ここでは、知能に関する心理検査である「K-ABC(K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー)」、「DN-CAS認知評価システム」、「ITPA(ITPA言語学習能力診断検査)」「DAM(グッドイナフ人物画知能検査)」についてまとめます。
用語:K-ABC / DN-CAS / ITPA言語学習能力診断検査(イリノイ心理言語能力) / DAM(グッドイナフ人物画知能検査)
「K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー」とは、「KaufmanA.S.とKaufmanN.L.(カウフマン)」が作成した知能検査です。
子どもの認知能力と学力の基礎となる習得度が測定できる事により、心理学的観点だけでなく教育的な観点を持っているという特徴があります。米国版と日本語版では、適用年齢や尺度、下位検査などが一部異なっています(米国版は「習得尺度」がない)。
KABC-II日本語版の適用年齢は「2歳6ヶ月〜18歳11ヶ月」です(参考:KABCは「2歳6ヶ月〜12歳11ヶ月」)。
KABC-IIは、カウフマンモデル(ルリア理論/Luria理論)およびキャッテル-ホーン-キャロル(CHC)理論という二つの理論基盤に基づいており、検査結果を異なった相補う観点から解釈することができます。(引用)
尺度は、「情報を認知的に処理する能力、知識等を獲得する能力」を測定する認知尺度と、「語彙、読み、書き、算数といった習得した基礎的学力」を測定する習得尺度からなります。「認知尺度(下位4尺度)」と「習得尺度(下位4尺度)」は別々と考えられ、それを総合する得点はありません。
認知尺度 |
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| 習得尺度 |
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検査には、聴力障害、言語障害などの子供の評価が不利にならないように「非言語性検査」が含まれています(非言語検査:手の動作、顔探しなど)。
尺度から算出された標準得点から評価を行います。「尺度間の比較(継次処理と同時処理など)」や、「下位検査のプロフィール分析」により、子供の強い(弱い)能力とその影響要因について仮説を立てて検討します。
一般に、自閉症児は認知尺度の「同時尺度」の得点が高く「継次尺度」の得点は低いとされます。
キャッテル-ホーン-キャロル(CHC)理論は、一般能力・広範的能力・限定的能力の3階層からなる心理測定学に基づく理論です。
日本版KABC-IIはCHCモデルの広範的能力10のうち7つの能力を測定しています。
( 詳細: ▼ CHCモデルの尺度 )
「DN-CAS認知評価システム」は、J.P.Dasによる知能のPASS理論を基礎とした、子どもの認知処理過程の特徴理解するための心理検査です。
「プランニング」(P)「注意」(A)「同時処理」(S)「継次処理」(S) の4つの認知機能(PASS)の側面から子どもの発達の様子を捉えることが特徴です。
適用年齢は、「5歳0カ月〜17歳11カ月」までです。
言語的知識や視覚的知識にあまり頼らない12種類の下位検査からなり、発達障害に見られる認知的偏りをとらえ、支援へとつなげます。
「ITPA言語学習能力診断検査」は、「Kirk,S.A.(カーク)」らによって開発された言語能力の検査です。「イリノイ心理言語能力検査」とも呼ばれます。
言語能力のうち「伝達」と「理解」の能力を測定し、「全体のレベル」だけでなく「個人内差(各能力の間の優劣)」を測定するのが特徴です。
ことばの発達の遅れや、学習障害の子どもの診断と治療教育に力を発揮するとされます。
ITPAの適用年齢は、「3歳0ヶ月〜9歳11ヶ月」です。
10個の下位検査から、「言語学習年齢(PLA)」が算出されます。また、下記のような評価を行います。
DAM(Draw A Man test)は、「Goodenough,F.L.(グッドイナフ)」が開発した心理検査です。
「グッドイナフ人物画知能検査」とも呼ばれます。
人物画を描いてもらう方法によって、「動作性知能」を測定し、結果としては精神年齢、知能指数IQが算出されます。
日本語版の適用年齢は、「3歳〜8歳6ヵ月(健常児)」とされています。
実施方法は、「人をひとり描いてください(頭の先から足のさきまで全部です)」と教示し、鉛筆か1色のクレヨンで描いてもらいます。
女性が描かれた場合は、さらに男性を描いてもらい、「男性像のみ」を採点の対象とします。
頭・眼・顔・胴・足・指などのパーツ毎に設けられた採点基準に従って採点を行い、その後評価と検討を行います。