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心理学用語集: 心的外傷後ストレス障害

3 - 精神病理神経症性障害・ストレス関連障害 > 53- 心的外傷後ストレス障害

 ここでは、「心的外傷後ストレス障害」や「適応障害」に代表される、心的外傷及びストレス因関連障害群についてまとめます。
 この障害群は、心的外傷となるような出来事、または強いストレッサーの曝露によって生じるさまざまな症状を伴う障害です。

用語:心的外傷後ストレス障害(PTSD)PTSD評価尺度(IES-R, PDI, CAPS) / 適応障害・反応性愛着障害支援の方法

 

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

 「心的外傷後ストレス障害(PTSD:Posttraumatic Stress Disorder)」とは、死の危険を感じるほどの強い恐怖と無力感を伴う外傷体験の後に、心理的・身体的に特有の症状が「1ヶ月以上持続する」障害です。
心的外傷体験には、直接的な体験だけでなく、「起こった出来事を目撃したり耳にしたりすること、救急隊員などが仕事を通して繰り返し体験」も含まれます。

 PTSDの留意点としては、「うつ病やアルコール依存・濫用」を合併することが多いということです。

 DSM-5でのPTSDの症状は「侵入症状」「回避症状」「認知や感情の陰性の変化」「過覚醒」の4つです。

  1. 侵入症状:
     心的外傷的出来事に関連した侵入的症状の存在。反復的、不随意的、侵入的で苦痛な記憶、苦痛な夢。再体験(フラッシュバック)など。
  2. 回避症状:
     心的外傷的出来事に関連する刺激の持続的回避。関連する苦痛な記憶、思考、感情の回避やその努力する。それらを呼び起こすことに結びつく人や物などの回避。
  3. 認知と感情の陰性の変化:
     自身や他者に対する持続的で過剰な否定的信念や予想、持続的な陰性の感情状態(恐怖、怒り、罪悪感)など。
  4. 過覚醒:
     覚醒度と反応性の著しい変化。攻撃性、無謀な行動、過度な警戒心、睡眠障害など。

 DSM-5では、「6歳以下の子ども」と、それを超える場合で基準が分かれており、その内容が多少異なっています。
 子どもはPTSDにおける侵入症状(再体験症状)として「ポストトラウマティック・プレイ」と呼ばれる、ごっご遊びを取りつかれたように繰り返すこともあります。地震ごっごや、津波ごっごなどといった再演をするような遊びを行います。

PTSD評価尺度:

 PTSDの評価尺度としては スクリーニングのための自記式質問紙である「改訂出来事インパクト尺度IES-R:Impact of Event Scale-Revised)」、「周トラウマ期の苦痛に関する質問紙(PDI)」や、「PTSD臨床診断面接尺度(CAPS)」などが用いられます。


急性ストレス障害(ASD):

 「急性ストレス障害(ASD)」は、外傷体験後に、PTSDと同様の症状や、解離症状(現実が変容した感覚や出来事の記憶障害)が生じる障害であり、持続期間がPTSDより短く「3日から1カ月間」が基準となります。



適応障害・反応性愛着障害

 DSM-5の「心的外傷及びストレス因関連障害群」には、PTSD、ASDの他、適応障害、反応性アタッチメント障害、脱抑制型対人交流障害が含まれます。

適応障害:

 「適応障害」とは、特定可能なストレス因に対する、不安や抑うつ、自律神経症状など、心身の反応が生じる障害です。
ストレス因から3ヶ月以内に発症し、6ヶ月以上持続しない場合に診断されます。

反応性アタッチメント障害:

 「反応性アタッチメント障害(愛着障害)」とは、養育者に対して愛着を示さないことを特徴とします。養育者への抑制され情動的に引きこもった一貫した行動(苦痛なときでも安楽を求めない)、他者への持続的な対人交流と情動の障害(最低限の交流と情動的反応)があります。
 一方、「脱抑制型対人交流障害」とは、見慣れない大人にたいする不適切で過度な馴れ馴れしい行動を特徴とします。
 
 「抑制型」(反応性愛着障害)と「脱抑制型(対人交流障害)」といった相反する両方の診断基準には、「乳幼児期の不適切な養育(=マルトリートメント:児童虐待に該当)」が含まれています。



援助の方法

 PTSDやASDの援助の方法の基本は、心理的に保護をして、自然の回復を促すこととなります(安全・安心・安眠の確保)。
 PTSDに対しては、「認知行動療法」や、「EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)」が用いられます。「薬物療法(抗うつ剤)」も併用される場合もあります。
 「遊戯療法(ポスト・トラウマティック・プレイセラピー)」や「芸術療法(アートセラピー)」などによって、カタルシスや洞察を得るといったアプローチも用いられます。



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