研究法は、分類する方法によって複数の種類がわかれます。
ここでは、データの収集方法によって分類される「観察法・実験法・面接法・質問紙法」および、データの収集時点によって分類される「横断的研究法・縦断的研究法」についてまとめます。
また、「実験計画(研究デザイン)」についても記載します。
用語:
それぞれの研究法の特徴をまとめます。
観察法(自然観察法) |
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観察法(自然観察法)とは、「調査対象を客観的にありのまま観察して、データを収集する方法」です。
(参照:参与観察法)
観察場面の抽出方法には、「時間見本法,場面見本法,事象見本法,日誌法」があります。 記録方法には、「行動目録法(チェックリスト法),行動評定,行動描写法」があります。 (詳細:▼ 観察場面の抽出法と記録法) | 実験法(実験観察法/実験的研究法) |
実験法(実験観察法/実験的研究法)とは、「実験者が特定の条件を作り出して、行動観察を行う方法」です。
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面接法 |
面接法とは「対面し、会話することで研究する方法」です。
(参照:構造化・半構造化・非構造化面接)
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質問紙法 |
質問紙法とは「質問紙への回答からデータを取集する方法」です。
どの程度合意できるか・当てはまるかを回答する質問紙を「リッカート尺度」と呼びます。5段階(5件法)や7段階(7件法)の選択肢がありますが、5段階のものが多いです。 [尺度の選択肢の例] 1非常に必要・2必要・3どちらとも言えない・4必要でない・5全く必要でない |
研究においてはさまざまなバイアス(偏りや誤り)が生じます。下記にそれらをまとめます。
<一般的なバイアスの種類>
<観察法のバイアス>
「観察法」で生じやすい現象としては、研究者の「観察者バイアス」が挙げられます。
観察者バイアスとは「観察者が見出すことを期待している行動を強調しすぎて、それ以外の行動に気づかないという測定における誤差」をさします。このために研究においては、盲検化などが行われます。
<質問紙法のバイアス>
「質問紙」において、被験者が回答するときに生じやすい傾向としては下記のようなものがあります。
データの収集時点によって分類される「横断的研究法」、「縦断的研究法」の特徴と、「コホート研究」についてまとめます。
横断的研究法とは、「ある時点における対象の状況を調査する方法」です。
例えば、年代別の知能を比較するために、さまざまな年齢集団に対して知能検査を行う事は、横断的研究法あたります。
縦断的研究法とは、「個人や同一の対象集団を長期間追跡調査する方法」です。
例えば、ある人の知能の変化を調べるために、長年、定期的にその人の知能検査を行う事は、縦断的研究にあたります。
コホートとは「一定の時期に、人生における重大な出来事を体験した集団」を示します。
コホートの体験には、「生まれた時期(同年齢・同年代)や、社会的変動経験、共通経験」といったものがあります。
コホート研究とは、「あるコホートとその他の集団」を比較研究する研究法です。追跡研究とも呼ばれます。
ここでは、実験計画や研究デザインの立案についてまとめます。
実験的研究法では、結果の法則化や、因果関係を明らかにすることを目的とします。
「介入研究」とは、治療法や予防法、教育法等の効果の有効性を明らかにすることを目的とします。介入研究は、対象となる集団を2つ以上のグループに分け、それぞれ異なる治療法等に関して、介入を行います。
「実験群・介入群」とは治療、予防法などを実施する人達の群であり、何もしない群(偽薬を与える等)を「対照群・統制群」と呼びます。実験群と対照群は等質(同じ質であること)となることが実験のための条件です。
研究は、下記のような手順で計画と実施をしてゆきます。
例えば、「Muller-Lyer錯視の図形に関して、矢羽根の角度が錯視量にどのように影響を与えるのかを調べるため」の実験計画を立てます。その場合、独立変数(変化させるもの)は、「矢羽の角度」であり、従属変数は「錯視量(矢線の長さ)」と設定します。
評価のバイアスを避けるために、独立変数である矢印の角度をランダムに変化させて提示します(精神物理学的測定法の恒常法)。
「無作為化(ランダム化)」とは、評価のバイアス(偏り)を避けるために無作為に標本の抽出や割り当てを行う事です。
「ランダム化比較試験(RCT)」とは、介入研究の効果検証のために、研究の対象者(被検者)を無作為化によって実験群と対照群に割り当てて、比較する研究法です。
無作為化が困難な場合などにおいては、研究の内的妥当性が低くなってしまいます。
そのような場合において、内的妥当性を高くするように工夫された研究法は「準実験的研究法(準実験デザイン)」と呼ばれます。
「盲検化」とは、評価のバイアスを避けるために、検査者や被験者に対して、どちらが実験群で対照群かということを隠すことです。下記のような種類があります。
その他の研究への影響する要因を統制する方法として下記が挙げられます。
研究で用いられれる測定法に「心理物理学的測定法」または「精神物理学的測定法」があります。Fechner,G.T(フェヒナー)の刺激に対する感覚の測定法に代表されます。
心理(精神)物理学的測定法には、下記のようなものがあります。「極限法・恒常法・調整法」は伝統的精神物理学的測定法とされます。
「反応バイアス」とは、「想起バイアス」・「報告バイアス」などとも呼ばれ、研究参加者が過去の出来事や経験を想起して得られた「回想の正確性や完全性の違いから生じる誤差」のことをさします。
反応バイアスを含みにくい心理(精神)物理学的測定法は、“ランダム”に量を変化させ、試行回数が多い「恒常法」が挙げられます。そのため、恒常法で用いられる二肢強制選択法も反応バイアスを含みにくいといえます。
「心理測定関数」とは、精神測定関数や刺激特性曲線などとも呼ばれ、刺激の物理量と、その刺激によってうける反応との関係をあらわす関数です。刺激による反応とは、通常は強制選択法での正答率となります(例:どちらの音が大きいかの正答率)。
心理測定関数を直接得る実験手法としては「恒常法」が用いられます。