ここでは、心理的アセスメントにおいて心理士に求められる姿勢と所見の作成についてまとめます。
用語: アセスメントにおける心理士の姿勢 / 所見の作成と報告
心理的アセスメントによって得られた様々な情報は、検査者の姿勢といった「検査者の諸要因に対する1つの反応」といった側面を持つと考えられます。
心理的検査得られる情報としては、「心理検査のローデータ」だけでなく、「クライエントの受験時のしぐさ、表情、声のトーン、話した内容」などがありますが、それらは検査者の下記のような要因によって影響されると考えられます。
検査者のあり方によって、アセスメントの広がりや深みに大きな差が生じるため、検査者には下記のような基本的な姿勢が求められます。
被験者の生活を想像し、検査状況やその課題を具体的な生活に関連付けて考え抜くという姿勢が求められます。
心理検査を実施し、その結果の提言が、クライエントにとって受け入れられるかは、各課題やローデータをどれだけクライエントの生活に密着させてとらえたかという思索と想像力の質にかかっているともされます。
アセスメントにおいて、「クライエント自身や取り巻く環境のもつ潜在的な可能性」を見出していくという姿勢が求められます。
アセスメントとは、クライエントの問題点や課題などを明確にするための深い分析や解釈をすることだけではなく、問題点や課題を改善していくための潜在的な可能性を見出していくことでもあります。
より良いアセスメントには、批判的、修正的、断定的なスタンスに偏重せず、背景にある心理的な力動、個人的な不安や葛藤への共感的理解、それを可能とするような想像力が必要とされます。
心理士には、クライエントを取り巻く環境や援助者を含めた他者との関係性を客観的、冷静に俯瞰できる「眼」と、潜在的な可能性を見出し、それに期待や信頼を寄せるような「眼差し」を同時に兼ね備える必要があるとされます。
心理検査においては、検査者からの影響を極力少なくするために、検査者の主観的感情や個人的な要因をできる限り排除するような風潮すらあったとされます。
しかし、「治療と診断はともにすすむ」という言葉にあるように、心理検査においても検査者自身の内面に生じたことを正直に見つめ、クライエントと接していくという視点は重要となります。
心理検査の実施前に、事前に入手したクライエントの情報に対して、見えるものとその背景にあるものに思いをめぐらせ、その過程のなかで自らの内面に生起したものを正直にみつめるということは、心理的アセスメントにおいて重要なプロセスになると考えれます。
所見とはアセスメント結果と見立てのことです。所見を文章化し、被援助者を支援するチームや他の関係機関等に提供することは専門職として重要なスキルとされます。
鋭い分析や論考の記載がよい所見とは限らず、「読み手が本人像をリアルにイメージでき、具体的でわかりやすい文章」であることが重要です。
その他、「結果を主観で歪めず、事実と所感を明確にすること」、「不明瞭な点を明確にする」なども重要とされます。
心理師は所見を、組織内のチームメンバ(医療スタッフなど)や、必要に応じて関係機関等と連携します。
所属組織以外の他機関へアセスメント結果の連携を行う時は、「クライエントの同意を得る」必要があることにも留意します。
クライエント本人に対して検査結果、及び所見の報告する際には下記に留意します。