ここでは、心理的アセスメントの方法である「心理検査」の概要についてまとめます。
心理検査とは、「人間の知能、パーソナリティ、発達、精神機能や心理状態などがどのようなものであるかを知り、個人や集団を理解するための検査」をさします。
心理検査の種類は、「検査対象」の観点と「検査方法」の観点から分類されます。
用語:
心理検査の検査対象としては、「知能」、「発達」、「パーソナリティ(人格)」、「認知機能(神経心理)」、「心理状態」が挙げられます。
各測定対象に対する心理検査の例を下表にまとめます。
対象 | 代表的な心理検査名 |
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知能検査 | 知能検査(概要)説明 |
発達検査 | 乳幼児・児童等の発達検査
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パーソナリティ | |
神経心理学的/ 認知機能検査 | 神経心理学的検査
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心理状態等 | 不安・健康状態・抑うつ
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補足:「臨床心理以外の検査や尺度等」
(バーセルインデックス:BI / ジャパン・コーマ・スケール:JCS / 職業レディネス・テスト:VRT)
「心理検査の測定対象」に対して、「心理検査の方法」としては「質問紙法」、「投映法(投影法)」、「作業検査法」が挙げられます。
ここからは、それぞれの代表的な心理検査名と特徴をまとめます。
質問紙法は、「質問項目に対して選択回答や自由回答を行う方法」です。
回答方法としては、一般的なアンケートと同じになります。
質問紙は「パーソナリティ」や「心理状態」を測定対象とします。
実施が容易であるといった長所と、回答が歪曲されやすいといった短所などがあります。
質問紙法の代表的な検査名 |
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質問紙法の長所 |
| 質問紙法の短所 |
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投映法(投影法)は、「視覚的・言語的刺激の素材を提示し、自由に反応してもらう方法」です。
投映法は「パーソナリティ」を測定対象とし、長所として回答の歪曲が難しい、短所として実施に時間や技能を要するといったなどがあります。
投映法(投影法)の代表的な検査名 |
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| 投映法(投影法)の長所 |
| 投映法(投影法)の短所 |
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「描画法」は、子どもなど、言語表現が困難なクライエントに対しても有効な心理検査の方法です。
描画を通して表現することによって、カタルシス効果が得られるという治療的な効果も見込まれます。
描画法は「侵襲性」が高いため、統合失調症など精神病水準のクライエントに用いると、自己・他者や内面・外面の区別が崩れる可能性があるとされます。そのため描画法の適用には注意が必要とされます。
( 詳細:▼ 侵襲性とは)
作業検査法は「簡単な作業を行ってもらう方法」です。
作業検査法は「パーソナリティ」を測定対象とします。
回答の歪曲が難しいといった長所と、作業へのモチベーションが影響しやすいといった短所などがあります。
作業検査法の代表的な検査名 |
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| 作業検査法の長所 |
| 作業検査法の短所 |
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「IAT:Implicit Association Test(潜在連合テスト)」とは、「潜在的な態度や信念」を測定するテストです。
被検者にカード等の対象を分類させた時の回答時間から、被検者が「意識的に他者から隠していること」と「意識せずに隠していること」の両方を測定することが可能とされています。
東京大学が日本人の自尊心をIATによって測定したところ、日本人は米国並みの自尊心であるという報告もされています。
公認心理師試験の選択肢に登場した臨床心理以外の検査や尺度などを記載します。