ここでは、質問紙法によるパーソナリティ検査の1つである「YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)」についてまとめます。
用語:検査の特徴 / 検査尺度と因子 / プロフィール(A型・B型・C型・D型・E型)
「YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)」は、Guilford,J.P(ギルフォード)とMartin,H.Gが作成した性格検査を、矢田部達郎が内的整合性を重視し再構成した尺度です。
特性論に基づき因子から構成されますが、結果の解釈は類型論によって5つに分類されます。特徴としては下記が挙げられます。
YG性格検査は12尺度から構成されています。前半6尺度(Coまで)は情緒性、後半6尺度は向性に関係しています。
12尺度 | |
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D: 抑うつ (depression) | 陰気で悲観的 |
C: 回帰性傾向 (cyclic tendency) | 気分の変わりやすさ |
I: 劣等感 (inferiority feelings) | 自信の無さ、自己を過小評価 |
N: 神経質 (nervousness) | 過敏、心配性 |
O: 客観性 (objectivity) | 客観的か主観的。主観的だと空想的で過敏ない傾向がある |
Co: 協調性 (cooperativeness) | 協調的か非協調的。非協調的だと不満、不信質の傾向がある |
Ag: 攻撃性 (agreeableness) | 攻撃的かそうでないか。 |
R: のんきさ (rhathymia) | のんきかそうでないか。のんきは気軽で衝動的な傾向がある |
G: 一般的活動性 (general activity) | 心身両面で活動的か非活動。 |
T: 思考的内向/外向 (thinking extra/intra) | 思考的に内向か外向か。外向は思索的、反省的でない傾向がある。 |
A: 支配性 (asendance) | 支配的か服従的か。 |
S: 社会的内向/外向 (social extra/intra) | 社会的に内向か外向か。社会的接触を好むかどうか。 |
12尺度は、6因子に分類されています。分類は統計的な因子分析の結果のままではなく、それを参考に作成されたものです。
≪6因子とその構成尺度≫
各尺度の粗点を算出し、検査プロフィール用紙において男女別に記載されている該当点数に印をつけます。
それによって各尺度の標準点(1〜5点)がわかります。そして、プロフィール用紙で10つに分けられた領域内につけられている印を数えることで、プロフィールの判定を行います。
プロフィールの判定は、典型となる5つの類型(A型・B型・C型・D型・E型)をもとに行われます。典型以外に、準型や混合型があります。(例:典型A型、準型A’型、混合型AC型)
A型:平均型(Average type) |
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「中央寄り」のプロフィール 平均的な性格を示す。 | B型:不安定積極型(Black list type) |
「右寄り」のプロフィール 情緒が不安定で社会的に不適応。一方、活動性が高く外向的。 | C型:安定消極型(Calm type) |
「左寄り」のプロフィール 情緒が安定しており社会的にも適応している。一方、活動性は低く、内向的。 | D型:安定積極型(Director type) |
「右下がり」のプロフィール 情緒が安定し適応的で活動性も高く、好ましい性格。 | E型:不安定消極型(Eccentric type) |
「左下がり」のプロフィール 情緒が不安定で非活動的。内向的でありノイローゼ傾向が強い。 |
型とプロフィール図の関係は、A型から順に「中・右・左・右下・左下」というように覚えるもよいです。
「類型レベル」の判定を行った後に、「尺度レベル」、「因子レベル」において特に標準点が大きいまたは小さいものに着目し、詳細に解釈を行っていきます。