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公認心理師試験用語集 : 学校教育法・いじめ防止対策推進法

5 - 法律・行政教育に関する法律 > 51- 学校教育法・いじめ防止対策推進法

 ここでは、教育に関する法律である「学校教育法」、「いじめ防止対策推進法」、「教育の機会の確保等に関する法律(不登校支援)」などについてまとめます。

用語:教育基本法学校教育法主任・主事懲戒・出席停止 ) / いじめ防止対策推進法重大事態 ) / 教育の機会の確保等に関する法律(不登校支援)教育支援センター(適応指導教室)



教育基本法

 教育基本法は、日本国憲法の精神にのっとり、日本の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るために制定された法律です。教育の目的と目標に関する規定されており、1947(昭和22)年に制定、2006(平成18)年に改正されました。

 教育の目的は、「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健全な国民の育成を期して行われなければならない。」とされています。

 教育の目標には、「幅広い知識や教養を身につける」、「真理を求める態度を養う」、「豊かな情操や道徳心の育成」、「健やかな健康を養う」、「自主及び自律の精神を養う」、「勤労を重んじる態度を養う」、「正義や責任などと協力を重んじる」、「伝統と文化を尊重」「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」などが掲げられています。




学校教育法

 学校教育法は、学校教育の制度内容と基準に関する規定がなされた法律であり、1947年(昭和22)年に制定、2007(平成19)年に改正ました。
 学校の教育制度の基準(小学校6年制・中学校3年制・高校3年制・大学4年制)や、保護者の義務(義務教育)、学校設置基準、教員資格などについて規定されています。

 「学校」とは、「幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校(小中一貫)、高等学校、中等教育学校(中高一貫)、特別支援学校、大学、高等専門学校」が対象となっています(第一条)。

  1. 学校(一条校:第一条に規定された上記の学校)に含まれない教育施設としては「専修学校(名称:専修学校、高等専修学校、専門学校、大学校)」と「各種学校(学校教育に類する教育を行う施設)」があります。各種学校には、予備校、看護学校、ファッションスクール、インターナショナルスクール等等が該当します。
  2. 保育と教育の両方をもつ施設である「認定こども園」は、児童福祉施設であり「児童福祉法」及び、「認定こども園法(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律)」に規定されています。

児童への措置(懲戒・出席停止):

 学校教育法には、児童に対する懲戒や出席停止措置なども定められています。
 「懲戒」は、校長および教員が、教育上必要がある場合に、児童、生徒及び学生に対して加えることができます(第11条)。
 懲戒には、”校長”が行い、法的効果を持つ「退学・停学(義務教育の児童除く)、訓告」と、法的効果を持たない「謹慎、教室内での起立、学習課題や清掃活動を課すなど」があります。

 「児童の出席停止」は、市町村の教育委員会が、「公立の小学校、中学校、義務教育学校」の児童の保護者に対して命じる事ができます(第35条・第49条)。

 ( 補足: 児童の出席停止


学校に置かれる担当者:

 学校においてはさまざまな役割を担う担当者の設置が定められています(参考:担当者一覧)。
 学校教育法施行規則においては、下記の担当者の設置が定められています。

  1. 教務主任(教務に関する連絡調整、指導助言)
  2. 学年主任(学年の教育活動に関する連絡調整、指導助言)
  3. 保健主事(保健に関する事項の管理)
  4. 生徒指導主事(生徒指導に関する連絡調整、指導助言)
  5. 進路指導主事(生徒の職業選択の指導)



いじめ防止対策推進法

 いじめ防止対策推進法は、いじめの防止等のための対策をして総合的かつ効果的に推進することを目的に、「国及び地方公共団体及び学校」の責務などを規定した法律です。2013(平成25)年に成立・施行されました(文部科学省)。

 いじめとは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校(※)に在籍している等当該当児童等と一定の人的関係内にある他の児童等が行う心理学的または物理的な影響を与える行為であり(インターネットを通じて行われるものを含む)、当該行為の対象となった児童が心身の苦痛を感じているものである」と定義されています。(※小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校)
 児童等とは学校に在籍する児童・生徒であり、対象となった児童が心身の苦痛を感じている行為がいじめとなります。

 いじめの対応においては、「組織的対応」、「心理、福祉の専門家との連携」が明記されています。

  1. 児童等はいじめを行ってはならないと定められている(第4条)
  2. 国、地方公共団体及び学校の各主体による基本的な方針を策定する義務がある
  3. 学校が講ずべき基本的施策として「1.道徳教育・体験学習等の充実、2.早期発見のための措置(定期的な調査を実施など)、3.相談体制の整備、4.インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進」がある
  4. 学校は「複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者」により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする
  5. 国及び地方公共団体が講ずべき基本的施策として「1.必要な財政上の措置、2. 関係する機関及び団体の連携(いじめ問題対策連絡協議会の設置)、3.いじめの防止等の対策に従事する人材の確保等、4.調査研究の推進、5.啓発活動」がある
  6. 校長および教員は、児童等がいじめを行っていて教育上必要がある場合は、当該児童等に対して「懲戒」を加えることができる(第25条)
     懲戒とは「退学・停学(義務教育の児童除く)、訓告。そのほか、教室内での起立、学習課題や清掃活動を課すなど」。
  7. 教育委員会は、いじめを行った児童等の保護者に対して、児童等の「出席停止命令」を命じる事などができる(第26条)。
  8. 学校は、いじめによる「重大事態」に対処し、及び同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、適切な方法により事実関係を明確にするための調査を行う(第28条)。重大事態は学校の設置者を通じて、地方公共団体の長等へ報告しなければならない(第29〜32条)。

  ( 補足: 重大事態




義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律:

 「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」とは、不登校などの児童に対する支援を目的に、国及び地方公共団体の責務などを規定した法律であり、2017(平成29)年に施行されました。

 不登校とは、「何らかの心理的、情緒的、身体的、社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、したくてもできない状況」と定義され、不登校児童生徒とは、「不登校状態にあるために年間(年度間)30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いた者」と定義されます。
 直接の原因としては「学校生活(友人関係、教師との関係、学業不振、クラブ活動等への不適応、入学・転入・進級の不適用)」、「家庭生活(生活環境の急変、親子関係、家庭内不和)」、「本人の問題(情緒的な問題や発達障害など)」などがあります(参考資料)。

 (補足: ▼ 不登校の変遷


 不登校児童生徒等に対する教育機会の確保として、「学校における取組みへの支援」、「情報共有の促進」、「不登校特例校及び教育支援センターの整備」、「不登校児童生徒の学習活動、その心身の状況等の継続的な把握」、「学校外での多様で適切な学習活動の情報提供等(フリースクール等)」などが定められています。


教育支援センター(適応指導教室):

 「教育支援センター」または「適応指導教室」とは、小中学生の不登校児童生徒等に対する指導を行うために、市町村の教育委員会・首長部局が設置した組織です。
 学校以外の場所や学校の余裕教室等において、学校生活への復帰を支援するため、児童生徒の在籍校と連携をとりつつ、「個別カウンセリング」、「集団での指導」、「教科指導等」を組織的、計画的に行います。
 教育支援センターや不登校児童生徒等を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校は「特例校」と呼ばれます。



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