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公認心理師試験用語集 : 障害者総合支援法・障害者差別解消法

5 - 法律・行政保健医療に関する法律 > 23- 障害者総合支援法・障害者差別解消法

 ここでは、「障害者総合支援法」、「発達障害者支援法」、「障害者差別解消法(合理的配慮)」及び「障害者福祉における心理職の役割」についてまとめます。

用語:障害者総合支援法障害者福祉サービスレスパイトケア ) / 発達障害者支援法発達障害者支援センター特別支援教育コーディネーター ) / 障害者差別解消法合理的配慮) / 心理職の役割



障害者総合支援法

 障害者総合支援法は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」であり、障害者自立支援法から変更され、2013(平成25年)に施行されました。
 法律の新たな基本理念として、共生社会を実現するため日常生活・社会生活の支援が、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、「社会的障壁の除去」に資するよう、総合的かつ計画的に行われることが掲げられています

対象となる障害は、「身体障害者、知的障害者精神障害者(発達障害も含む)、難病等による障がい者」です。


障害者福祉サービス:

 障害者に対する支援の1つが「障害者福祉サービス」です。2003年4月から「支援費制度」となり、障害者がサービスを選択し、支援費の支給を受けて利用できるようになりました。

 障害者福祉サービスを下表にまとめます。
 過去に試験で出題されたものとしては、「就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)」、「地域活動支援センター」、「放課後デイサービス」、「地域移行支援」などといったものが挙げられます。

 1)自立支援給付のサービス
介護給付:
  1. 在宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所(ショートステイ)、療養介護、生活介護、障害者支援施設での夜間ケア等
訓練給付:
  1. 自立訓練(機能訓練・生活訓練): 自立した日常生活・社会生活ができるよう、一定の期間身体機能、生活能力向上のための訓練を行う。
  2. 就労移行支援: 一般企業等への就労に必要な知識および能力の向上のための訓練を行う。
  3. 就労継続支援(A型・B型): 一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、就労に必要な知識および能力の向上のための訓練を行う。A型は雇用契約を結び、B型は結ばない。
  4. 共同生活援助(グループホーム): 共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を行う。
 2)地域生活支援事業
相談支援:
  1. 障害者への相談に応じ、必要な情報提供等の支援を行う。市町村に「基幹相談支援センター」の設置がされている。
地域活動支援センター
  1. 通所により、創作的活動または生産的活動の機会の提供、社会との交流を促進する施設。
福祉ホーム:
  1. 障害者に低額な料金で、居室その他の設備を利用させるとともに、日常生活に必要な便宜を供与する施設。
その他、理解促進研修・啓発、移動支援、自発的活動支援、移動支援など。
 3)障害児に対するサービス
障害児通所支援サービス(市町村):
  1. 児童発達支援(センター)・医療型児童発達支援(センター): 通所型の支援、障害児や家族への支援、障害児を預かる施設への支援。医療の提供がある場合は「医療型」となる。
  2. 放課後等デイサービス: 学校就学中の障害児に対して、生活能力向上のための訓練等を継続的に提供する。
  3. 保育所等訪問支援: 保育所利用中、利用予定の障害児に対して、訪問により保育所等での生活適応のための支援を提供する。
障害児入所支援(都道府県):
  1. 福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設: 入所型の支援。18歳以上の入所者には、自立を目指した支援を行う。
 4)相談支援
計画相談支援:
  1. サービス利用支援・サービス継続利用支援: 障害福祉サービス利用などの計画を作成する。利用サービスの利用状況の検証(モニタリング)を行う。
地域相談支援:
  1. 地域移行支援: 施設に入所・収容、病院に入院している障害者に対して、地域生活の準備のための外出への同行支援、入居支援等。施設には刑事施設(刑務所、少年刑務所、拘置所)と少年院も含まれる。
  2. 地域定着支援: 居宅において単身で生活している障害者などに常時連絡体制を確保し、緊急時には必要な支援を行う。
障害児相談支援:
  1. 障害児支援利用援助・継続障害児支援利用援助: 障害児の福祉サービス利用などの計画作成と、利用状況の検証を行う。

レスパイトケア:

 障害者総合支援法や介護保険法に関連した用語として「レスパイトケア」があります。
 レスパイトケア ( respite : 一時中止、猶予)とは、臨時的介護休息、休息一時ケアと訳され、「障害者や要介護者等を持つ家族を一時的に、一定期間、介護やケアから解放し、日頃の身体的・精神的な疲労などから回復できるようにする家族支援サービス」のことです。
 具体的には、施設への短期入所(ショートステイ)や自宅への介護人派遣などがあります。




発達障害者支援法

 発達障害者支援法とは、2004(平成16)年に成立した、発達障害をもつ者に対する援助等を定めた法律です。

  1. 法律の目的は「発達障害の早期発見」、「発達支援関する国、及び地方公共団体の責務の規定」、「発達障害者の自立及び社会参加に資する支援」。
  2. 発達支援には、「個々の発達障害者の特性(性別、年齢、障害・生活状態)」に対応した「医療的、福祉的、教育的援助」が含まれる(行政による医療機関や教育機関の確保や連携なども援助の1つ)。
  3. 発達障害者の家族や、その他の関係者に対し、相談や専門的な情報提供といった援助や、また、専門職への研修なども含まれる。

