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心理学用語集: 神経細胞の構造とその機能

1 - 基礎心理学脳・神経生理 > 72- 神経細胞の構造とその機能

 ここでは、神経細胞の構造とそれに関連した機能ついて説明します。また、脳の画像化技術の種類について紹介します。

用語: ニューロン・シナプス活動電位(全か無かの法則) / 神経路(左右反転) / 半側空間無視自律神経サーカディアンリズム(概日リズム)脳神経画像化技術(CT・MRI・PET・SPECT)



ニューロン・シナプス・神経伝達物質

 脳と神経系を構成する「ニューロン(脳神経細胞)」からは、多数の樹状突起が出ていて、そのうちの長く伸びた突起は「軸索(じくさく)」と呼ばれます。
 軸索には髄鞘(ミエリン鞘)という覆いがある「有髄神経線維」と、髄鞘が無い「無髄神経線維」があります。有髄神経線維には、「ランヴィエの絞輪(こうりん)」とそのくびれた部分があり、ミエリン鞘とランヴィエの絞輪によって、神経伝達を高速化が可能となります(跳躍伝導)。
 「シナプス」とはニューロンの軸索先端と、他のニューロンの樹状突起や細胞体との連絡部分をいいます。その隙間をシナプス間隙(かんげき)といいます。
 神経伝達において、シグナルの伝達元の細胞を「シナプス前細胞」、伝達先の細胞を「シナプス後細胞」といいます。


情報伝達のメカニズム:

 ニューロンは静止状態では、細胞の内側が外側に対して「マイナス電位(静止膜電位)」を持ち分極の状態にあります。ニューロン上には、ナトリウム等(Na+,K+)の専用の通路であるチャネルがあり、ここの開閉によるイオンの移動により電位差変化が生じます。

  1. ニューロンが刺激を受けると、イオンチャネルが開き、静止膜電位が減少します。これを「脱分極」と言います。
  2. 脱分極が臨界脱分極を超えると、一過性の急激な電位変化が起こり「活動電位インパルス)」が発生し、それが周辺部を興奮させて軸索上を伝播していきます。1つの神経細胞における個々の活動電位の大きさは一定です。
     活動電位の発生は「全か無かの法則」に従います(刺激の強さがある限界値以下では反応がなく、それ以上では刺激の強さに関係なくつねに最大の反応を示す事)。
  3. シナプスに活動電位が到達すると「神経伝達物質」が放出され、それが伝達先のシナプス後細胞の受容体に結合すると「シナプス電位」と呼ばれるゆっくりした大きさがまちまちの電位が生じます(全か無かの法則に従わない)。
     興奮性シナプスは興奮性シナプス後電位を生じさせ、臨界を超えると活動電位が生じます。一方、抑制性シナプスは抑制性シナプス後電位を生じさせ、インパルス(活動電位)は生じません。

 人が感じる刺激の強さは、「インパルスの潜時(発生するまでの時間)」と「その頻度」によって決まります。


神経伝達物質:

 代表的な神経伝達物質には、下記のようなものがあります。

  1. 興奮性:
     アセチルコリン、グルタミン酸など
  2. 抑制性:
     γ-アミノ酪酸(GABA)など


神経の種別と神経路

 神経系は、脳と脊髄といった「中枢神経」と、脳神経や自律神経といった「末梢神経」から構成されます。


脳神経:

 視覚や嗅覚などを担う神経は脳幹などから直接に感覚器につながっています。このように脳から直接でている神経を「脳神経」と呼び、それには12種類あります。

 嗅神経・視神経・動眼神経・滑車神経・三叉神経・外転神経・顔面神経・内耳神経・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経


主な神経路:体性感覚・錐体路

 「体性感覚」を担う神経路のうち、触覚・圧覚などは神経路が「延髄」で左右反転し、視床を経由し大脳皮質へとつながります。痛覚・温度覚は延髄より遠い「脊髄」で左右反転しており、脊髄反射が起こるようになっています(熱さで手を引くなど)。

 「錐体路(皮質脊髄路)」は、大脳皮質の運動野から脊髄を経て骨格筋に至る神経線維であり、主に「運動系の伝達」を担います。
 錐体路は、延髄までは1束となっていますが、脊髄では「手指・腕と、足・足先(下肢遠位部)」へとつながる神経路が左右反転します。体幹と足(下肢近位部)へとつながる神経路は反転せずにそのままとなります。
 このために、体の右半身は「左脳」に、左半身は「右脳」に支配されており、脳梗塞などの障害によって、脳と左右反対の下半身に麻痺などが残ります。


