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心理学用語集: 箱庭療法

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 箱庭療法(sandplay therapy)は、気箱に入った砂の上にミニチュアを並べることでイメージ表現を行う心理療法です。言語を必要としない療法であるため、自分の内的な感情を言語化することが困難なクライエントに対して効果的とされます。

 箱庭療法の原型は、Lowenfeld,Mローエンフェルド)が子供の心理療法として創始した「世界技法」と言われています。
その後、ローエンフェルドに世界技法を学んだ「Kalff,D.Mカルフ)」は、ユング(Jung,C.G.)の理論にもとづき、適応範囲を成人にまで拡大し、世界技法を箱庭療法(sand play therapy)として発展させました。

ユング派の「河合隼雄」によって箱庭療法は日本で紹介され、日本で急速に普及しました。


箱庭療法の方法

  箱庭療法の用具としては砂箱とミニチュアが用いられます。砂箱は全体が視野の中に入ることを考慮して、「57cm×72cm×7cm」と決められています。ミニチュアには規定がなく、場合によっては、クライエントが持参したり、製作したりすることもあります。

箱庭の製作において、セラピストは製作に干渉せず、鑑賞に徹するのが原則です。そこでは、セラピストとクライエントの関係の中で、「自由にして保護された空間」が形成され、クライエントが「母子一体性」を感じられる状況が再現されます。

  1. セラピストは製作に干渉せず、鑑賞に徹する(製作に参加することも、まれにある)。
  2. セラピストによる解釈は必要で、全体の印象(統合性)や、空間配置、主題などを繰り返しの制作なかで系統的にみていく。
  3. 箱庭の製作は、毎回作り続ける必要はなく。作品にならなくとも、箱庭に向かっている過程を大事にする。
  4. 破壊的な表現等がクライエントの自我の統制力を超えると判断した場合に製作を中止させる。
  5. 終了時にはクライエントの視点から写真撮影を行って記録する。
自由にして保護された空間:

 自由に保護された空間とは、箱庭の枠を意味します。その枠が、攻撃的、破壊的な表現からクライエントの自我を守りつつ、自由なファンタジーの表現を促進すると考えます。

表現の変化:

 カルフは、Neumann,E(ノイマン)の考えにしたがって、一般的には箱庭の表現は下記の段階を経て発展していくと考えました。

  1. 「動物的植物的段階」(本能的で無意識的なものを表現)
  2. 「闘争の段階」(対立や衝突を戦いなどの動きとして表現)
  3. 「集団への適応の段階」(成長や安定を秩序ある世界として表現)


箱庭療法の特徴:

  箱庭療法の特徴は、以下のようなことが挙げられています。

  1. カタルシス効果と洞察:
    箱庭を制作していく過程において、カタルシス効果による自己治癒力が働き始めるとされます。また、箱庭の中の世界を自分だけで創造し、それをセラピストに見せ、自分自身も見直してみることから、自分の中の潜在的な生とその可能性などを洞察するきっかけとなります。
  2. 非言語性:
     自分の内的な感情を非言語で表現することができます。ただし、非言語的ゆえに箱庭の表現は多層的、多義的で曖昧さを含んでいて、それゆえに、セラピスト側の逆転移による誤解や読みの甘さが生じやすくなります。
  3. 簡便性と触覚性:
     クライエントの技術の優劣が目立たず、取り掛かりやすいという面があります。また、多くの人は、砂の感触から、治療的退行状態を触発されます(精神療法の過程で起こる治療的な退行)。
  4. 創造体験と視覚性:
     実際の人生ではなく、箱庭のイメージの世界という守られた枠の中で、比較的安全に、人生においての実験を視覚的に試みる事ができます。箱庭を作り続けていくとドラマが展開されますが、そのシーンが静止した1場面として残るため、自己体験を自分の中に収める事ができます。
適応対象:

 箱庭療法の適応において、年齢や病態についての制限は特にありませんが、「統合失調症の急性期」の場合は、特別の場合を除いて禁忌となります。
 これは、箱庭の製作が、無意識のイメージの流出を促すため、自我の弱さから破壊的な表現が出てきた場合は、症状が増悪する危険性があるからです。また、境界例や統合失調症の病圏のクライエントの場合は、慎重であるべきとされます。
 無意識のイメージの表出が、クライエントの自我の統合力を超えると判断した場合にはセラピストは製作を中止させます。



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