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心理学用語集: 神経心理学的検査

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 ここでは、「神経心理学的検査」についてまとめます。長谷川式認知症スケール(HDS-R)、MMSEといった「認知症検査はこちら」です。
 「ベンダー・ゲシュタルト・テスト」と「神経心理学的検査(知能・記憶・注意・実行/遂行機能)」を記載します。

神経心理学的検査一覧

  1. 知能 : ウェスクラー式知能検査 / コース立方体組み合わせテスト / レーヴィン色彩マトリックス検査 / WAB失語症検査
  2. 記憶 : 三宅式記銘力検査 / ベントン視覚記銘検査(BVRT) / リバミード行動記憶検査(RBMT) / ウェスクラー記憶検査(WMS-R)
  3. 注意 : ストループ検査 / 標準注意検査法(CAT)・標準意欲評価法(CAS) / CPT(持続処理課題)
  4. 実行(遂行)機能 : ハノイの塔課題 / トレイル・メイキング・テスト(TMT) / ウィスコンシス・カードソーティング・テスト(WCST) / BADS(遂行機能障害症候群の行動評価)
  5. 認知機能全般 : COGNISTAT / BACS-J / Luria-Nebraska バッテリー

神経心理学的検査の概要

 神経心理学的検査とは、脳の損傷や認知症などによって生じた「知能・記憶・言語などの高次機能障害を定量的・客観的に評価する検査」です。
測定対象としては、主に「知能」・「記憶」・「注意」・「実行(遂行)機能」に分類されます。

  1. 測定結果から、「認知機能障害のパターン」、「重要度の把握」、「時間的な変化の観察」が可能となる。
  2. 評価には、対象者の「注意、情動などを含めた全体像」と、「病前能力の考慮(標準値との比較よりも病前との比較)」が重要となる。
高次脳機能障害:

 「高次脳機能障害」とは、脳の損傷などによる、失認、失行、失語、実行/遂行機能障害、記憶障害、注意障害などの認知障害全般のことをさします。



ベンダー・ゲシュタルト・テスト

 「ベンダー・ゲシュタルト・テスト」は、Bender,L.(ベンダー)が開発した検査であり「描画法(投映法)」及び「作業検査法」に分類されます。
 被検者に「9枚の幾何図形を模写」してもらい、その結果を評価します。

 ベンダー・ゲシュタルト・テストは、「器質的な脳障害の有無」のほか、「パーソナリティ傾向」や「視覚・運動ゲシュタルト機能の成熟度(発達の程度)」を調べることができます。近年では認知症の評価にも用いられるようです。
 適用年齢は児童用が「5歳〜10歳」、成人用が「11歳〜成人」です。

  1. 被検者が、カードの向きや記録用紙の向きを変えようとした時には、一度はそれを制止するが、その後はそのまま自由にさせる。
  2. 採点の方法として、Pascal-Suttell法(パスカル・サッテル)法、コピッツ法などがある。

「知能(言語)」の測定検査

 知能(言語)を測定する神経心理学検査としては、「ウェスクラー式知能検査」や「コース立方体組み合わせテスト」、「レーヴィン色彩マトリックス検査」、「WAB失語症検査」などがあります。

コース立方体組み合わせテスト:

 「赤白青黄」の4色に塗り分けられた立方体のブロックを用いて課題の模様を作る検査です。
 ビネー式と高い相関があり、一般的知能を測定しているとされます。ウェスクラー式知能検査の下位検査「積木模様」はこの検査を取り入れたものです。


レーヴィン色彩マトリックス検査:

 ストライプなどの標準図案で欠けている部分に合致するものを6図版から選ぶ検査です。
 スピアマンの一般知能g因子を測定するために開発された簡易知能検査です。失語症・認知症の検査として広く利用されています。


WAB失語症検査:

 WAB(Western Aphasia Battery)は、失語症の鑑別やそのタイプを調べる検査です。
 失語指数が算出でき、結果から「ブローカ失語、ウェルニッケ失語、全失語」などの分類が可能です。また、失行検査、半側空間無視の検査、非言語性知能検査などを含んでいます。

 

「記憶」の測定検査

 記憶を測定する神経心理学検査としては、「三宅式記銘力検査」、「ベントン視覚記銘検査(BVRT)」、「リバミード行動記憶検査(RBMT)」、「ウェスクラー記憶検査(WMS-R)」などがあります。

三宅式記銘力検査:

