ここでは、「イメージ療法」と、「EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)」についてまとめます。
用語:イメージ療法 / メンタルリハーサル / EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)
イメージ療法とは、クライエントがもつ内的イメージを膨らませ、活用する療法です。クライエントが活性化されたイメージを十分に体験することで、気づきを得たり、精神的な解放感を体験するといった効果が得られます。
イメージは、クライエントの内的世界の表現として言語と並ぶ強力な媒体であり、箱庭療法や芸術療法など様々な療法で用いられています。
狭義のイメージ療法としては、視覚イメージを扱う技法をさし、「自由イメージ法」と「指定イメージ法」に分類される場合があります。両者とも大筋では共通した治療原理を持つとされています。
イメージ療法としては、「誘導感情イメージ」、「直観像療法」、「イメージ分析療法」、「三角イメージ療法」、「壺イメージ療法」など様々なものがあります。
例えば、壺イメージ法は、危機的体験に対して、自分を守る物として壺上の入れ物のイメージを用います。
イメージは、言葉による面接よりも生き生きとした内的体験を引き起こしやすいです。これはイメージ療法の長所でもあり短所でもあります。
基本的には、クライエントのイメージの自律性を妨げないことが大切なので、セラピストはもっぱら受容と共感に努めますが、クライエントが危機的なイメージに対して、独力でその事態を乗り切れない時は、セラピストは介入を行う事が必要となります。
「メンタルリハーサル」は、イメージ療法の一種とされ、スポーツなどの習得や技能の向上を図るため、イメージでその場面や動作をできるだけ詳細に繰り返す方法です。
臨床動作法を開発した成瀬悟策らが始めたとされます。
メンタルリハーサルに類似した用語として、「メンタルウォーミングアップ」があります。これは、運動の開始前に体をほぐすウォーミングアップに対して、心理的なウォーミングアップをする方法です。
EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)とは、Shapiro,F (シャピロ・フランシーン)が開発した、適応的情報処理モデルに基づく心理療法です。
PTSD(心的外傷後ストレス障害) に対して最も効果的と言われ、エビデンスのある心理療法とされます。
治療法としては、外傷的なできごとを考えてもらいながら、治療者がクライエントの眼の前で指を一定の速度で動かし、それを眼で追いかけてもらうといった比較的単純な手続きを中心としています。
眼球運動が脳を直接的に刺激し、脳が本来もっている情報処理過程を活性化できることを利用しており、PTSDの治療プロセスを非常に短時間で進めることができるとされます。
また、治療者に洗脳される、操られるというような心配がなく、体験を細かく語ることが必要とされないため、クライエントへのストレスが少ない方法とされます。