ここでは、「交流分析」と、「夢分析」についてまとめます。
「交流分析」とは、Berne,E.(バーン)が開発したパーソナリティ理論と、それに基づく治療方法をさします。
交流分析は、「精神分析の口語版」と呼ばれることがありますが、「今・ここ」を重視し、人間性心理学に位置づけられてもいます。
「交流」とは、コミュニケーションの流れをさし、交流によって人が他者に与える認識や反応は「ストローク」と呼ばれます。交流分析によってプラスのストロークを交換できるようにし、親密で協働できる温かい人間関係を築くことができるとされます。
交流分析では、心の構造や機能を記号や図式によってわかりやすく説明するという特徴があります。
具体的な分析方法としては、「構造分析」、「やりとり分析」、「ゲーム分析」、「脚本分析」の4つがあります。
人の心の在り方を「親(Parent)」、「大人(Adult)」、「子ども(Child)」の3つの「自我状態」から理解する方法です。いまの自分の特定の自我状態に気が付くことで、自発的にその状態を切り替えて、過去に縛られない自律的な自分を再発見していきます。
上記5つの自我状態をグラフにしたものが「エゴグラム」と呼ばれるものであり、「Dusay,J.(デュセイ)」が考案しました。
エゴグラムをもとにした心理検査が、「TEG(Tokyou Universitey Egogram:東大式エゴグラム)」です。
その他、「やりとり分析」、「ゲーム分析」、「脚本分析」をまとめます。
やりとり分析 | 2者間における相互の交流がどの自我状態からでているか矢印で表して分析します。相手の自我状態を理解し、自律的なやり取りを行うようにします。 交流のパターンは、相補的交流(スムーズな交流)、交差的交流(行き違いがある交流)、裏面的交流(表と裏がある交流)の3つに分けられます。 |
ゲーム分析 | 「ゲーム」と呼ばれる悪循環に陥ってこじれた関係に気づき、それを理解し手放すことを行います。 |
脚本分析 | 人は子供のころに描いた人生の脚本に沿って生きるとされ、その脚本の内容を知り、否定的な脚本を手放すことで、自分の力を発揮した自律的な人生歩みだします。 |
フロイト(Freud,S)は「夢は無意識に至る王道」と述べています。フロイトによると、夢は睡眠中に意識に混入してくる無意識の表象の一部であるとされます。意識が受け入れられないものが、「抑圧された願望の充足」を動機として選別されて生じる合成物(心的諸形成物)の混合体であるとされます。
フロイトは夢は「意識の検閲によって歪曲」させられていると考え、その仕組みである「夢の機制」として、次のようなものを挙げています。
フロイトは、夢は様々な体験がまとめられた時間概念がないものだと考え、夢をまとまったものとして取り扱わず、部分部分に分けて解釈しました。
フロイトの症例としては「症例ドラ」や「イルマの夢」があります。
ユングは、夢を無意識、特に集合的無意識が意識に対して送るメッセージであり、意識の発展と安定を図ろうとするものだと考えました。
そして、意識の偏りを補うために、無意識の劣等な内容が夢に出てくるという「夢の補償性」を考えました。
ユングは「拡充法」という技法を適用しながら、夢からもたらされるイメージや意味を膨らませました。そして、メッセージである夢と向き合い、意識と夢とのつながりを再構築し深めていくことで、個性化(自己実現)に至るとされています。
その他、「Boss,M」や「Meier,C.A」の夢分析があります。
「Boss,M」は、夢もまた一つの現実であり、夢の世界を生きなければならないとし、フロイトの夢の解釈にもユングの拡充法にも否定的とされます。
「Meier,C.A」は、夢の劇的構成に注目し、全ての夢を起承転結に分け、劇を見るように味わうことを薦めました。