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心理学用語集: テスト・バッテリー

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 「心理検査(概要)」にまとめてある通り、心理検査には、さまざまな種類があり、それぞれ長所と短所を持ちます。
 それぞれ検査の長所を生かし、短所を補い、より全体的なクライエントの理解ために重要なのが「テスト・バッテリー」です。
 ここではテスト・バッテリーと、心理検査の利点と限界についてまとめます。

用語:テスト・バッテリー反応自由度と客観性) / 心理検査の利点と限界心理検査の留意点



テスト・バッテリー

 テスト・バッテリーとは、「クライエントを多面的、重層的に捉え全体的な理解をするために、複数の心理検査を組合せて実施すること」をさします。
 心理検査の組合せ自体を意味する場合もあります。

  1. 「多面的」とは、「知能」や「パーソナリティ」など、異なる複数の特性(測定対象)に関して理解をすることです。
  2. 「重層的」とは、ある1つの特性に対して複数の階層に関して理解をすることです。例えば、パーソナリティ検査であれば、意識レベルを質問紙法、前意識・無意識レベルを投映法で捉えることです。(参照:質問紙法と投影法の比較

 テスト・バッテリーは、「被検者への負担を軽減する」といった下記のような点に留意して行います。

  1. 検査目的を明確にする。
  2. 各検査の長所や短所といった特徴を理解し、実施や解釈に習熟している。
  3. 被検者への負担を軽減し、必要最低限の組合せで最大限の情報を得る。
  4. 検査順番に注意し、導入しやすい検査から始める。

 検査順番に関して、「大人は質問紙法」が導入しやすく、「子どもは描画法」が導入しやすいとされます。大人に対するパーソナリティ検査としては、例えば、「MMPI(質問紙)、ロールシャッハテスト(投映法)、バウムテスト(投映法)」といったテスト・バッテリーが考えられます。


心理検査の反応自由度と客観性:

 代表的な心理検査の「被検者の反応の自由度」と「検査の客観性」は下図にように表現されます。
 反応の自由度が高いほど、客観性は低くなります。




心理検査の利点と限界

 心理検査は、クライエントを理解するための有効な方法ですが、当然限界もあります。下表に心理検査の利点と限界をまとめます。

心理検査の利点
  1. 観察法や面接法では曖昧で見過ごされる点を捉えられる。
  2. 数量化や視覚化され、他者と共有しやすい形にできる。
  3. 治療の効果などの測定が可能である。
心理検査の限界
  1. 心理検査はあくまで被検者の一側面を測定しているだけである。
  2. 被検者の意識的な評価懸念や無意識の防衛、検査者の主観により結果が歪曲されうる。
  3. 検査状況の環境的環境や、検査者と被検者の関係が結果に影響を与える。



心理検査の留意点

 心理検査は、クライエントを理解するための有効な方法ですが、「クライエントの支援のために実施するもの」であり、カウンセラーや検査者のためではありません。

 検査結果においては「テスト結果を絶対視しない」という留意が必要です。テスト結果を偏重する事は、「クライエントへの無用なレッテル貼りとなり、適切な理解ができず、治療の阻害にもなる」ということにもなりかねません。

 心理検査の限界をクライエントに説明したうえで、不適応な面だけでなく健康面にも着目し、心理検査の結果を治療に生かすということが重要となります。

 心理検査を行う際には、インフォームド・コンセントといった倫理的配慮は当然ながら、心理士としての姿勢にも留意します。
 事前にクライエントの情報を可能な限り収集したうえで、検査においてもラポールの形成に努めます。
 検査についての説明を行い、被検者に生じる不安の解消に努めても、その不安が解消されない場合は、被検者とどう対処していくかを話し合うことが重要です。

   
検査における留意点
検査の選択
  1. テスト実施の目的を明確にする。(なぜ心理検査を実施する必要があるのか)
  2. 被検査者の時間的・精神的な負担に配慮する。目的と検査者の状態からどの検査を行うかを決定する。
  3. 検査者のテスト実施や評価の習熟度が十分であるようにする。
検査の同意
  1. 被検査者への検査目的の適切な説明と、実施の了承を得ること。
    インフォームドコンセント
検査の実施
  1. 検査中は、クライエントの疲労や精神状態に配慮し、励ましながら行う。長時間にわたる場合は必要に応じて休憩を取り、場合によっては翌日などに日を分ける。
  2. 検査中のクライエントの状態を観察し、検査結果の判断要素に生かす。(関連:心理士としての姿勢
検査の評価
  1. 質問紙は、被検査者により歪曲される可能性もあり、また検査者の熟練度や主観に依存することを理解して評価する。
  2. テストの結果について絶対視せずに、総合的な判断を行うこと。無用なレッテル貼りは、治療を阻害することにもなる。
  3. 所見の作成は、読み手が本人像をリアルにイメージでき、具体的でわかりやすい文章に努める。(関連:所見の作成と報告
検査のフィードバック
  1. フィードバックは、心理テストの特性を説明した上で、クライエントとのコミュニケーションとして利用し、治療的行為に生かす。(関連:心理的アセスメントと支援の関係性
  2. クライエントの長所や適応的な部分に目を向けたフィードバックを行う。
  3. 一般公開されていない検査用紙及び、記録用紙は、検査の著作権の観点や、再検査時などの結果への影響の観点から、被検者にコピーを渡さない。



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