ここでは、「リラクセーション法」、「バイオフィードバック法」、「催眠療法」についてまとめます。
用語:リラクセーション法 / 自律訓練法 / 漸進的筋弛緩法 / バイオフィードバック法 / 催眠療法
「リラクセーション法」とは、心身のリラックス状態を段階的に得るための訓練法であり、神経症の治療やストレスの緩和に用いられます。
また、他の心理療法の導入段階や、ウォルピによる「系統的脱感作法」の拮抗条件付けなどにも用いられます。
代表的なリラクセーション法を下表にまとめます。
自律訓練法 |
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自律訓練法は、「Schultz,J.H(シュルツ)」 が創始した方法です。 注意の集中と自己暗示の訓練により、全身の緊張を解き、心身の状態を自分でうまく調節できるように工夫された段階的訓練法です。 心身症や、あがり症などに対して効果があるとされています。 (詳細: 自律訓練法の実施法) |
漸進的筋弛緩法 |
漸進的筋弛緩法は、「Jacobson,E(ジェイコブソン)」が開発した方法です。 筋弛緩によって、大脳の興奮を低下させ、それにより不安を軽減させます。 特定の筋肉の緊張と弛緩を意識的に繰り返しますが、原法はセッション数と時間が長いため、簡易法がよく用いられています。 |
バイオフィードバック法 |
バイオフィードバック法とは、身体内の情報を、工学的な方法の助けを借りて本人に知覚させ、その局部的または全身的反応を訓練によって制御させようとする方法です。 一種のリラクセーション法としてここに記載します。 脈拍などの自律神経の反応を測定し、それを本人に知覚させることで、セルフコントロール力を高めるとされています。 |
自律訓練法は、「標準練習公式、特殊練習、黙想練習」と段階的に進んでいきます。標準練習公式だけでもリラックスの効果が得られるとされます。
自律訓練法は、対象(手足など)をボーと眺めるように注意を向ける「受動的注意集中」が重視され、「腹式呼吸」が促されます。
<標準練習の公式>
「安心感(背景公式:気持ちが落ち着いている)」→「重量感(手足が重い)」→「温感(手足が温かい)」→「心臓調整(静かに規則正しく打っている)」→「呼吸調整(楽に息をしている)」→「腹部調整(胃の辺りが温かい)」→「頭部調整(額が涼しい)」
催眠療法とは、催眠状態を通じて行う心理療法です。18世紀後半の「Mermer,F.A.(メスメル)」の研究に始まったとされ、フランスの「Charcot,J.M.(シャルコー)」らによって広まりました。フロイトもシャルコーの催眠療法を学び、その後、精神分析を確立しました。
催眠状態とは、「被暗示性の亢進の状態」と「変性意識状態(日常的な意識以外の意識状態:トランス状態)」を言います。
一般成人では75〜95%が催眠状態に誘導され、子どもはもっと誘導されやすいと言われています。性別にさほど差はないとされます。
催眠中は、クライエントの状態によっては睡眠へと向かい、眠気を感じたり、眠り込んでしまうことがあります。
催眠療法の効果には下記が挙げられます。
臨床では、「変換症(転換性障害)」や自律神経の変調などに適応されます。
それ以外にも、心理療法が容易かつ効果的に進む場が提供されることから、「精神分析療法、認知行動療法、遊戯療法、カウンセリング」などにも応用されています。
催眠面接が終わる時には、十分に時間を取り、クライエントのペースで催眠状態から覚醒させることが必要です。早急な覚醒は、不安感、不快感(頭痛、吐き気)などの残効(残存効果)が残ることがあるとされます。