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公認心理師試験用語集 : 医療法

5 - 法律・行政保健医療に関する法律 > 21- 医療法

 公認心理師は、様々な領域において心理的支援を行います。また、多種種連携や地域連携のためにも、様々な領域において、支援に関連した法律的な知識を有している必要があります。
ここでは、「医療法」と「地域保健法」についてまとめます。
用語:

  1. 医療法(病院と診療所) / 医療事故調査制度医療計画制度
  2. 地域保健法(市町村保健センター・保健所)

医療法

 医療法は、日本の医療の提供体制を定める法律、医療施設に関する基本的な法規です。
「医療をうける患者の利益の保護と、良質・適切な医療の効率的な提供体制の確保を図ることで、国民の健康の保持に寄与すること」を目的としています。
 医療法の対象施設は、「病院(地域医療支援病院、特定機能病院、臨床研究中核病院を含む)」、「診療所」、「介護老人保健施設」、「介護医療院」、「調剤薬局」、「その他医療施設」、「助産所」となります。また,居宅等での医療も対象です。


 医療法には、以下の内容などが規定されています。

  1. 医療提供の理念、国及び地方公共団体の責務、医療を提供する者の責務、医療施設に関して
  2. 医療に関する適切な選択に関する規定
  3. 医療の安全の確保に関して(安全管理体制の確保、医療事故調査制度)
  4. 病院、診療所の開設管理に関して(開設・管理・病床別の構造設備の基準や、人員の標準、医師数・看護師数の標準など)
  5. 医療提供体制確保に関して(医療計画制度、病床・地域医療構想の策定、医師・看護師の確保、チーム医療の推進など)
  6. 医療法人の概要と、類型、実際の運用に関して


医療提供の理念:

 医療法における医療提供の理念は、生命の尊重と個人の尊厳の保持に基づきます。
「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医療の担い手と患者との信頼関係に基づき、治療のみならず予防・リハビリを含み、良質かつ適切なものでなければならない。」
「医療提供施設の機能に応じ効率的に、かつ福祉サービスその他の関連サービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない。」


医療事故調査制度:

 医療の安全の確保に関して、医療事故の再発防止を目的とした医療事故調査制度が定められています。

  1. 病院、診療所、助産所において医療事故が発生した場合には、医療事故調査を行わなければならない。
    医療事故とは、「医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産」かつ「管理者が予期しなかったもの」をさす。
  2. 事故原因を明らかにするために必要な調査を、医療事故調査等支援団体に支援を求めて行う。
  3. 施設管理者は、発生時に事故の事項と、調査後に事故原因を「医療事故調査・支援センター」に報告する義務がある。
  4. 事故報告と調査後のセンターへの報告に当たっては、患者遺族に省令で定める内容を説明する必要がある。


国及び地方自治体や医療機関・従事者の役割:

 医療法には医療における、国及び地方自治体や医療機関・従事者の役割について定められています。

1) 国及び地方自治体の役割

  1. 効率的な医療提供体制が確保されるように努めなければならない。
  2. 医療計画制度」において、都道府県は保健医療計画に基づいて、医師、歯科医師、薬剤師、看護師などを確保し、通常医療のほか、 救急医療・災害医療、へき地医療、周産期医療・小児医療・在宅医療が適切に実施する責任を有す。
  3. 国、都道府県、保健所を設置する市・特別区は、医療の安全に関する情報提供、研修実施など、必要な措置を講ずるように努めなければならない。
  4. 医療をうけるものが病院、診療所または助産所の選択に関して必要な情報を得られるように、必要な措置を講ずるように努めなけらばならない。(*患者が医療機関を自由に選択することができる=フリーアクセス)

2) 医師等の医療の担い手の役割

  1. 患者に適切な説明を行い理解を得るように努めなければならない(インフォームド・コンセント)
  2. 医師、歯科医師、薬剤師、看護師などは、患者に良質な医療を提供し、適切な説明をし、必要に応じて他の医療機関を紹介しなければならない。また、医療機関同士は相互に機能を分担して、相互に連携を図らなければならない。

3) 病院・診療所の管理者
 療養が必要な患者に対して、保健医療サービス、福祉サービスとの連携を図り、適切な環境のもとで療養を継続できるように配慮しなけらばならない。

4) 医療提供施設の開設者・管理者
 医療技術の普及及び医療の効率的な提供に資するため、施設に勤務しない医療の担い手の診断、研究または研修のために利用させるように配慮しなければならない。



地域保健法

 地域保健法は、地域保健対策に関する基本的な指針、保健所の設置、その他保健対策の推進に関し基本となる事項が定められています(1994年に保健所法から改正)。
 地域保健対策に関する法律による施策が地域において総合的に推進されることを確保し、地域住民の健康の保持及び増進に寄与することを目的とします。

地域保健対策に関する法律:

 地域保健対策に関する法律を対人と対物でまとめます。

  1. 対人保健:
     健康増進法精神保健福祉法、母子保健法、感染症法、予防接種法、難病医療法、がん対策基本法
     
  2. 対物保健:
     食品衛生法、水道法、墓地埋葬法、興行場法などの行法、狂犬病予防法など
地域保健法による設置機関:

 設置機関としては、「市町村保健センター」、「保健所」、「地方衛生研究所」があります。

市町村保健センター 「健康相談」、「保健指導」、「健康診断」など、地域保健に関する事業を地域住民に行うための施設。地域保健サービスの一元的な提供を行う。
保健所 疾病の予防、衛生の向上など地域住民の健康の保持増進に関する業務を行う。都道府県、指定都市、中核都市、特別区に設置。
地方衛生研究所 公衆衛生の向上のために各種の試験・検査や公衆衛生情報等の収集・解析・提供のほか、調査研究・研修指導を行う。ほとんどの都道府県や指定都市に設置されている。



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