「心理検査(概要)」にまとめてある通り、心理検査には、さまざまな種類があり、それぞれ長所と短所を持ちます。
それぞれ検査の長所を生かし、短所を補い、より全体的なクライエントの理解ために重要なのが「テスト・バッテリー」です。
ここではテスト・バッテリーと、心理検査の利点と限界についてまとめます。
用語:テスト・バッテリー(反応自由度と客観性) / 心理検査の利点と限界 / 心理検査の留意点
テスト・バッテリーとは、「クライエントを多面的、重層的に捉え全体的な理解をするために、複数の心理検査を組合せて実施すること」をさします。
心理検査の組合せ自体を意味する場合もあります。
テスト・バッテリーは、「被検者への負担を軽減する」といった下記のような点に留意して行います。
検査順番に関して、「大人は質問紙法」が導入しやすく、「子どもは描画法」が導入しやすいとされます。大人に対するパーソナリティ検査としては、例えば、「MMPI(質問紙)、ロールシャッハテスト(投映法)、バウムテスト(投映法)」といったテスト・バッテリーが考えられます。
代表的な心理検査の「被検者の反応の自由度」と「検査の客観性」は下図にように表現されます。
反応の自由度が高いほど、客観性は低くなります。
心理検査は、クライエントを理解するための有効な方法ですが、当然限界もあります。下表に心理検査の利点と限界をまとめます。
心理検査の利点 |
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| 心理検査の限界 |
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心理検査は、クライエントを理解するための有効な方法ですが、「クライエントの支援のために実施するもの」であり、カウンセラーや検査者のためではありません。
検査結果においては「テスト結果を絶対視しない」という留意が必要です。テスト結果を偏重する事は、「クライエントへの無用なレッテル貼りとなり、適切な理解ができず、治療の阻害にもなる」ということにもなりかねません。
心理検査の限界をクライエントに説明したうえで、不適応な面だけでなく健康面にも着目し、心理検査の結果を治療に生かすということが重要となります。
心理検査を行う際には、インフォームド・コンセントといった倫理的配慮は当然ながら、心理士としての姿勢にも留意します。
事前にクライエントの情報を可能な限り収集したうえで、検査においてもラポールの形成に努めます。
検査についての説明を行い、被検者に生じる不安の解消に努めても、その不安が解消されない場合は、被検者とどう対処していくかを話し合うことが重要です。
検査における留意点 |
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検査の選択:
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検査の同意:
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検査の実施:
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検査の評価:
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検査のフィードバック:
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