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心理学用語集: 解離症群

3 - 精神病理神経症性障害・ストレス関連障害 > 54- 解離症群

 ここでは、DSM-5の「解離症群」についてまとめます。
解離症群には「解離性同一症」、「解離性健忘」、「離人感・現実感消失症」が含まれます。


解離症群の概要

 「解離症群」とは、強いストレス因などによって生じる意識・注意・認知(行動)の一過性変容です。
「意識・記憶・同一性・情動・知覚・身体表象・運動制御・行動」の正常な統合が、破綻または不連続となる障害です。
 解離症群の要因となる強いストレスとしては、心的外傷体験(トラウマ的な出来事)、解決しがたく耐え難い問題、あるいは障害された対人関係などが考えられています。
 また、解離症群の患者は、自傷行為や過量服薬、自殺企図を起こしやすいとされています。

 「解離」という概念はフランスの精神科医のジャネ(Janet,P)が命名したといわれています。フロイトの抑圧という概念は意識と無意識との間に水平の壁があると考えます。それに対して、解離は、意識と無意識を縦に分断した垂直の壁があると考えます。それぞれの意識状態(人格)において、異なった意識・無意識があるとされています。

 フロイトが治療対象とした「ヒステリー」のうちの「解離型」の精神症状です。
(補足: ▼ヒステリー(解離型・転換型)



解離性同一症(解離性同一性障害)

 「解離性同一症(解離性同一性障害)」とは、2つ以上のパーソナリティ状態が存在する障害です。それらが反復的に患者の行動を統制し、一般的には、第1人格からの重要な個人的情報の想起ができなくなります。解離性同一障害では、声が聞こえるなど幻聴様の症状もしばしば認められます。

 馴染みのある言葉では「多重人格」であり、多くは幼少期の虐待などによる深刻な心的外傷が原因とされます。外傷を受けた人格が別の人格へ解離することで、自己を守り、別の人格で抑圧された欲求を満たそうとしていると考えられています。
 米国における12ヶ月の有病率は1.5%だったという小規模研究も報告されていますが、患者数は良く分かっていないようです。



解離性健忘

 「解離性健忘症」とは、心的外傷やストレスによって生じる記憶喪失であり、通常の物忘れでは説明できないような想起不可性がある特徴をもちます。
 限局的・選択的なエピソード健忘と、全生活史健忘(重要な個人的情報に関する情報を忘れる)があります。
通常、過去記憶に対する障害である「逆行性健忘」のみです。前向性健忘は生じません(新しいものに対する障害)。

解離性とん走:

 「解離性とん走」とは、突然、家庭や職場から離れて放浪し、過去を想起することができなくなる症状です。心的外傷の体験そのものを排除してしまうもので、個人の同一性が混乱してしまったり、新しい同一性を装ったりします。

 過去の生活の想起不全を伴う健忘であっても、その想起不全が生理学的作用によるもの(例:側頭葉てんかん)によって引き起こされている場合、解離性健忘とは言えません。



離人感・現実感消失症

 「離人感・現実感消失症」とは、あたかも自分が外部の傍観者であるように感じる体験である「離人感」と、周囲に対する非現実的な体験である「現実感消失」が持続する障害です。「現実検討」は正常に保たれていることが診断基準の1つです。

離人感:

 離人感とは、自分の考え、感情、感覚、身体や行為について、非現実的で、離脱的であり、外部の傍観者であると感じる体験のことです。(例:知覚の変化や時間感覚のゆがみ、情動的身体的な麻痺など)

現実感消失:

 現実感消失とは、周囲に対して非現実または離脱の体験のことです。(例:夢のよう、霧がかっている、視覚的にゆがむ、命をもっていないと感じる)

現実検討力:

 現実検討力とは、客観的に自分の考えを捉え、その分析ができる能力のことです。「外部世界にある事象」と「内面世界にある表象(心的内容やイメージ)」を区別する自我機能です。



援助の方法

 援助の方法は、安心できる治療環境を整えること、家族など周囲の人の理解、主治医との信頼関係です。
 自己表現の機会を提供するといった心理療法が主となります。治療効果が確立した薬物療法はないですが、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬が用いられることが多いとされています。
 解離性障害群は、意図せぬ事故が多いので、安全を確保し、回復を支援することことが重要となるとされています。




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