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心理学用語集: ウェクスラー式知能検査

4 - 心理査定・検査知能検査 > 43- ウェクスラー式知能検査

 ここでは、「ウェクスラー式知能検査」についてまとめます。
 ウェクスラー式知能検査知能は、「Wechsler,D.(ウェクスラー)」が、個人の知能構造を診断する目的で開発した知能検査です。
 知能検査としては体系的で、現在最も使われている検査法とされています。


ウェクスラー式知能検査の特徴

 ウェクスラーは、知能を「目的的に行動し、合理的に思考し、環境を効果的に処理するための、個人の集合的ないしは全体的能力」と定義しました。
 検査結果には、「偏差知能指数DIQ」を使用します。
 ウェクスラー式知能検査には、適用する年代別に分かれた3つがあります。

  1. 成人用:WAIS(ウェイス)
  2. 児童用:WISC(ウィスク)
  3. 幼児用:WPPSI(ウィピシー)

 現在日本で、使用されている「日本語版ウェクスラー式知能検査」についてまとめていきます。
 最新版としては、2011年に「WISC-W」、2017年に「WPPSI-V」、2018年に「WAIS-W」が刊行されています。


< 日本語版の適用年齢 >

 最新の知能検査の「適用年齢」は下記の通りです。WAIS-Wは、90歳11か月まで上限が拡大されています。

最新の適用年齢(2019年時点)

  1. WPPSI-V:2歳6ヶ月〜7歳3ヶ月
  2. WISC-W: 5歳0ヶ月〜16歳11ヶ月
  3. WAIS-W:16歳〜90歳11か月

(参考:以前の適用年齢)

  1. WPPSI: 3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月
  2. WISC-W: 5歳0ヶ月〜16歳11ヶ月
  3. WAIS-V:16歳〜89歳
< 日本語版の検査指標 >

 最新版の検査の指標を下記にまとめました。

  1. 全検査IQ(FSIQ):
     知能全体を示す指標。
     得点による分類は、「平均(90-109)」を中心として、上下に「10刻み」で定められている。
    「特に低い(69以下)」「境界線(70-79)」「平均の下(80-89)」「平均(90-109)」「平均の上(110-119)」「高い(120-129)」「得に高い(130以上)」
  2. 指標得点
     「言語理解(VCI)」「知覚推理(PRI)」「ワーキングメモリ(WMI)」「処理速度(PSI)」の4つの能力を示す指標。
     得点による分類(「平均の下」など)は、全検査IQと同じ。
  3. 一般知的能力指標GAI):
     WAISとWISCにて利用。一般知能に近く、結晶性能力・推論能力を反映。補助的な指標で言語理解と知覚推理の検査から算出。
  4. 認知熟達度指標(CPI):
     WISCで利用。熟達によって自動化され、情報を流ちょうに処理する能力を反映。補助的な指標でワーキングメモリと処理速度の検査から算出。
  5. 語い総合得点(GLC):
     WPPSIで利用。言語の理解と表現の度合いに関連。

(参考:以前に使用されている指標)

  1. 言語性IQ:
     WAISとWPPSIにて利用。学習や教育によって確立された判断や習慣に関連がある知能指数(結晶性知能に関連)。
  2. 動作性IQ:
     WAISとWPPSIにて利用。新しい状況に柔軟に体操る能力に関連が深い知能指数(流動性知能に関連)。
  3. 群指標:
     WAIS−Vにて利用。「言語理解(VC)」「知覚統合(PO)」「作動記憶(WM)」「処理速度(PS)」の4つの能力を示す指標。

実施方法と評価

 ウェクスラー式知能検査は、決められた下位検査の順番に従って施行します。
 また、時間短縮のために、「中止条件」や「制限時間」が設定されています。
検査施行における留意点を挙げます。

  1. すぐに検査を始めることなく、最初にラポールを形成する。
  2. 被検査者の状況に応じて、必ずしも一度にすべての検査を実施する必要はない。測定対象に応じた簡易法による施行も可能である。
  3. 検査が中断された場合は、原則として、「1週間以内」に2回目を行う。
  4. ある下位検査やその代替検査がどうしても実施できない場合でも、評価点合計の比例計算よりIQを算出できる。

 実施後は、検査結果の記録に基づき、下位検査の得点と、全検査IQや指標得点などの指標を算出します。
 得点の算出後、「指標」、「下位検査の得点」、「ディスクレパンシー」といった定量情報だけでなく、「被検者の検査中の様子」や「事前情報等」などから評価を行います。

ディスクレパンシ―:

 「ディスクレパンシー(discrepancy)」とは、指標間のズレのことです。ウェスクラー知能検査の特徴は、知能の偏りを見ることです。
 「4つの指標得点の間(または群指標)」、「下位検査得点の間」に大きな得点差異がある場合、”ディスクレパンシーがみられる”といいます。



WAISの検査構成

 WISC-Wが2018年に刊行されました。WAISの下位検査と指標得点との関連を「WAIS-W」と「WAIS-V」についてまとめます。


WAIS-W:

 WAIS-Wから、新たに3つの下位検査「パズル」「バランス」「絵の抹消」が加わりました。
指標得点と下位検査の関係を表にまとめました(下記をクリック)。



WAIS-V:

 WAIS-Vには言語性IQ、動作性IQ、群指標があります。それらと下位検査の関係を表にまとめました(下記をクリック)。



WISCの検査構成

 WISC-Wが2011年に刊行されました。「WISC-W」では、WISC-Vの下位検査であった「絵画配列」「組み合わせ」「迷路」は削除されています。


WISC-W:

 WISC-Wの下位検査と指標得点との関係を表にまとめました(下記をクリック)。



WPPSIの検査構成

 2017年にWIPPSIが改訂され、WPPSI-Vが刊行されました。
 WPPSI-Vは、「2歳6ヶ月〜3歳11ヶ月」と「4歳0ヶ月〜7歳3ヶ月」の2部構成となります。


WPPSI-V:

WPPSI-Vの下位検査と指標得点との関係を表にまとめました(下記をクリック)。



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