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心理学用語集: てんかん・ダウン症

3 - 精神病理その他 > 81- てんかん・ダウン症

 ここでは、DSM-5には記載されていない疾患である「てんかん」、「ダウン症候群」、「脳性まひ」についてまとめます。
用語:てんかんダウン症候群脳性まひ可視的差違



てんかん

 「てんかん」とは、てんかん発作を主症状とする神経細胞の異常な電位活動による慢性の大脳疾患です。
 3歳以下の発病率が約60%とされ、てんかん発作は「運動、意識、知覚、行動の異常」(全身硬直・痙攣など)として現れ、個人によってほぼ一定の形を取ります。

 グルタミン酸の神経系の興奮機能の過剰と、GABA神経系(γアミノ酸)の抑制機能の低下による大脳灰白質の異常放電が原因であるとされまます。
 鑑別は、脳波の測定によって行い、「棘波(きょくは)または棘・徐波」といった鋭くとがった特徴的な脳波の存在を確認します。

 治療は治癒ではなく発作をコントロールするための薬物療法を行います。「抗てんかん薬」で85〜90%の発作がコントロールできるとされます。

てんかんの種類:

 てんかんの種類は、興奮の広がり方(全般/部分)、意識障害の有無、てんかん発作の症状などによって細かく分類されます(引用)。
 主な発作の型について下表にまとめます。

起始意識障害発作症状発作の型
脳の一部無し運動機能の障害・視覚や聴覚異常・自律神経異常など

単純部分発作
有り意識障害・記憶障害・自動症(無意味な動作)複雑部分発作
脳全般有り(ほとんど)硬直・脱力・意識障害・ミオクロニー(筋肉が一瞬収縮する)

全般発作
(強直間代・強直・間代・脱力・欠神・ミオクロニー発作)

( 補足: ▼ 全般発作



ダウン症候群

 「ダウン症候群」は、Down,J.L.が始めて記載した、染色体異常による先天性の疾患です。
人の染色体は22対の常染色体と2個の性染色体からなりますが、「21番目」の常染色体異常が原因であり、通常の2本(対)より1本多く、「3本(トリソミー型)」あります。

  1. 顔の外側に比べて中心部があまり成長しないため、吊り上った小さい目をした顔貌が特徴的
  2. 精神と運動の発達遅滞が生じやすく、幼児期以降の発達が遅れがち
  3. 頸椎の不安定性、眼科的問題、難聴も合併しやすい
  4. 眼科的問題は、視力そのものではなく、認識力の低下に伴う仮性の視力障害であるという見方もある

 以前は、心疾患や消化器疾患、白血病などの合併症のため、幼児期に死亡することが多かったのですが、最近は、医療の進歩と共に平均寿命は50歳代まで延びているとされます。

 援助の方法としては、「早期からの包括的な療育支援」が重要となっています。療育を行うためには、患者の家族が「障害受容」をすることがまず重要だとされています。
 療育支援の他、乳幼児の指導として「臨床動作法」、運動発達の遅れに「赤ちゃん体操(ダウン症のお子さんの発達を促す体操プログラム)」が用いられます。

ワシントン大学/オレゴン大学のプログラム:

 ダウン症候群のこどもが、健常児と交流することで回復するという報告もされています。
 療育のプログラムとしては、ワシントン大学やオレゴン大学などの各プログラムがあり、「運動、認知、言語、社会性の評価、到達目標の設定、養育指導」を行うことを目的とします。



脳性まひ

 その他、脳に関連した疾患としては「脳性まひ」があります。
「脳性まひ」は、脳損傷に起因する運動機能の麻痺や不全状態の疾患です。
 一般的には受胎から新生児までに生じた脳の非進行性病変に基づく永続性の障害をいいます。

 脳性まひ児の肢体不自由の改善を目的として開発されたのが、成瀬悟策による「動作法(臨床動作法)」です。



可視的差違(可視的変形)

 「可視的差違(可視的変形)」は、顔などの身体外表にみられる見た目の違いのことを意味します(参考)。
 代表的なものに口唇裂口蓋裂、血管腫、熱傷のケロイド等があげられます。機能障害を併発し、重度である場合は医師によって障害者認定が行われることもあります。

  1. 可視的差違による、他者からの質問やからかい、いじめといった反応によって、子どもの自尊感情の低下を招くリスク要因となりえる。
  2. 家族や友人だけではなく、広く社会一般の反応や受容の在り方は、子どもが可視的差違に適応していくに当たり重要な要因とされる。



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