 聴覚性言語性記憶の検査であり、簡便に行えます。10対の語を読み上げ記銘させた後、対語の一方を提示しもう一方の語を想起させます。


ベントン視覚記銘検査(BVRT):

 視覚性記憶の検査です。10枚の図版を用いて検査を行い、視覚認知・視覚記銘・視覚構成能力を評価します。心因性障害と器質性脳障害の鑑別に有用とされます。


リバミード行動記憶検査:

 記憶障害の診断のための検査です。机上のテストではなく、日常生活に類似の状況を作り出し、記憶を使う場面を想定して検査します。 「被検者の持ち物を預り、他の検査終了後に返却を要求させる」といった未来について記憶(展望記憶)の検査を含んでいます。

 得点から、重症度の診断が可能です。標準プロフィール点が「最高24点」、スクリーニング点が「最高12点」となります。


ウェスクラー記憶検査(WMS-R):

 ウェスクラー式の記憶検査であり、聴覚性、視覚性など総合的な記憶検査です。国際的に最もよく使用されており、海外の研究との比較が可能です。



「注意」の測定検査

 注意を測定する神経心理学検査としては、「ストループ検査」、「標準注意検査法(CAT)・標準意欲評価法(CAS)」、「CPT(持続処理課題)」などがあります。

ストループ検査:

 ストループ検査は、選択的注意や抑制障害を測定する検査です。色名語とそれがかかれたインクの色が異なる色名語が提示されます。
 「ストループ効果(逆ストループ効果)」を用いた検査です。


標準注意検査法(CAT)・標準意欲評価法(CAS):

 CAT・CASは、脳損傷例に認められる注意の障害や意欲・自発性の低下を検出・評価する検査です。
 標準注意検査法では7つの下位検査が行われ、標準意欲評価法では面接・質問紙・行動観察による評価が行われます。


CPT(持続処理課題):

 CPT(持続処理課題)は持続性の注意を測定する検査です。不注意と衝動性を客観的に評価する検査であり、米国ではADHDスクリーニングなどに用いられています。




「実行機能(遂行機能)」の測定検査

 実行(遂行)機能を測定する神経心理学検査としては、「ハノイの塔課題」、「トレイル・メイキング・テスト(TMT)」、「ウィスコンシス・カードソーティング・テスト(WCST)」、「BADS(遂行機能障害症候群の行動評価)」などがあります。

ハノイの塔課題(問題):

 実行(遂行)機能の障害の有無を判断する検査です。パズルの1種であり、円盤を移し替えるという課題で問題解決能力、プランニング能力が試されます。
 類似したものに、「ロンドン塔課題」があります。


トレイル・メイキング・テスト(TMT):

 前頭葉機能や実行(遂行)機能の障害を調べる検査です。幅広い注意、ワーキングメモリ、空間的探索、処理速度、保続、衝動性などを総合的に測定できます。
 紙面に記載されたターゲット(数字・文字)を順に線で結ばせる検査です。


ウィスコンシス・カードソーティング・テスト(WCST):

 ウィスコンシスカード分類検査とも呼ばれ、前頭葉機能や遂行機能の障害を調べる検査です。
 色・形・数の3つの分類カテゴリーでカードを分類させる検査です。


BADS(遂行機能障害症候群の行動評価):

 日常生活上の遂行機能に関する問題点を検出するための検査です。カードや道具を使った6種類の下位検査と1つの質問紙から構成されています。
 得点は最高24点で、カットオフは11点以下となります。



認知機能全般の測定検査
COGNISTAT:

 COGNISTATは、成人対象の認知機能を測定する検査です。頭部外傷による脳損傷、認知症、脳血管性障害、統合失調症、うつ病、アルコール性障害などの認知障害(機能低下)を評価します。
 11種類の下位検査(見当識・注意・語り・理解・復唱・呼称・構成・記憶・計算・類似・判断)から構成されます。


BACS-J(統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版):

 BACS-J(統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版)は、統合失調症患者の認知機能を幅広く簡便に評価する尺度です。
 言語性記憶、ワーキング・メモリ(作動記憶)、運動機能、注意、言語流暢性,および遂行機能を評価する6つの検査で構成されます。


Luria-Nebraska神経心理学バッテリー:

 Luria-Nebraska神経心理学バッテリー(ルリア・ネブラスカ)は成人向けに開発され、脳損傷のタイプ、程度、部位などが評価できるとされます。
 子供用の神経心理学的バッテリーも開発されています。



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