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心理学用語集: YG性格検査

4 - 心理査定・検査質問紙・作業検査法 > 22- YG性格検査

 ここでは、質問紙法によるパーソナリティ検査の1つである「YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)」についてまとめます。

用語:検査の特徴検査尺度と因子プロフィール(A型・B型・C型・D型・E型)



YG性格検査の特徴

 「YG性格検査(矢田部ギルフォード性格検査)」は、Guilford,J.P(ギルフォード)とMartin,H.Gが作成した性格検査を、矢田部達郎が内的整合性を重視し再構成した尺度です。

 特性論に基づき因子から構成されますが、結果の解釈は類型論によって5つに分類されます。特徴としては下記が挙げられます。

  1. 12尺度から構成され、1尺度10問、全体で120項目の質問がある。
  2. 「はい〇」、「いいえ?」、「どちらでもない△」の3件法。
  3. 検査者が質問を一定間隔で読み上げ、そのペースに合わせて被検者が回答するという「強制速度法」で行う。
  4. 実施、採点が容易で、産業や教育領域などでも多用され先行研究が多い。
  5. 妥当性尺度が無く、回答の歪曲に弱いという短所がある。

YG性格検査の尺度

 YG性格検査は12尺度から構成されています。前半6尺度(Coまで)は情緒性、後半6尺度は向性に関係しています。

12尺度
D: 抑うつ
(depression)
陰気で悲観的
C: 回帰性傾向
(cyclic tendency)
気分の変わりやすさ
I: 劣等感
(inferiority feelings)
自信の無さ、自己を過小評価
N: 神経質
(nervousness)
過敏、心配性
O: 客観性
(objectivity)
客観的か主観的。主観的だと空想的で過敏ない傾向がある
Co: 協調性
(cooperativeness)
協調的か非協調的。非協調的だと不満、不信質の傾向がある
Ag: 攻撃性
(agreeableness)
攻撃的かそうでないか。
R: のんきさ
(rhathymia)
のんきかそうでないか。のんきは気軽で衝動的な傾向がある
G: 一般的活動性
(general activity)
心身両面で活動的か非活動。
T: 思考的内向/外向
(thinking extra/intra)
思考的に内向か外向か。外向は思索的、反省的でない傾向がある。
A: 支配性
(asendance)
支配的か服従的か。
S: 社会的内向/外向
(social extra/intra)
社会的に内向か外向か。社会的接触を好むかどうか。

YG性格検査の6因子:

 12尺度は、6因子に分類されています。分類は統計的な因子分析の結果のままではなく、それを参考に作成されたものです。

6因子とその構成尺度

  1. 情緒不安定性因子:
     D(抑うつ)、C(回帰性傾向)、I(劣等感)、N(神経質)の4尺度から構成
  2. 社会不適応性因子:
     O(客観性)、Co(協調性)、Ag(攻撃性)の3尺度から構成
  3. 活動性因子:
     Ag(攻撃性)、G(一般活動性)の2尺度から構成
  4. 衝動性因子:
     G(一般活動性)、R(のんきさ)の2尺度から構成
  5. 内省性因子:
     R(のんきさ)、T(思考的内向/外向)の2尺度から構成
  6. 主導性因子:
     A(支配性)、S(社会的内向/外向)の2尺度から構成

YG性格検査の判定・解釈

 各尺度の粗点を算出し、検査プロフィール用紙において男女別に記載されている該当点数に印をつけます。
 それによって各尺度の標準点(1〜5点)がわかります。そして、プロフィール用紙で10つに分けられた領域内につけられている印を数えることで、プロフィールの判定を行います。

 プロフィールの判定は、典型となる5つの類型(A型・B型・C型・D型・E型)をもとに行われます。典型以外に、準型や混合型があります。(例:典型A型、準型A’型、混合型AC型)


A型:平均型(Average type)
「中央寄り」のプロフィール
平均的な性格を示す。
B型:不安定積極型(Black list type)
「右寄り」のプロフィール
情緒が不安定で社会的に不適応。一方、活動性が高く外向的。
C型:安定消極型(Calm type)
「左寄り」のプロフィール
情緒が安定しており社会的にも適応している。一方、活動性は低く、内向的。
D型:安定積極型(Director type)
「右下がり」のプロフィール
情緒が安定し適応的で活動性も高く、好ましい性格。
E型:不安定消極型(Eccentric type)
「左下がり」のプロフィール
情緒が不安定で非活動的。内向的でありノイローゼ傾向が強い。

型とプロフィール図の関係は、A型から順に「中・右・左・右下・左下」というように覚えるもよいです。

 「類型レベル」の判定を行った後に、「尺度レベル」、「因子レベル」において特に標準点が大きいまたは小さいものに着目し、詳細に解釈を行っていきます。



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