態へと躁転する場合もあるため、慎重な投与が必要とされます。