ここでは、高齢者に関する法律である「老人福祉法(老人福祉施設)」と「介護保険法(介護保険・地域包括ケアシステム)」についてまとめます。
用語:老人福祉法 / 老人居宅生活支援事業・老人福祉施設 / 介護保険法 / 介護保険サービス / 地域包括ケアシステム / 地域包括ケアセンター/ 介護支援専門員(ケアマネージャー)
老人福祉法は、「老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的として制定された法律」です。1963(昭和38)年に制定されました。
基本理念として、
「老人は敬愛され、健全で安らかな生活を保証される」
「老人は加齢による心身の変化を自覚し、常に心身の健康を保持、または社会的活動への参加に努める」
「老人は適当な仕事に従事する機会やその他社会的活動に参加する機会を与えられる」
などが掲げられています。
老人福祉法には、福祉の措置や、福祉施設や福祉事業、国や地方公共団体の責務などについて規定されています。
老人居宅生活支援事業には、「老人居宅介護等事業」、「老人デイサービス事業」、「老人短期入所事業」があります。
また、老人福祉法に基づく「老人福祉施設」の種別としては、下記のようなものがあります。
介護保険法は、介護が必要な高齢者を社会全体で支えることを目的とし、1997(平成9)年に制定され、2000(平成12)年に施行された法律です。
保険者は市町村及び特別区であり、40歳以上の国民(被保険者)から保険料を徴収するという形で成り立っています。
基本理念には、以下が掲げられています。
医療保険者(全国健康保険協会、国民健康保険組合、健康保険組合など)は介護保険事業が健全かつ円滑に行われるよう協力しなければならないとされています。
介護保険の受給対象者には、「65歳以上の要介護・要支援認定者(第1号被保険者)」と「40歳以上65歳未満の老化に関する特定疾病の患者(第2号被保険者)」があります。
第2号被保険者の老化に関する特定疾病の患者とは、「筋萎縮性側索硬化症、多系統萎縮症、初老期における認知症、脳血管疾患など」であり、交通事故などは対象外となります。
( 補足: ▼ 要介護者・要支援者 )
介護保険サービスには、下記のような種類のサービスがあります。
地域包括ケアシステムとは、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、「住まい・医療・介護・予防・生活支援」の5つのサービスが一体的に提供されるケアシステムのことです。
介護保険法において2005年の改正で提唱され、2012年の改正では「自治体が地域包括ケアシステム推進の義務を担う」と規定されました。団塊の世代が75歳以上となり増加する医療や介護の需要に対応する2025年を目途に、地域包括ケアシステムの構築の実現が目標とされています。
システムの最小単位は、「おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域」が想定されています(中学校区)。
住まい | 自宅、サービス付き高齢者住宅等 | ||
医療 | 日常においては、かかりつけ医・地域の病院、緊急や特定時は、急性期病院やリハビリ病院などで医療の提供。 | 介護 | 在宅系サービス(訪問介護、短期入所など)や施設・居住系サービス(介護老人福祉施設など)の提供。 | 予防 | 介護予防サービスなどの提供。 | 生活支援 | 自治会や、社会活動への参加の支援。 |
地域包括支援センターは、介護保険法定められており,地域包括ケア実現に向けた中核的な機関として「市町村」が設置しています。
高齢者(被保険者)の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的として、以下のような事業を行っています。
「介護支援専門員」(ケアマネジャー)とは、介護保険制度においてケアマネジメントを実施する有資格者です。
要支援・要介護認定者とその家族からの相談を受け、介護サービスの給付計画(ケアプラン)を作成し、自治体や他の介護サービス事業者との連絡、調整等を行います。