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心理学用語集: 短期療法

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 ここでは短期療法(ブリーフ・サイコセラピー)についてまとめます。
用語: 短期療法とは解決志向ブリーフセラピーミラクル・クエスションなど)/ 対人関係療法



短期療法とは

 短期療法とは、治療時間や面接回数をおおむね決めて、治療期間をできるだけ短くし、「クライエントの時間的・経済的負担の軽減」を目指した心理療法のことです。
 ブリーフ・サイコセラピーbreif psychotherapy)ともされることもあります。
 
 短期療法の特徴としては、下記のようなものが挙げられます。

  1. 必要な変化を起こす引き金となるような最も効果的で効率的な変化に働きかける。
  2. すでにある変化の可能性を最大限に利用する。
  3. 原因を求めず、解釈や洞察を重視しない。
  4. クライエントの抵抗を利用したり、ユーモアを利用する。


代表的な短期療法

代表的な短期療法をまとめます。

解決志向ブリーフセラピー(ソリューションフォーカスアプローチ):

 「解決志向ブリーフセラピー」または「ソリューションフォーカスアプローチ(SFA)」は、シェイザーやインスーキムらを中心に開発された家族療法にルーツをもつ短期療法です。
 「スケーリングクエスション、コーピングクエスション、ミラクルクエスション」といった質問を援助的に使い、変化につなげます。


 解決志向ブリーフセラピーで用いられる3つの質問についてまとめます。心理面接において幅広く利用可能な技法です。

  1. スケーリング・クエスション
     「スケーリング・クエスション」は、小さな変化に気づき、小さな変化が生じることを促すための質問です。点数や数値で回答してもらいます。
     典型的な質問:「最高を10点、最低を1点とすると今の気分は何点ぐらいですか?」。
  2. コーピング・クエスション
     「コーピング・クエスション」は、最悪の状況であってもクライエント自身にはリソース(活用できる資源)があるということを気づき、目を向けてもらうための質問です。
     典型的な質問:「今のこの大変な状況を、どんなふうにしてなんとか乗り切っているんですか?」。
  3. ミラクル・クエスション
     「ミラクル・クエスション」は、クライエントの問題が解決したイメージをもってもらうための質問です。感覚を十分に使いリアルに思い描いてもらいます。
     典型的な質問:「もし朝起きて、問題がすべて解決していたら、どのように目が覚めるのでしょうか?」。

対人関係療法(IPT):

 対人関係療法(IPT:Interpersonal psychotherapy)とは、Sullivan,H.S(サリヴァン)によって発展した精神分析の対人関係学派の理論にもとづく短期療法です。
 「重要な他者」との「現在の」関係に焦点を当てることを特徴とします。
 うつ病や、摂食障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに対しての有効性が報告されています。


時間制限心理療法:

 時間制限心理療法は、Mann,J(マン)が考案した、面接回数を12回に限定する心理療法です。
 現在の症状を重視し、「目標を焦点化」、「危機介入による即自的対応」、「クライエントへの積極的な指示」を特徴とします。


精神分析的簡易療法:

 精神分析的簡易療法は、Malan,D.H.(マラン)が提唱した、クライエントの現実生活に焦点を当てた精神分析的療法です。
 カウンセラーはクライエントに対して指示的・知的に関与し、クライエントの無意識や幼児体験ではなく、現実生活を取り扱います。




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