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心理学用語集: 動機づけ面接

2 - 心理療法その他の心理療法 > 84- 動機づけ面接・スキーマ療法

 ここでは、「動機づけ面接」、及び「スキーマ療法」についてまとめます。

用語: 動機づけ面接基本スキルOARS) / スキーマ療法



動機づけ面接

 「動機づけ面接」とは、「クライエント自身の内発的動機づけを治療者が積極的に引きだし、かかわることによって、行動変化が生じるようにする特定のコミュニケーションスタイル」とされます。
 アルコール・薬物依存関連障害(嗜癖性障害)、気分障害、摂食障害、強迫性障害などだけでなく、生活習慣病(糖尿病ほか)、再犯防止などにも有効であるとされています。
 動機づけ面接には下記の特徴があります。

  1. ゴール指向的であり、フォーカスする対象と目標が明確
  2. クライエント中心のカウンセリングスタイルだが、治療者が積極的に関与し、クライエントが自分で判断できるように選択肢の提示や情報を提供する
  3. クライエントの矛盾した行動に寄り添う。
     クライエントの隠れた感情や背景を探り、矛盾を解消して前に進むようにしていく。「両価性」の理解と解消していく(やめたいけど、やめたくない)

 動機づけ面接は、「治療者のスピリット・態度(PACE/CASE)」、「基本スキル(OARS)」をもと、4つのプロセスが行われます。

動機づけ面接のおける治療者の態度 (PACE/CASE):

 治療者の態度は「協同(P/C)」、「受容(A)」、「慈悲(C)」、「喚起(E)」が重要となります。

  1. P/C : Partnership /Collaboration [協同]
     クライエントのガイド役としてふるまう。
  2. A : Acceptance [受容]
     違いを受け入れクライエントが自ら判断することを支援する。
  3. C : Compassion [慈悲]
     最終的な目標はクライエントの福祉と理解し支援する。
  4. E : Evocation [喚起]
     治療者が戦略的にクライエントから変化に向かう発言が生じるように働きかける。
基本スキルOARS:

 動機づけ面接の基本スキルは「OARS(オールズ)」と呼ばれます。

  1. O : [開かれた質問] Open ended question
     クライエントが先入観なく自由に自分の行動や感情を話せるように促す。
  2. A : [是認] Affirmation
     変化の方向につながる発言をクライエントがしたら是認する。
  3. R : [聞き返し(振り返り・反映)] Reflective listening
     単純な聞き返し、「増幅した聞き返し」、両面性のある聞き返し、リフレーム、比喩など。クライエントの複雑な感情が浮き彫りになる。
  4. S : [要約] Summarize
     出てきた話をまとめる。今どこにいるのか、これからどこに行こうとしているのかをクライエントと共有する。
面接のプロセス:

 面接の進め方は「かかわる(ラポールの形成)」、「フォーカスする(対象を絞る)」、「引き出す(動機づけを引き出す)」、「計画する(具体的な情報提供をおこなう)」となります。
 「引き出す」のプロセスでは、クライエント自身の言葉である「チェンジトーク(準備言語)」を活用します。
禁煙に関するチェンジトークの例)
  たばこをやめたい(願望)、以前3ヶ月やめたことがある(能力)、病気になりたくない(理由)、そろそろやめなければ(必要性)




スキーマ療法

 「スキーマ療法(Schema therapy)」は、J.E.Young(ヤング)によって開発された、パーソナリティ障害等に対する治療法です。認知行動療法などの治療法に効果を示さないケースに用いられています。

 スキーマ療法は、認知行動療法を拡張し、アタッチメント理論、ゲシュタルト療法、構成主義、対象関係論、精神分析といった各学派の要素を認知行動療法に融合した統合心理療法です。
 主に「早期不適応スキーマ」、「コーピングスタイル」、「スキーマモード」、「中核的感情要求」という4つの概念から構成されます。




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