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心理学用語集: 心理状態に対する質問紙

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 ここでは、心理状態を検査する代表的な質問紙法をまとめます。

  1. 不安尺度
    MAS(顕在性不安尺度)」
    STAI(状態-特性不安尺度)」
    LSAS-J(リーボヴィッツ社交不安尺度)」
    GAD-7」・「CAS(不安測定性格検査)」
  2. 精神的・身体的健康状態の尺度
    CMI(コーネル健康調査票)」
    GHQ(精神健康調査票)」
  3. 抑うつ尺度
    BDI(ベック抑うつ質問票)」
    SDS(うつ性自己評価尺度)」
    HAM-D(HRSD:ハミルトン抑うつ評価尺度)」
    EPDS(エジンバラ産後うつ病質問票)」
    GDS-15-J(老年期うつ検査)」

不安尺度 MAS・STAI・LSAS-J
MAS(顕在性不安尺度):

 「MAS(顕在性不安尺度)」は、Taylor,J.A(テイラー)が、不安を定量的に測定するために、「MMPIから質問を抽出して作成した質問紙」です。
 顕在的な不安とは、発汗などの身体的な兆候及び、緊張や心配など精神的な兆候として表れる不安のことです。
 日本版は、不安尺度50項目に、妥当性尺度15項目を加えた65項目から構成されています。
 不安得点(A得点)が、一般「男性19点以上、女性23点以上」、大学生「男性・女性ともに23点以上」が不安が高いとされます。
 また、妥当性尺度のL得点は11以上の場合は「自分を好ましく見せようとする傾向」が示唆されます。

STAI(状態-特性不安尺度):

 「STAI(状態-特性不安尺度)」は、Spielberger,C.D(スピールバーガー)が開発した不安尺度です。
 「状態不安」と「特性不安」の両方を測定します。
 状態不安とは、一時的な情緒状態であり、感情状態と生理的反応からなります。
 特性不安とは、不安状態に対する個人の反応傾向で、比較的安定した性格傾向を意味します。
 状態不安と特性不安に対する質問がそれぞれ20項目であり、全40項目から構成されます。

LSAS-J(リーボヴィッツ社交不安尺度):

 「リーボヴィッツ社交不安尺度(LSAS-J:Liebowitz Social Anxiety Scale)」は、Liebowitz,M.R.(リーボヴィッツ)によって考案された社交不安症の尺度です。
 24項目の質問から構成され、重症度の評価が可能であり、「境界域は30点、50点〜70点が中等度、90点以上が重度」とされます。

GAD-7 / CAS(不安測定性格検査):

 「GAD-7」は全般性不安障害を簡易に評価するための自己記入式の質問票です。7つの質問から構成されており、過去2週間の状態から評価します。21点満点であり、「5〜9 点は軽度、10〜14 点は中等度、15〜21点は重度」と評価されます。

 「CAS(不安測定性格検査)」は、Cattell,R.Bが作成した40項目の不安尺度です。自己統制力 自我の弱さ 疑い深さ 罪悪感 感情性の5つの因子で不安傾向を測定します。



精神的・身体的健康状態 CMI・GHQ
CMI(コーネル健康調査票):

 「CMI(コーネル健康調査票)」は、コーネル大学のBrodmanらにより開発された質問紙で、身体的及び精神的の自覚症状を測定します。
 日本語版は、12区分の身体的項目と6区分の精神的項目からなり、男性211項目、女性213項目の質問から構成されています。
 医療機関における「問診の補助」としてや、産業や教育における「神経症の重症度のスクリーニングテスト」としても用いられます。

GHQ(精神健康調査票):

 「GHQ(精神健康調査票)」は、英国Maudsley精神医学研究所のGoldBergによって開発された質問紙です。主に神経症者の症状把握、評価及び発見に有効な「スクリーニングテスト」です。
 A)身体的症状、B)不安と不眠、C)社会的活動障害、D)うつ傾向に関する60項目の質問から構成されています。
 短縮版として、GHQ30(質問30項目)、GHQ28(質問28項目)、GHQ12(質問12項目)があります。



抑うつ尺度 BDI・SDS・HAM-D・EPDS・GDS-15
BDI-II(ベック抑うつ性尺度):

 「BDI(Beck Depression Inventory: ベックうつ性尺度)」は、Beck,A.Tが開発した抑うつの重症度を測定するための尺度です。現在は、BDI-II(Second Edition)が利用されています。
 過去2週間の状態についての21項目の質問から構成されています。
 BDI-II原本の点数の指標としては、抑うつ軽度「14〜19点」、中等度「20〜28点」、重度「29点〜63点」が目安となっています。
 日本語BDI-II版の手引でも同様の目安とされています(臼田, 2013 )。

SDS(うつ性自己評価尺度):

 「SDS(うつ性自己評価尺度)」は、Zung,W.W.K(ツァン)が開発したうつ病関連の全ての症状を包括した抑うつ尺度です。
 20項目の質問からなる4件法の自己による評定尺度です。最低が20点で高得点ほど重症度が高く、カットオフは40点です。
 点数の指標としては、抑うつ軽度「40〜47点」、中等度「48〜55点」、重度「56点以上」となっています。


 そのほか代表的な抑うつ尺度として下記のようなものがあります。

HAM-D(HRSD):

 「HRSD(ハミルトン抑うつ評価尺度):HAM-D」は、Hamilton,M.Aが開発した「検査者」が記入する抑うつ評価尺度です。精神医学臨床でよく使われます。

エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS):

 「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」は、Coxらが開発した「自記式」の産後うつのスクリーニング尺度です。「妊娠前期」から「産後 1 年以上」の期間の女性を対象に用いられます。
 日本人のカットオフは9点であり、それ以上は産後うつ病を示唆します。

老年期うつ検査(GDS-15-J):

 「老年期うつ検査-15-日本版(GDS-15-J)」は、うつのスクリーニング検査です。
 SheikhとYesavageが作成したGDS-15の日本語版であり(杉下・朝田が作成)、認知症患者のうつを検出することができます。
 日本人のカットオフは7点であり、それ以上はうつ病を示唆します。



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