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心理学用語集: 社会的学習

1 - 基礎心理学学習 > 14- 社会的学習

 ここでは、Bandura,A.(バンデューラ)が提唱した社会的学習理論について説明します。
用語:観察学習 / モデリング / 自己効力感 / 自尊感情・自己肯定感



社会的学習理論

 社会的学習という言葉は多義的に用いられていますが、一般に「他者の影響を受けて、社会的習慣、態度、価値観、行動を習得していく学習」をさします。


観察学習とは :

 観察学習とは、他者の行動の結果をモデルとして観察することで成立する学習の理論で、Banduraが提唱しました。
 Banduraは、人間においては直接学習より観察学習が支配的と考えました。


モデリングとは :

 モデリングとは、模倣や同一視といった概念を包括するものとしてBandura,A.が提唱し、「他者の行動やその結果をモデル(手本)として観察することにより,観察者の行動に変化が生ずる現象のこと」を指します。
 モデリングは、下記の4つのプロセスによって成立するという仮説を立てています。

  1. 注意過程(観察対象に注意を向ける)
  2. 保持過程(対象の行動の内容を記憶する)
  3. 運動再生過程(実際にその行動を模倣してみる)
  4. 動機づけ過程(学習した行動を遂行するモチベーションを高める)」

 ここで重要なことは、他者の行動を観察することが自分の行動の変容に結びつくということですが、この事は、実際の強化や罰以外に、イメージによる強化が意味を持つということを意味します。
 そして、イメージによる強化の形態には、次の3つがあるとされています。

  1. 外的強化: 実際の報酬ですが、報酬を得られるという予期だけで強化が成立するのが社会的学習理論の特徴です。
  2. 代理強化: 被観察者(観察された他者)が得られる報酬(外的強化)が強化の役目を果たします。
  3. 自己強化: ある基準に自分の行動が達した時、自分で自分に報酬を与えることが強化の役目をします。

自己効力感(self-efficacy)とは

 Bandura,A(バンデューラ) は社会的学習に関連して、人間の行動を決定する重要な要因として「自己効力感」を提唱しました。
 自己効力感とは、「自分が行為の主体であり、自分が行為を統制しており、外部からの要請に対応できるという確信の程度」のことを指します。
 自分の働きかけが外界に影響を与える事に対する自己評価であり、未来、将来的な確信の程度とも言えます。


 自己効力感の認識に影響を与える要因として、バンデューラは次の4つを挙げています。

  1. 制御体験:
     「行動を制御することで行動達成が行えたという経験」の事であり、最も効果的です(直接の体験)。制御体験の失敗はマイナスの影響となります。
  2. 代理経験:
     他者の行動結果を観察する事に伴う体験です。これが観察学習です。
  3. 言語的説得:
     成功できると思わさせるような他者の言葉による説得です。効果はありますが、経験が無く困難に直面すると急速に消失します。
  4. 生理的情緒的状態:
     自分の生理的や情動的な状況についての体験的自覚が自己効力の判断の手掛かりとなります。
     緊張や震えなどの生理的反応があると、成功を予期が弱まり自己効力感が感じにくくなります。

 その後の研究で、上記4つ以外にも自己効力感に影響を与える要因として、下記の報告されています。

  1. 意味づけ: 行動に対する意味づけや必要性が、自己効力感を高める。
  2. 方略: 課題を達成するための方略を知っていて活用できる事が、自己効力感を高める
  3. 能力への原因帰属: 結果に対する原因を能力だと考える方が(努力より能力を原因とする)、自己効力感を高める。
  4. ソーシャルサポート: 活用できる社会的資源を多く認識している事が、自己効力感を高める。
  5. 健康状態など: 高齢者は身体的な衰えが自己効力感を低下させる。
相互決定主義 :

 Bandura,A は、社会的認知理論(社会的学習理論の発展)の中で相互決定主義に立っています。
 相互決定主義とは、「行動」「環境要因」「個人要因」の三者は、相互に影響を与え合い、互いの決定因になるという考え方です。
 自己効力感は行動に影響を与え、行動はそれに伴う体験(制御体験等)を通して、自己効力感に影響を与えるといった事だと思われます。


自尊感情・自己肯定感 :

 自己効力感の類似用語に、「自尊感情」や「自己肯定感」があります。それぞれの意味を合わせて記載しておきます。

  1. 自尊感情(Self-esteem):
     自分自身の価値と能力に対する感情や評価をさします。自尊感情が高いとは自分を価値あるものとして評価している事を意味します。
  2. 自己肯定感(Self-affirmation):
     自らの在り方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味します。定義が多く、現在の自分を自分であると認める感覚、自己に対して肯定的で、好ましく思うような態度や感情といった定義や、自尊感情を包括しているものもあります。


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