ここでは、「知能検査の概要とその種類」についてまとめます。
「知能」とは「学習する能力、学習によって獲得された知識及び技能を新しい場面で利用する能力であり、また、獲得された知識を選択的適応をすること」(アメリカ心理学会)とされます。
知能検査は、知能を測定するために作成された心理検査です。
世界で最初の知能検査とされるのは、「Binet,A.(ビネー)」と「Simon,T(シモン)」が知的の学問的な診断法を確立するために開発した「ビネー式知能検査」です。
当初の知能の指標としては「精神年齢」が用いられていましたが、その後「知能指数(IQ:Intelligence Quotient)」を「Stern,W.(シュテルン)」が考案しました。そして、「Terman,L.(ターマン)」が知能検査に採用したことで、使用されるようになりました。
一方、「Wechsler,D.(ウェクスラー)」は、知能構造の診断をするために「ウェクスラー式知能検査」を開発しました。ウェクスラー式知能検査は、知能指数ではなく、「偏差知能指数」を用いています。
知能指数としては、「知能指数(IQ)」、「知能偏差値(ISS)」、「偏差知能指数(DIQ)」があげられます。
知能指数と知能偏差値は、主にビネー式知能検査に用いられ、偏差知能指数は主にウェクスラー式に用いられます。
知能検査の分類には、個別式知能検査と集団式知能検査といった分類もあります。
個々人に対して実施する「個別式知能検査」に対して、集団で一斉に実施するのが「集団式知能検査」です。
個別式知能検査の代表的な検査には下記のようなものが挙げられます。
個別式知能検査に対して、集団で一斉に行う「集団式知能検査」もあります。
集団知能検査として代表されるのは、「陸軍心理検査/アーミーメンタルテスト(AMT:Army Mental Test)」です。
これは、Otis,A.(オーティス)の原案を元に、Yerkes,R.(ヤーキーズ)らが米陸軍の兵員配置のために作成した集団知能検査であり、「α式とβ式」からなります。
日本の集団式知能検査として、田中寛一らによって作成された「田中A式・B式知能検査」があります。
集団式知能検査は、学習障害や発達の遅れのスクリーニングとして使うことができます。