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心理学用語集 : 臨床心理士倫理綱領

5 - 法律・行政臨床心理士に関する綱領 > 92- 臨床心理士倫理綱領

 ここでは、臨床心理士の倫理についてまとめます。
 臨床心理士の倫理について定められた「倫理綱領」はいくつかありますが、下記の2つに代表されます。

  1. 「日本臨床心理士資格認定協会」の定めたもの(前文と全9条
  2. 「日本臨床心理士会」の定めたもの(前文と全8条
臨床心理士倫理綱領

 日本臨床心理士資格認定協会の制定した「臨床心理士倫理綱領」は、前文と全9条からなります。
 臨床心理士として、倫理綱領に抵触する行為をした場合、倫理員会の審判にかけられます。違反の程度によって、「厳重注意」、「一定期間の登録停止」、「登録抹消」の処分があります。

臨床心理士倫理綱領を「要約した内容」を下記にまとめます。

  1. 前文:
     臨床心理士は基本的人権を尊重し、その専門性が人々へ重大な影響を与えるという社会的自覚をして、人々の福祉の増進に努める。自ら心身を健全に保つように努め以下の綱領を遵守する。
  2. 第一条:責任
     業務の遂行においては、来談者等の人権尊重を第一とし、臨床心理士資格を持つものとしての社会的・道義的責任を持つ。
  3. 第二条:技能
     知識と技術を研鑽し、高度の技術水準を保つことに努めるとともに、能力と技術の限界を十分にわきまえること。(→継続的な職能的資質の向上と自覚
  4. 第三条:秘密保持
     業務中に知り得た事項について、専門家としての判断のもとに必要と認めた場合以外の内容を他に漏らさないこと。また、事例や研究の公表に際しても、来談者の秘密を保護する責任をもたなければならない。
  5. 第四条:査定技法
     査定を強制しないこと。査定結果が誤用・悪用されないよう配慮すること。また、査定技法の開発・出版・利用においては、用具や説明書等をみだりに配布しないこと。
  6. 第五条:援助・介入技法
     専門的能力の範囲内で業務を行い、自らの影響力や私的欲求を自覚し、来談者の信頼感や依存心を不当に利用しないこと。また、来談者や関係者と私的な関係を持たないこと(→多重関係の禁止)。
  7. 第六条:専門職との関係
     他の臨床心理士や関連する専門職の権利と技術を尊重し、相互の連携に配慮すること。
  8. 第七条:研究
     研究に際しては、来談者や関係者に不必要な負担をかけたり、苦痛・不利益をもたらさないこと。また、可能な限り、その目的を告げ、同意を得て行うこと。
  9. 第八条:公開
     公衆に対して心理学的知識や専門的意見を公開する場合は、誇張がないようにし、公正を期すること。
  10. 第九条:倫理の遵守
     倫理綱領を十分に理解し、違反しないように、常に臨床心理士間で相互に注意すること。

秘密保持とインフォームド・コンセント

 臨床心理士が遵守すべき倫理のうち、「秘密保持」と「インフォームド・コンセント」の具体的な内容についてまとめます。

秘密保持:

 臨床心理士は、必要と認めた場合以外の内容を他に漏らさないようにし、来談者の秘密を保護する責任をもちます。
 具体的な内容については下記が挙げられます。

  1. 臨床心理士は、クライアントの同意がなければ、資料を別の臨床心理士に開示できない。
     ただし、「同一医療機関内」では職務上必要な場合において、、医師や別の臨床心理士などはクライアントの同意なしに診療情報にアクセス可能。
  2. クライアントの死後でも守秘義務を守らなければならない。
  3. 自他に危害を与える恐れがある場合は、緊急対応を優先する例外がある。
    また、児童虐待に関する通告義務も例外で、通告を優先する。
インフォームド・コンセント:

 「インフォームド・コンセント(クライエントが援助の内容に関する十分な説明を受け、理解したうえで自由意志に基づきそれに同意すること)」は、クライエントを守るだけでなく、心理士自身も守ることにつながります。
 その具体的な内容については、日本臨床心理士会倫理綱領の第4条では、下記のように示されています。

  1. 契約内容を対象者に理解しやすい方法で十分な説明を行い、同意を得ること。
  2. 対象者が十分な自己決定を行う事ができないと判断される場合には、対象者本人にできる限り十分な説明をしたうえで、保護者または後見人との間で、十分な説明(家族による代行)を行うこと。
  3. 契約内容については、いつでもその見直しの申し出を受け付けることを対象者に伝達すること。
  4. 自他に危害を与える恐れがあると判断される場合には、守秘よりも緊急対応が優先される場合がある事を対象者に伝え、了解が得られないまま緊急対応を行った場合は、その後も、継続して説明に努めること。
  5. 対象者から面接経過や心理査定結果等の情報開示を求められた場合は、原則としてそれに応じること。
  6. 面接等の内容を記録し、面接等の最終日から「5年間保存」すること。
  7. 対象者以外から対象者についての援助を依頼された場合は、必要に応じて対象者を含めた関係者との話し合いを行ったうえで、対象者と関係者の福祉向上にかなうと判断できたときに、援助を行う。


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