 発達障害者支援法での発達障害とは、「自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥・多動性障害、その他これに類する脳機能障害」であって、その症状が通常”低年齢”において発現したものとされています。
「発達障害者」とは、社会生活に制限を受けるものをさし、「発達障害児」とは18歳未満の発達障害者をさします。
 知的障害は、発達障害者支援法の対象ではなく、知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)の対象となります。

発達障害者支援センター:

 「発達障害者支援センター」とは、発達障害者支援法に基づいた公的な支援施設のことです。発達障害児・者とその家族が豊かな地域生活を送れるよう、保健医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携して、下記のような様々な相談に応じた指導や支援を行います(診断は含まない)。

  1. 相談支援:
     発達障害児(者)とその家族、関係機関等から相談などに応じる。福祉制度や関係機関の紹介を行う。
  2. 発達支援:
     発達障害児(者)とその家族、周囲の人の発達支援に関する相談に応じ、家庭での療育方法についてアドバイスをする。また、発達検査の実施や支援計画の作成も行う。
  3. 就労支援:
     発達障害児(者)に対して、就労に関する相談に応じるとともに、「公共職業安定所(ハローワーク)」や「地域障害者職業センター」「障害者就業・生活支援センター」などの労働関係機関と連携して情報提供を行う。スタッフが学校や就労先を訪問し、障害特性や就業適性に関する助言や、作業工程や環境の調整などを行う。
  4. 普及啓発・研修
     発達障害をより多くの人に理解してもらうために地域住民向けの講演会の実施やパンフレットの配布・作成を行う。また関係機関や行政の職員に対する研修を実施する。
特別支援教育コーディネーター:

 「特別支援教育コーディネーター」とは、発達障害者の特別支援をするための教育機関や医療機関への連携、その者の関係者(家族など)への相談窓口を行う専門職を担う教員のことです。校内相談のコーディネーターを兼務することが推奨されています(参照:特別支援教育)。



障害者差別解消法

 障害者差別解消法とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことであり、2013年(平成25年)に成立し、2016年(平成28年)に施行されました。
 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定められています。国連の「障害者権利条約」の批准を目指して2011年に改定された障害者基本法の基本的な理念にのっとります。

 障害者の対象は「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他の心身の機能の障害」がある者と定められていますが、障害者手帳をもっている人だけのことではありません。
 障害者差別解消法においては、障害者への「合理的配慮」に対策を取り込む事が定めれています。日本国政府や地方公共団体・独立行政法人・特殊法人などは「法定義務」とされており、民間事業者については、「努力義務」とされます。
 学校においては、合理的配慮への対応として、スクールカウンセラーが「児童生徒の援助のニーズの把握と具体的方法の提案」や「合理的配慮の決定における保護者等の心理的な援助」を行います。

 
合理的配慮:

 合理的配慮とは、「障害者から何らかの助けを求める意思の表明があった場合、過度な負担になり過ぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要な便宜のことである」とされています。
 (障害者権利条約第2条の定義: 合理的配慮とは障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものである。)

 合理的配慮は、障害者差別解消法に基づき、障害者の所属機関や組織において「障害者の性別、年齢及び障害の状態」に応じて行われます(障害者手帳の有無は定められていない)。
 合理的配慮の具体的な事例としては、大学入試(面接、小論文)の際に、通訳・介助者の派遣制度を利用したり、時間延長やパソコン使用許可などの配慮があります(参照:合理的配慮の提供等事例集)。エレベーターの設置等は、組織にとって過度な負担となるため合理的配慮とは言えません。
 合理的配慮が関連する「障害者雇用対策」も確認しておきましょう。



障害者・障害児福祉領域における心理職の役割

 障害者・障害児福祉領域における心理職の職務は多様であるとされています。
障害者福祉における課題の例としては、
「本人支援と家族支援の内容が対立することがある」
「障害者が自立するための制度保証がまだ十分とは言えない」
「再生医療や出生前診断技術の進展による、障害者とその親の認識が変化している」
などがあげられます。

 心理職の役割としては、個別な臨床業務とともに、多職種や他機関との連携を取りながら、クライエントにフィットしたサービスの統合をおこなうための「調整機能」が求められます。
 心理職に求められる技能や態度として、下記があげられています。

  1. 障害児・者に対する「個別的で具体的な方法」の理解。
  2. 家族に対して、家族福祉や社会診断の観点から評価し、援助できる技能。
  3. 様々な専門性を有する機関のサービスを、障害児・者と家族双方の利益バランスに配慮しながら調整する技能。
  4. 自身の言動が、障害児・者とその家族に対する文化的バイアスの表明になるという自覚。


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