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心理学用語集: 統合失調症

3 - 精神病理 > 統合失調症 > 31- 統合失調症

 ここでは、最も代表的な精神病である「統合失調症」の症状とその援助方法についてまとめます。
用語:有病率統合失調症の基本症状DSM-5診断基準援助方法

統合失調症の有病率

 統合失調症の生涯発病率は「約1%」であり、「10代半ばから30代半ば」に発症します。男女差や地域差は少ないとされています。
 発症には遺伝的な影響が大きいとされており、神経伝達物質である「ドーパミン」の放出が異常である(ドーパミン仮説)といった生物学的要因によるとされていますが不明な点は少なくありません。統合失調症の歴史や概念形成、及び発症要因に関しては「統合失調症に関する理論」を参照してください。

 統合失調症は、慢性、進行性の障害であり、「発症年齢が若いほど、そして、遺伝要因が大きいほど」予後(見通し)は悪いとされます。



統合失調症の基本症状

 統合失調症の基本症状には、幻覚・妄想といった「陽性症状」と、感情鈍麻・意欲低下といった「陰性症状」があります。

  1. 幻覚・妄想
     自分を悪く評価する、言動に命令するなどの幻聴。何者から迫害を受けるなどの被害妄想。
  2. 自我障害:
     次々と考えが浮かびまとまらない(=自生思考)。作為体験など思考や行動における能動感と、自他境界感の喪失。
  3. 不統合:
     まとまりのない会話や言動(連合弛緩、支離滅裂、言葉のサラダ)。目標にして向けて思考や行動を統合することの障害。
  4. 精神運動貧困:
     感情鈍麻、意欲低下、自発性低下などの陰性症状。
  5. 病識困難:
     症状についての自己認識の低下。
  6. 職業・学業上の社会生活機能の低下:
     対人関係、身辺処理、等々の困難。

 妄想や幻覚の知覚において、統合失調症とそうでない人の違いは、それが妄想や幻覚だと「訂正可能」かどうかという点です。

 幻覚・妄想は、自我障害から説明されることもあります。統合失調症の患者は自我障害により、自他の境界が曖昧なため、実は自分自身の一部である「内在他者(自分の内部に取り込まれた他者のイメージ)」が本当の他者のように感じられてしまいます。 そして、その声が聞こえるのが幻聴であり、「内在他者」に操作される感覚が妄想であると言えます。



DSM-5の診断基準

 統合失調症は、DSM-5では「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性症群」に含まれます。
 DSM-5での統合失調症の基診断基準は、以下の5項目のうち2つ以上(*)が1ヶ月以上常時存在し、前駆期、残遺期を含んで6ヶ月以上継続することとなっています。
*これら2つのうち少なくとも一つは1,2,3であること。

  1. 妄想
  2. 幻覚
  3. まとまりのない会話
  4. ひどくまとまりのない,または緊張病性の行動
  5. 陰性症状(感情の平板化、思考の貧困、意欲の欠如)

 統合失調症は「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性症群」の1つです。
統合失調症スペクトラム障害には、以下のような診断名を含みます。

  1. 統合失調型パーソナリティ障害:認知や行動が風変りなパーソナリティ障害
  2. 妄想性障害:妄想が1ヶ月以上持続するもの。行動は奇異でない。
  3. 短期精神病性障害:該当症状が1つあるが、1日〜1ヶ月で回復するもの。
  4. 統合失調症様障害:該当症状が2つあるが、持続が1ヶ月以上6ヶ月未満のもの。
  5. 統合失調感情障害:気分障害と統合失調症の症状が同時に存在し、気分障害がない状態で2週間以上幻覚や妄想が存在したもの。

統合失調症の援助方法

 統合失調症に対する援助法としては、「薬物療法」が中心となります。
 寛解のために、「抗精神病薬」を継続的に服用することが必要です。
「陽性症状」の軽減に効果がありますが、陰性症状には対処できません。また発症した「初期」の方が慢性よりも、より効果が高いとされます。

 薬物療法と合わせて、「心理療法」や「ソーシャルスキルトレーニング・心理教育」を行います。

<心理療法>
 心理療法に関して、最近は陽性症状への対処について、認知行動療法の適用も行われるようです。陽性症状が治まることで、社会的な生活を取り戻すことができるようになってゆきます。
 
<ソーシャルスキルトレーニング・心理教育>
 統合失調症の場合、症状以外に、長期の療養の結果生じる社会的能力の低下や社会的な不利益の問題が重く、それに伴う喪失体験もあります。
 社会的経験の不足を補う「ソーシャルスキルトレーニング」や「心理教育」を併用することで、病識を持たせ、障害やそれに伴う喪失体験を心理的に受容してもらう援助を行います。

 統合失調症は再燃しやすい疾患ですが、症状が緩和して自尊心や自己効力感や社会生活を回復して、その人らしい生活が可能な状態(リカバリー)に至ることが多いとされます。「完全なリカバリー、軽い障害を残したリカバリー、継続的支援が必要な不完全寛解状態」の3つの状態がそれぞれ3分の1づつの割合であるとされています。



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