半側空間無視:

「半側空間無視」とは、大脳半球の病巣(脳梗塞や脳出血等)と、左右反対側の刺激に対する認知的処理が障害された病態とされます。
 右利き者の大半において、左半側空間無視が生じます。これは、右利きの大半は、右大脳半球が空間性注意において優位であり、右半球が損傷されると「左空間」に注意が向け難くなるためです(関連:半球優位性)。



自律神経・サーカディアンリズム(概日リズム)

 神経系が担う機能や生物リズムである「自律神経」と「サーカディアンリズム(概日リズム)」について説明します。


自律神経 :

 自律神経とは、随意神経系である体性神経系と対照して、不随意(自分の意思とは関係ない)です。
 自律神経は、「循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能、および代謝のような機能」を制御するものです。
 視床下部がコントロールする自律神経系は、「交感神経系」と「副交感神経系」があり、それらが相補的に作用することで、生体の安定(ホメオスタシス)を保っています。

  1. 「交感神経系」が作用すると、副腎髄質からアドレナリン分泌され、器官の働きを促進し、心拍数、血圧、呼吸数が増加し、さらに瞳孔は散大し、発汗は増加します。
     これは、緊急時に身体機能を総動員する機能で、緊張とその後の疲労を生じます。
  2. 「副交感神経系」が作用すると、心拍数、血圧、呼吸数が減少し、安静・リラックスと回復の作用をもたらします。
精神的発汗 :

 精神的発汗は、交感神経系の緊張や覚醒水準の高さを反映します。皮膚電位活動(SPA)は精神的発汗を電位として測定し、その直流成分である皮膚電位水準(SPL)が高いほど覚醒水準が高くなります。
 精神性発汗を電気的に測定する方法を総称して皮膚電気活動(EDA)と呼び、嘘発見器としても用いられます。


サーカディアンリズム(概日リズム):

 生体が自律的に刻む概ね24時間の内因性周期を「サーカディアンリズム(概日リズム)」といい、代表的な生物リズムのひとつです。このリズムが外因性周期(日周期、潮汐周期など)に同調化して日周期性が生じます。
 生物リズムの基礎となる生物時計の親機能の中枢は視交叉上核にあり、複雑なプロセスにより、体全体の特殊なたんぱく質(Periodたんぱく質)が24時間で増減を繰り返すメカニズムが働いています。



脳神経画像化技術:CT、MRI、PET、SPECT

 脳神経画像化技術により、生きている人間を対象として、実際に活動している脳を見ることができるようになりました。それによって、精神障害と脳神経の関連が解明されつつあります。
 例えば、強迫性障害の患者の脳には、淡蒼球や両側尾状核の体積減少など基底核の形態学的変化がおもに若年例を中心に認められることがわかっています。統合失調症とドーパミン神経系の機能異常や、抑うつとセロトニンの取り込み機能の関連はよく知られています。

 脳神経画像化技術は、「(1)構造神経画像」(脳の形態・構造を捉えるもの)と、「(2)機能神経画像」(脳の活動状態・機能を捉えるもの)に大別されます。下表に脳神経画像化技術をまとめます。

画像技術説明
(1) 構造神経画像技術
CT(コンピュータ断層画像) 脳組織を透過したX線の伝導度を測定し、これを画像化するもの。
MRI(核磁気共鳴画像) 人体を構成する水素原子の性質を利用して、脳を画像化するもの。CTより細やかな空間位置の差異を検出できる。
(2) 機能神経画像技術
fMRI(機能的核磁気共鳴画像) MRI技術を応用し、脳の構造と機能の両方についての情報を画像化するもの。血液中の酸素の増加を画像化。
SPECT(単光子断層画像) 放射線同位元素化合物を体内に投与し、その化合物から放射されるガンマ線を計測し、画像化するもの。
PET(陽電子断層画像) 放射線同位元素化合物を体内に投与し、その化合物から放射される陽電子が周囲の電子と結合して消滅するときに放射されるガンマ線を計測し、画像化するもの。SPECTより細やかな位置を検出。
MEG(脳磁図) 脳の神経活動パターンの変化に伴って変化する頭蓋表面の磁場を測定するもの。



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