認知行動療法の4大モデルの「応用行動分析モデル(ABA)」は、Skinner,B.Fに代表されるオペラント学習理論に基づく療法であり、「社会学習理論モデル」はBandura,Aの社会的学習理論に基づく療法です。
用語:
応用行動分析モデルは、スキナー(Skinner,B.F)のオペラント条件づけの理論を背景とした学習による治療モデルです。
基本的な方略は、目標とする行動を明確に定義し、その行動を生じさせるための条件付けの方法を実験的に実証していき、目標行動を学習させます。
代表的的な手法としては「機能分析(ABC分析)」が用いられ、現在の問題とされる行動が何故生じ、維持されているかという機能を調べ、等価な機能を補償するという介入が行われます。
(詳細:▼ ABC分析)
「トークンエコノミー法」とは、Ayllon,T(アイロン)とAzrin,N.H.(アズリン)によって開発された方法です。
オペレント条件付け理論にもとづき、望ましい行動をした時に、予めした約束に従って「トークン(代替通貨)」を報酬として与えて、その行動に正の強化を与える方法です(行動頻度を増やす)。
トークンにはシールやスタンプなどが用いられ、トークンが決められただけ溜まると、約束された報酬(子供ならお菓子など)が与えられます。
トークンと交換できる報酬は「バックアップ強化子」と呼ばれます。
「シェイピング」とは、習得が望まれる行動に近い行動を取った時にはその行動を強化し、逆に離れた行動を取った時は強化しないことによって、目標とする行動形成を行う方法です。
「漸次接近法」とは、シェイピングの一つで、目標反応に対して、より近い反応(行動)をした時に報酬を与えていくことで、最終的な目標反応に近づける方法です。
望ましい行動を増やすのではなくて、望ましくない行動の出現を抑制する手法(負の罰(弱化))としては、「タイムアウト」や「レスポンスコスト」があります。
「タイムアウト法」とは、それまであった快をもたらす機会や権限を一定期間制限する方法です。タイムアウト法はオミッション訓練とも呼ばれます。
例えば、問題行動がある子供を一定時間子供を小部屋に行かせ沈静化させることを通して、問題行動を減少させるという訓練を行います。
「レスポンスコスト」とは、予定されていた快刺激の提供が行動出現に応じて減じられる方法です。望ましくない行動をした場合に、トークンが減らされていきます。
PECS(ペックス)とは、絵カードを用いたユニークな代替・拡大コミュニケーション方法(補助代替コミュニケーション)の1つであり、応用行動分析の理論に基づいています。
発語や他者とのコミュニケーションに困難がある人が、「絵カード」を用いてコミュニケーションを自発的、持続的に行うことでコミュニケーションを学んでいきます。
自閉症や、その他さまざまなコミュニケーション障害のある子どもや成人に対して利用が可能です。
PECSでは、まずコミュニケーションパートナー(療育者)が、対象者が欲するアイテムの絵カードを1枚提示して始めます。対象者は、欲しいものを交換するために絵カードを拾い上げ、療育者に渡し、療育者は名前を言いながらそのアイテムを渡します。
このようなコミュニケーションを自発的に行うところから始めて、「いろんな場面へ般化する」、「絵カードを弁別する」、「文を作る」、「質問への応答やコメントをする」といった内容を”段階的”に学んでいきます。
社会学習理論モデルは、バンデューラ(Bandura,A)の社会的学習理論を応用した治療モデルで、観察学習によるモデリングを用います。
行動変容の強化としては、被観察者への報酬(外的強化)が強化の役割を果たす「代理強化」があります。
社会学習理論モデルの技法としては、「SST(Social Skill Training:ソーシャルスキル・トレーニング)」があります。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは、「社会生活技能訓練」とも呼ばれ、オペラント学習理論、社会的学習理論、認知行動理論を背景として、言語、非言語の対人行動を新たに学習するための訓練技法です。
以下のような手順で行われます。