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心理学用語集: パーソナリティ検査

1 - 基礎心理学知能・パーソナリティ >55- パーソナリティ検査

 心理検査の方法はいくつかありますが、最も多用されているものは「面接法」という研究結果があります。
 ここでは、心理検査の分類のひとつであるパーソナリティ検査の方法について説明します。
 ここで挙げた代表的な検査の詳細については、別途「心理検査(概要)」でもまとめています。

用語: 検査法の種類質問紙法と投影法の比較テストバッテリー心理検査の留意点



パーソナリティ検査法:質問紙法、投影法(投映法)、作業検査法

パーソナリティ検査の方法は、「質問紙法、投影法、作業検査法」に分類されます。

質問紙法 :

 質問紙法とは、質問紙を用いて、定型的な質問に対して回答してもらい、その回答から査定を行う方法です。回答には、「選択肢回答」と「自由回答」があります。
 (詳細:質問紙法
 質問紙法による代表的なパーソナリティ検査には、「YG性格検査(矢田部=ギルホード性格検査)」、「MMPI(ミネソタ多面人格目録)」、「NEO-PIR」などが挙げられます。


投影法(投映法) :

 投影法とは、曖昧な視覚的・言語的刺激を与え、それに対する連想や自由な反応から査定を行う方法です。
 (詳細:投影法
 投影法による代表的なパーソナリティ検査には、「ロールシャッハテスト」、「主題統覚検査(TAT)」、「文章完成法(SCT)」、「P−Fスタディ(絵画欲求不満テスト)」、「風景構成法」、「バウムテスト」などが挙げられます。


作業検査法 :

 作業検査法とは、単純作業をさせ、その作業量の推移から査定を行う方法です。
内田=クレペリン精神作業」に代表されます。
 (詳細:作業検査法


質問紙法と投影法の比較:

「質問紙法」と「投影法」は、それぞれの長所・短所を補完しあう関係にあります。
下表に2つの長所・短所をまとめます。

 検査対象
 質問紙法  投影法
意識面の把握を行います。 無意識面、もしくは、前意識の把握を行います。
 長所
 質問紙法  投影法
  1. 短時間で行えるため、被検査者の精神的・時間的負担が少ないです。
  2. 検査者の熟練が不要で、実施が容易です。
  1. 回答を被検者が歪曲することが難しいです。
  2. 被検査者の言語能力の影響を受けにくいです。
 短所
 質問紙法  投影法
  1. 被検査者が回答を歪曲することができます(故意または無意識の防衛)。
  2. 個人の言語能力や文化的背景によって、質問文の解釈に個人差があります。
  1. 心理的な負担大きいことや、テストの施行に時間が長くかかり疲労を与えます。
  2. 検査者の習熟が必要であり、解釈が変わってきます。またテスト結果の整理に時間がかかります。



テストバッテリー

 個々の心理検査は、それぞれ人間のある側面しか捉えることができないため、複数の検査をおこなうことで多面的、重層的にその人を捉えることを「テストバッテリー」と言います。
 (概要:テストバッテリー

 パーソナリティ検査のテストバッテリーは、「質問紙+投影法」の構成が基本ですが、一つの心理特性の総合的判断と高い信頼性を得るためには、査定目的、検査時間と経済性、習熟度により、望ましい組み合わせが変わってきます。
 現場において、よく使われる例には、以下のようなものがあります。

  1. 精神科:
     MMPI(質問紙)、ロールシャッハテスト(投影法)、HTP(描画)、WAIS(知能検査)など
  2. 教育現場(知的、情緒的適応):
     YG性格検査(質問紙)、内田クレペリン検査(作業検査)、集団知能検査/WISC(知能検査)など

 テストの順番には注意が必要で、子どもは描画法から、大人は質問紙から入る方が良いと言われます。
 ロールシャッハテストやTATといった投影法を最初にすると、侵襲性が高いため、後で行われるテストで正確な結果が得られなくなる可能性があるとされています。



心理検査の留意点

 心理検査は、「クライエントの支援のために実施するもの」であり、カウンセラーや検査者のためではありません。
 心理検査の限界を理解し、留意点を考慮して実施します。
別途、「心理検査の利点と限界」と「心理検査の留意点」を参照ください。




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