ここでは、投映法である「TAT(主題統覚検査)」についてまとめます。
用語: TATの特徴(Murray,H.A. / 欲求圧力理論) / CAT・SAT / TATの図版 / TATの実施法・解釈法
TAT(主題統覚検査)は「Murray,H.A.(マレー)」らによって考案されたパーソナリティに対する投映法の検査です。
多様な受け取り方を許す場面を描いた「30の図版と1枚の白紙」の図版から何枚かを見せ、それぞれの物語を作ってもらいます。
TATはマレーの「欲求圧力理論(欲求圧力分析法)」を基盤とし、「被検者が葛藤状況をどのように認識し、どのような対処行動を行っているか」といった性格・行動傾向から、パーソナリティを明らかにしていくという特徴を持ちます。
TATを通して物語を語ること自体が「治療プロセス」であるとも考えられています。
(詳細:▼ 「欲求圧力理論」)
「CAT(児童統覚検査)」は、Bellak,L(ベラック)により工夫された「TATの子ども版」です。
対象は10歳以下であり、「10枚の図版」からなります。主人公に動物を用いて、子どもに特徴的な問題に接近できる場面設定がされています。
「SAT(Senior Apperception Test)」または、「GAT」は、高齢者用のTATです。
対象は、65歳以上であり、「16枚の図版」からなります。登場人物に老齢者が多く登場するなど高齢者が回答しやすいよう工夫がされています。
30枚の図版と1枚の白紙の図版のうち、多くは人物が描かれていますが、何枚か人物が描かれていない図版があります(図版12BG・16・19)。
図版のうち、被検者の性別と年代に対応しているものは、性別と年代を表す下記のアルファベットが数字の後に振られています。
代表的なカードを下表にまとめます。
図版 | 図版の内容 |
---|---|
1 | 子どもとバイオリンの図。家族に関するテーマ。 |
2 | 農場と女性(正面向)と男性(背面向)の図。家族や対人関係に関するテーマ。 |
3BM | 家具にもたれかかる人(背面向)の図。攻撃性や抑うつに関するテーマ。かつては同性愛のサインとされた。 |
5 | ドアを開け部屋を見る女性の図。干渉などに関するテーマ。 |
6GF | 若い女性と中年男性の図。父親や家族に関するテーマ。 |
8GF | 何かを眺める女性の図。健康度に関するテーマ。 |
19 | 雪の積もった家のような絵画的な図。適応力や活力に関するテーマ。 |
20 | 街灯と男性の図。将来に関するテーマ。 |
マレーの原法では、図版を20枚使用し、2日間にわけて1日10枚づつ行います。現在では1回で行なわれる事がほとんどです。
TATの分析は、被検者の語り(物語)を精査(Inspection)していきます。語りは、「被検者の実際の体験だけでなく、想像による産物」も表しているとされます。
分析・解釈方法には、「マレー式、ベラック式、戸川式、赤塚式」など様々な方法があり、標準的な方法は未だに確立されていません。