ここでは、特別支援教育に関して、「特別支援教育の理念と対象」、「特別支援教育のための体制と取組み」、「特別支援学校・特別支援学級・通級への就学」をまとめます。
用語:
特別支援教育は、「障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものである。」とされています。(詳細:特別支援教育の推進について)
対象となる障害の対象は限定されていません。
特別支援教育を推進する対象となる機関は、「幼稚園」から「高等学校」までであり、国公立だけでなく「私立」も対象となります。
特別支援教育のための体制と取り組みとしては下記が挙げられています。
「特別支援学校教諭免許状」とは、特別支援学校の教員が様々な障害についての基礎的な知識・理解と、特定の障害についての専門性を確保する資格です。特別支援学校の教員は、幼・小・中・高の教諭免許状に加えて、「原則取得すべき」免許です(詳細:教育職員免許状について)。
ただし、幼・小・中・高の教諭免許状を有する者は、「当分の間」特別支援学校の相当する部の教諭等となることができるとされており(法附則第16項)、特別支援学校教諭免許の取得は必須条件となっていません
また、「特別支援”学級”」の担任や、「通級による指導」を担当する教員については、特別支援学校教諭免許状などは必要とされていません。
障害のある児童生徒等の就学先としては、「特別支援学校」と「小学校・中学校・中等教育学校前期課程(特別支援学級・通級による指導)」が挙げられます。
就学先の決定は、「市町村教育委員会」が行います。児童生徒等の障害の状態、その者の教育上必要な支援内容、教育体制の整備状況、保護者、及び専門家の意見等を勘案して、総合的な観点から決定するために下記の実施が求められます(参照資料)。
就学時に決定した就学先は、それぞれの児童生徒の発達の程度,適応の状況等を勘案しながら、柔軟に転学ができます。
教育支援計画等に基づく関係者による会議等を定期的に実施し、必要に応じて教育支援計画等を見直し、就学先等を変更できるようにしていくとされています。
特別支援学校へ就学する対象となるのは、「視覚障害者」「聴覚障害者」「知的障害者」「肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む)」です。発達障害は含まれていません。
( 補足: ▼ 聴覚障害 )
小学校・中学校・中等教育学校前期課程において、「特別支援学級」が置かれている場合には、特別支援学級にて教育を受けます。特別支援学級は「学校教育法第81条第2項」の規定に基づきます。
「通級」は、通常の学級に在籍していながら、個別的な特別支援教育を受ける制度です(学校内または、他の学校にて教育をうける)。通級による指導は「学校教育法施行規則第140条・第141条の規定」に基づきます。
特別支援学級と通級の対象となる障害は異なっています。
障害 | 支援学級 | 通級 |
---|---|---|
知的障害者 | ◎ | - |
肢体不自由者 | ◎ | ◎ |
病弱者及び身体虚弱者 | ◎ | ◎ |
弱視者 | ◎ | ◎ |
難聴者 | ◎ | ◎ |
言語障害者 | ◎ | ◎ |
自閉症 | ◎ | ◎ |
情緒障害者 | ◎ | ◎ |
学習障害者 | - | ◎ |
注意欠陥多動性障害者 | - | ◎ |
※ 情緒障害は、選択性緘黙/場面緘黙が該当します。
通級による指導の留意点には下記があります。
特別支援学級、および通級による指導においては、「自立活動」と「各教科の補充指導」が行われます。
「特別支援学級」の担任や「通級による指導」を担当する教員については、特別支援学校教諭免許状などは必要とされていません。
自立活動とは、「個々の生徒が自立を目指し、障害に基づく種々の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培うこと」です。
聴覚障害特別支援学校の自立活動としては、筆談やメール、読話、発語などが行われています。
通常級における特別支援教育に関する指導法などをまとめます。
通常の学級において、「学習障害、または注意欠陥多動性障害」の児童生徒については「教員の適切な配慮」や「ティーム・ティーチングの活用」、「学習内容の習熟の程度に応じた指導の工夫」等により対応可能な場合が多いとされます。
ティーム・ティーチング(チームティーチング)は、授業場面において、2人以上の教職員が連携・協力を通して1人ひとりの子どもおよび集団の指導をおこなう方法および形態とされます。
学級内における教師間の協力はもとより、学級の枠を超えて適宜移動し、学習集団を柔軟に編成すること(学習内容、興味・関心、達成度などに応じた柔軟な学習集団編成)が大きな特徴です。
ユニバーサルデザインとは「誰にとっても便利なデザイン」を意味します。
授業のユニバーサルデザインとは「学力の優劣や発達障害の有無にかかわらず,すべての子どもが楽しく『わかる・できる』を目指して工夫・配慮する通常学級における授業のデザイン」などと定義されます(桂・廣瀬,2012;加藤・庭野,2016)。
ユニバーサルデザインの考えに基づいた一斉授業の導入の取り組みが行われています。
国語においては、「焦点化・視覚化・共有化」の視点による導入が提唱されています。