教育分野での支援においては、すべての子どもが支援対象であり、子どもの学校生活の質「QSL (Quality of School Life)」の向上を目指すとされます。
ここでは、教育心理学における心理学の枠組みとして、学校心理学や、指導法といった内容を記載します。
用語:
学校心理学とは、心理教育的援助サービスの理論と実践の体系です。
心理教育的援助サービスは、一人一人の子どもの発達の過程や学校生活で出会う問題状況・危機状況を援助する活動であり、「心理・社会面」、「学習面」、「進路面」、「健康面」などに焦点を当てながら、多角的に行われます。
心理教育的援助サービスには、予防的な援助から問題対応に対応した、下記の3段階のサービスがあるとされています(関連:スクールカウンセリング)。
( 補足: ▼ 自殺予防教育 )
子どもの問題解決には、多面的な情報収集とアプローチが必要であり、様々な援助者(ヘルパー)との連携が重要となります。
学校心理学では、援助者を4種類のヘルパーとして位置付けています。
援助者の種類 | 説明 |
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ボランティア的ヘルパー | 友人や地域の隣人など。職業上や家族としての役割とは関係無く、自発的に子どもや教室、保護者への援助を行なう者。 |
役割的ヘルパー | 保護者や家族など。役割の一つとして援助を行なう者。 |
複合的ヘルパー | 教師など。職業上の複数の役割に関連させながら、総合的に援助を行なう者。 |
専門的ヘルパー | 生徒指導・教育相談教師、養護教諭、スクールカウンセラーなど。専門スタッフとして援助を行なう者。 |
「コーディネーター」とは、援助者同士の協力や連係を調整し取りまとめる者であり、生徒指導主事や養護教諭、特別支援教育コーディネーターなどの教員が担います。
心理教育的援助サービスを提供するシステム・チームの構成としては、3段階(3階層)で整理されます。
スクールカウンセリングとは、児童生徒の心理的な発達を援助する活動であり、「心の教育」や「生きる力を育てる」などの学校教育目標と同じ目的を持つ活動であるとされます(文部科学省 )。
スクールカウンセリングは、原因を追及し病気を治療する「治療モデル」ではなく、問題を抱えている児童生徒と関わり、児童生徒の問題を解決する力を引き出すことを援助する「教育モデル」による活動です。
スクールカウンセリングには、下記の3つの援助段階があります(関連:心理教育的援助サービス)。
ピア・サポートとは「仲間や同輩が相互に支え合い課題解決する活動」とされます(参照:日本ピア・サポート学会 )。
学校におけるピア・サポートとは「学校教育活動の一環として,教師の指導・援助のもとに,子どもたちがお互いに思いやり,助け合い,支え合う人間関係を育むために行う学習活動であり,そのことがやがては思いやりのある学校風土の醸成につながることを目的にとする」と定義されています。
ピア・サポートを導入する目的としては下記のようなものが挙げられます。児童は仲間を支援する中で成長し,大人以上の力をもっているということが明らかになっています。
生態学的アセスメントとは、「すべての行動が、その人のおかれている文脈(環境)との相互作用の中で生じるという考えに基づき、人間の行動の要因を個人の特性だけでなく、人と環境の両方を調べること」をさします。Levinの「場の理論」や、Bronfenbrennerの「児童発達についての生態学的システム論」などを基にしています。
(補足: ▼ 生態学的システム論:メゾシステム等)
学校におけるアセスメントは、日頃から、児童・生徒の状況だけでなく、友人や家庭、学校風土や学校環境などの状況を収集しておくことが重要となります。
質的だけでなく、量的な情報もできるだけ収集します(関連:アセスメントの観点)。
生態学的アセスメントの観点に基づき、「1)個人の発達や学校生活」、「2)子どもの環境」、「3)子どもと環境の相互作用」を把握し、援助に生かします。
アセスメント観点 |
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【1. 個人の発達や学校生活】 学習面、心理・社会面・進路面・健康面における状況。 各面での得意さや好み(自助資源)、困難や悩み、援助ニーズと対応案、その状況。 |
【2. 子どもの環境】 学級・学校の状況(人間関係など)、家庭の状況、地域の状況。環境における援助資源。 |
【3. 子どもと環境の相互作用】 子どもの発達状況と環境からの要請行動のマッチング。 子どもと場の折り合い(人間関係、楽しさ、行動の意味)。 |
学生の心理的な理解をするための枠組みに「学生生活サイクル」があります。
大学生の学生生活を「入学期」、「中間期」、「卒業期」、「大学院生期」という4つの時期に区切り、それぞれの問題・課題と心理的特徴がまとめられています(参照:東北大学CPD )。
問題・課題と心理的特徴 |
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【 入学期 】
| 【 中間期 】
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【 卒業期 】
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【 大学院生期 】
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「学業不振」とは、学習上の成果が目標に達しないことです。
「学業遅滞」や「学習障害」とは異なる概念をさします。学校でのアセスメントにおいて間違いやすいとされます。
学業不振の原因としては、健康面(身体要因など)、環境要因(教育環境、学習方法、教師との関係など)、パーソナリティ(情緒不安定など)などの複合的な要因が考えられています。
「アンダーアチーバー」とは、知能水準から期待される力よりはるかに低い学業成績を示す者をさします(知能指数は高いが成績が悪い)。
逆に「オーバーアチーバー」とは、知能水準から期待される力より高い学業成績を示す者をさします(知能指数低いが成績が良い)。
アンダーアチーバーはオーバーアチーバーと比較し、学業成績の原因を「努力」に帰属させない傾向があるとされています。また、努力と能力を分別しにくい可能性も示唆されています。
学習における「適性処遇交互作用」とさまざまな学習方法に関する用語をまとめます。
適性処遇交互作用(ATI)とは、学習者の「適性(個人差要因)」と「処遇(教授法や学習環境等)」の両方の組み合わせによって、その学習効果が異なるという考えです。
学習者の適性(個人差要因)と処遇(受ける教授法や教材等の条件)の間には「交互作用」があるとされます。
適性処遇交互作用の考えに基づくと、生徒(学習者)の学力を向上させるには、その生徒の個性に応じた教授法を行う事が重要になると考えられます。集団指導以外の個別指導が学力の向上には有効という事かと思われます。
プログラム学習(programmed instruction)は、オペラント条件づけで知られるスキナー(Skinner)によって提唱された教育方法です。ティーチングマシーンと呼ばれるコンピューターを用いた学習にも適用されます。
プログラム学習では、下記の5つの原理があります(参照URL )。
ここでは、様々な学習方法についてまとめます。
(自己調整学習,有意味受容学習,深化学習・発展学習,ジグソー学習,問題解決学習,認知的徒弟制,正統的周辺参加)