ここでは、研究における「妥当性」についてまとめます。
用語: 妥当性とは / 構成概念妥当性(収束的・弁別的・因子) / 内容的妥当性(表面的・論理的) / 基準関連妥当性(判別的・併存的・予測的) / その他の妥当性(交差妥当性・内的妥当性・外的妥当性・生態学的妥当性)
妥当性とは、尺度が「意図したものを測定しているかどうか」を意味し、主に「構成概念妥当性」、「内容的妥当性」、「基準関連妥当性」の3つの側面があります。
射的(まとあて)で例えると、妥当性とは「まとの中心(狙い)に命中しているかの度合い」といえます。
( 要確認:信頼性とは )
また妥当性には、「意図したものを測定しているかどうかを表す妥当性」とは、別の概念である「交差妥当性、内的妥当性、外的妥当性、生態学的妥当性」といったものもあります。
「構成概念妥当性」とは、「測定対象である構成概念から予測される仮説を実証的に検証した結果から判断される妥当性」です。
例えば、不安特性の新尺度を作成したとします。不安特性は「神経症傾向」との相関は強いと予測されます。実際に、神経症傾向尺度を用いてそれを測定した結果、予測通りであれば、新尺度の構成概念妥当性は高いと言えます。
構成概念妥当性のうち、
「収束的妥当性」は、「相関が強い」と予測される別概念の検査の測定結果から判断されます。
「弁別的妥当性」は、「相関がみられない」と予測される別概念の検査の測定結果から判断されます。
また、測定したデータの因子分析の結果が、理論で想定された下位因子と一致しているかを判断する「因子妥当性」もあります。
「内容的妥当性」とは、「尺度が対象を測定できるように見えているか、論理的にどの程度測定できているかということから判断される妥当性」です。
内容的妥当性として、「表面的妥当性」と「論理的妥当性」があげられます。
「表面的妥当性」は、見たところ、それが何を測定しているようであるかという点での妥当性です。
例えば、期末テストには、「その期に学んだ内容」が出題されているかということです。また、検査が被験者にとって妥当であるかも含まれます。質問が難しい、項目数が多いなど被験者が回答しづらい検査は、妥当性を欠く懸念があるという事になります。
「論理的妥当性」は、対象となる概念を測定しているかの程度が、論理的な検証によって判断される妥当性です。
複数の専門家が、独立に主観的に判断し、その一致度から論理的妥当性を推定します。
基準関連妥当性とは、客観的基準を持つ「他の検査結果」との一致度から判断される妥当性です。
基準関連妥当性は「判別的妥当性」、「予測的妥当性」、「並存的妥当性」の3つに分かれます。
種別とその内容 |
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判別的妥当性:
例) メタボリック評価の新尺度を開発し、その測定結果のある得点を基準にして、被検者の群分けをおこなったとする。 |
併存的妥当性:
例) すでにあるストレス尺度と、新しく開発したストレス尺度との相関関係が高ければ、新尺度の併存的妥当性が高いといえる。 |
予測的妥当性:
例) 入社前に新しく開発した職業適正検査を実施する。その結果と入社1年後の業績評価の結果の相関関係が高ければ、新尺度の予測的妥当性が高いといえる。 |
上記3つ(構成概念 / 内容的 / 基準関連)の妥当性以外にも以下のような妥当性があります。
いままで述べてきた、「意図したものを測定しているかどうかを表す妥当性」とは別の概念となりますので注意してください。