ここでは、「双極性障害」についてまとめます。ICD-10では、「気分障害」の下位分類の1つとなります。
双極性障害は、うつ状態と躁状態を繰り返す慢性疾患です。日本の有病率は、双極I型,II型合わせて、0.7%程度とされます。
用語:基本症状 / 双極I型 / 双極II型 / 援助方法
基本症状である躁状態は、DSM-5において躁病エピソードとして定義されています。
「躁病エピソード」とは、症状がほぼ毎日「1週間」持続する場合です。
「軽躁病エピソード」とは、ほぼ毎日「少なくとも4日間」持続する場合です。
下記に躁病エピソードを記載します。(エピソードの[]内の英数字はDSM-5の基準を表す)
DSM-5の「双極性障害および関連障害群」に含まれる診断名としては、「双極I型障害」、「双極II型障害」、「気分循環性障害」があります。
躁状態の時には病識が持てず、爽快感が強いため、自発的な治療導入・継続が困難な場合もあります。
そのために、経済的、社会的損失を被らなように、非自発的な入院が必要な場合もあります。
また双極性障害の方が、うつ病(単極性うつ病)よりも、自殺リスクが高いことが報告されています。
大きな不利益や日常生活に著しい支障をきたすような明白な躁状態の症状があります。
「躁病」のみ、または「躁病とうつ病の発症」が診断基準となります。
周囲に迷惑がかかるほどではないが、周囲からわかるレベルの躁状態の症状があります。
「軽躁病」と「うつ病」の発症と反復が診断基準となります。うつ病の期間(うつ病相)は、軽躁病(躁病相)よりも長く続きます。
双極性障害の原因は解明されておらず、遺伝的な要因やストレスなどの外的要因などが関連しているとされています。
病前性格も関連がなく、心理療法だけで根本的な治療はできません。
治療は、「気分安定薬」を用いた薬物療法が基本です(リチウム、バルプロ酸など)。継続的に服薬します。
また、治療継続への動機付け、生活リズムの安定や対人関係のための心理的・社会的支援も併用します。