ここでは、投映法のうち描画法である「バウムテスト」についてまとめます。
バウムテストは「Koch,K(コッホ)」が職業相談の領域で考案した、果樹を1本描くことによって行われるパーソナリティ検査です。
描かれた1本の木をその人の自己像とみなして、被検者の精神状態やパーソナリティを査定します。
バウムテストは、極めて単純なだけに、自由度が高く、検査者の技能に影響を受けやすいという面があります。
また、測定対象は一面的であり、他の検査とテスト・バッテリーを組んで使用すべき検査でもあります。
バウムテストの標準的な実施方法は、「1本の実のなる木をできるだけ十分に描いてください」という教示のもと、A4の用紙に4Bの鉛筆で1本の果樹を描きます。
バウムテストの解釈は、全体的印象から初めて、細部に目を向けて行き、様々な視点から行われます。
視点 | 内容 |
---|---|
全体的評価 | 明るい・暗い、伸び伸び・萎縮、若々しい・老いといった全体的な印象を直感的に捉える。 |
空間象徴理論 | 用紙に描かれている位置から、認知的特性や家族との関係などの解釈を行う。 |
形式分析 | 下記のような指標などから分析をおこなう。
|
ヴィトゲンシュタイン指数 | 木の長さ(mm)を生活年齢(月)で割った値のこと。幹のウロなど目立つ特徴を外傷体験と考え、それが何歳ぐらいに起こったのかが指数から割り出せる。 |
内容分析 | 何を描き、何を描かなかったのかを分析していく。特徴的な部分の存在を検討していく。
|
描画テストにおける空間図式は、「自己・他者・世界の認知特性,幼児期の親子関係,無意識的な心理内容,現在の感情や気分の反映」などを象徴するものと考えられています。
グルンウォルド(Grunwald)の空間図式では、「左上:受動性の領域」、「右上:生への能動性の領域」、「左下:幼児期のトラウマへの固着や退行」、「右下:本能や衝動、葛藤の領域」を表すとされます。
ボーランダー(Bolander)の空間図式では、「上方ライン:未来・想像内容」、「中央ライン:現在・情緒内容」、「下方ライン:過去・本能的欲求」、「用紙の左側:母性・女性性・受動性・過去」、「用紙の右側:父性・男性性・能動性・未来」を象徴すると仮定されています。