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公認心理師試験用語集 : 子どもの貧困対策法

5 - 法律・行政児童に関する法律 > 33- 子どもの貧困対策法

 ここでは、児童に関する法律である「子どもの貧困対策法(子どもの貧困対策の推進に関する法律)」についてまとめます。

用語: 子どもの貧困対策法貧困の現状(データと研究)



子どもの貧困対策法

 子どもの貧困対策法(子どもの貧困対策の推進に関する法律)は、悪化する子どもの貧困の対策を推進するための法律であり、2013年(平成25年)に施行されました。
 貧困の連鎖を断ち切り、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを目的としています。

 下記に対策の基本方針と、その指標をまとめます(内閣府)。

  1. 教育の支援:
    高校進学後の支援の強化や教育費負担の軽減を図る。
    【指標】子どもの進学率(生活保護世帯/ひとり親家庭)、修学支援新制度の利用者数など
  2. 生活の支援:
    親の妊娠・出産期から、社会的孤立に陥ることのないように対策を推進。
    【指標】未払いや購入できない経験(公共料金の支払い、食料・衣服の購入)など
  3. 就労の支援:
    職業生活の安定と向上のため、所得の増大や環境づくりを進める。
    【指標】ひとり親家庭の親の就業率、の正規の職員・従業員の割合
  4. 経済的支援
    様々な支援を組み合わせる、必要な世帯へ支援の利用を促していく。
    【指標】子どもの貧困率、養育費を受け取っていない割合

貧困の現状(データと研究報告):

 子どもの貧困対策法に関連し、子どもの貧困の現状(データ)と研究報告についてまとめます。
 子どもの貧困率とは「中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合」をさします。
 相対的な貧困を意味しており、絶対的貧困(最低限必要とされる生活物資を購入できる所得に達していない)と比較し、見えにくい問題です。

  1. 子どもの貧困率は、2018年では13.5%※1。近年のピークは2016年の16.3%※2
  2. ひとり親世帯の貧困率は、2018年では48.1%※1。生活保護の受給率は2016年では母子世帯が11.2%、父子世帯が9.3%※3
  3. 2015年ではひとり親世帯のうち、母子世帯は約61%、父子世帯は約7%。平均年収は父子世帯が母子世帯の約1.7倍※2
  4. 大学等への進学率は、全体世帯が約7割に対して※2、生活保護世帯は2020年では37.3%。ひとり親家庭は2016年では58.5%※1
  5. 貧困は世代間で連鎖することが報告されている(生活保護家庭で育った子どもが、成人後に生活保護となる割合は32%という報告もある※4
  6. 貧困と児童虐待との関連は多数報告されている※5(例:東京都福祉局の2003年度調査では児童虐待の約3割が経済的困難の家庭)。
  7. 貧困は、子どもの「学力、対人スキル、セルフコントロール、情緒の不安定さ、肥満・虫歯、小児期逆境体験の発生リスク」などと関連があるとされる※6

文献:
※1 内閣府, 令和2年公表 ; ※2 内閣府,2018年第9回有識者会議資料 ; ※3 厚生労働省,平成28年調査報告 ; ※4 駒村ら,2011.慶應義塾経済学会 ; ※5 中嶋,2012.社会事業研究 ; ※6 内閣府, 令和元年度報告書




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