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心理学用語集: 量的・質的研究

6 - 統計・研究法研究法 > 22- 量的・質的研究

 量的研究と質的研究の特徴と、質的研究に用いられる分析方法としてKJ法グラウンデッド・セオリー・アプローチについてまとめます。
用語:

  1. 量的研究質的研究事例研究法・エスノグラフィー
  2. KJ法 / 修正版グランデッド・セオリー・アプローチ会話分析
  3. アクションリサーチ

量的研究と質的研究

 量的研究と質的研究の特徴についてまとめます。

量的研究:

 量的研究とは、対象を数量を用いて理解する研究といえます。仮説の検証や予測をするために用いられます。
また、多数を対象として共通する一般傾向を明らかにするためにも用いられます(法則定立的方法)。
 データを数量化し、統計的手法による仮説検定解析を行います。


質的研究:

 質的研究とは、対象を言語的な記録などといった数量で表現できないデータを用いて理解する研究といえます。仮説を立てるために用いられます。
プロセスや文脈などもデータとしてとらえ、特定の対象を多面的、多層的に理解します。
 質的研究においても、主観的にならず、客観性を確保する方法論が工夫されており、KJ法やグランデット・セオリー・アプローチが用いられます。

 質的研究に含まれるものとしては「事例研究法」と「エスノグラフィー」があります。

  1. 事例研究法
     事例研究法とは、ある特定の事象や人物について研究する質的研究のことです。「ケーススタディ」ともいわれます。
    特定の事柄について、多角的、多層的に分析し、そこに働いている諸要因の相互関係を明らかにして、原理や法則性の仮説を立てます。
  2. エスノグラフィー
     エスノグラフィーとは、特定の文化もしくは人間集団の生活様式を調査する質的研究です。
     観察者が観察対象者の生活や業務に参加しながら調査する「参与観察」によって行われます。常にではないですが、参与観察の中でインフォーマルなインタビューを行うこともあります。
     教育学・心理学、医療・看護・福祉などのヒューマン・サービスのフィールドワークの方法論として注目されています。
     「リフレクシヴィティ(reflexivity)」と呼ばれる「研究者自身と研究対象が影響を与え合うという再帰的/循環的な関係」であることが特徴です。研究者が自身を相対的に観察するという事が重要と考えられます。


KJ法とグラウンデッド・セオリー・アプローチ

 質的研究の分析方法として、「KJ法」や「グラウンデッド・セオリー・アプローチ」、「会話分析」があります。

KJ法:

 KJ法は、川喜田二郎(イニシャルがKJ)が考案したデータの整理方法です。
 収集した言語データをカードに記述し、カードをグループごとにまとめて、統合することで、新たな発想を生み出す方法です。


グラウンデッド・セオリー・アプローチ:

 グラウンデッド・セオリー・アプローチは、質的分析方法の一つであり、現象を説明する理論(仮説)を作り出す方法です。
得られた言語データを1行ごとにコード化し、そのコードの分類と関連付けを行うことで理論を作り出します。
 日本では、「修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ」が用いられた研究が行われています。


会話分析:

 会話分析とは、会話者自身が会話をする中で、作り出し、利用する、秩序性を判別し、定式化しようとする分析方法です。
 会話分析においては、会話の録音・録画、現実の会話を一定のシンボルにしたがって転記した記録である「トランスクリプト」が用いられます。




アクションリサーチ

 研究法の一つにアクションリサーチがあります。
 「アクションリサーチ」とはK.Lewin(レヴィン)によって提唱された研究法であり、集団力学の理論を社会生活に応用し、具体的な事態の改善を試みることを意図する研究などとされます。

  1. 小集団を対象として、その集団や成員の改善や向上の実践と、集団過程に関する基礎的な研究とが、表裏一体で循環的に進められる。
  2. 教育分野では、「教師が自己成長を目指して行う自分サイズの調査研究」とされる。教師が自ら行動を計画・実施し、その行動の結果を観察し、それを内省するリサーチする(横溝, 2000)。


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