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心理学用語集: 発達障害(概要)

3 - 精神病理発達障害 > 21- 発達障害(概要)

 ここでは、「発達障害の定義と種類」と「援助の概要」についてまとめます。


発達障害の定義と種類

 「発達障害」とは、幼少の頃から認知や行動のさまざまな発達に対して、標準的な発達状況と比較すると遅れが見られることをさしています。
WHOの疾患分類である「ICD-10」における発達障害の定義は以下の3つからなります。

  1. 発症は常に乳幼児、あるいは小児期であること。
  2. 中枢神経系の生物学的成熟に深く関係した機能発達の障害、あるいは遅滞であること。
  3. 精神障害の多くを特徴づけている寛解や再発の見られない固定した経過であること。

*寛解(かんかい):症状が落ち着いて軽快とした状態。治癒とは異なり治る事を意味しない。

発達障害の種類として代表的なものを下表にまとめます。
 各障害の境界は曖昧で重なり合っていることも少なくないです。DSM-5では、重複診断が可能となりました。(自閉スペクトラム症と注意欠如/多動症の併存など)

種類内容
知的障害
(知的能力障害)
精神の発達停止あるいは発達不全の状態であり、認知・言語・運動及び社会的能力の障害。ICD-10では独立しており発達障害には含まれない。
限局性学習症
(限局性学習障害)
知的能力に障害はないが、読字、書字、計算などに対する学習の障害。
自閉スペクトラム症:ASD
(自閉症スペクトラム障害)
社会的コミュニケーションや対人相互作用の困難さの障害であり、行動や興味などの極度の限定や過敏性なども特徴としている。
自閉症、アスペルガー障害などが含まれる。
注意欠如/多動症:AD/HD
(注意欠如/多動性障害)
不注意(集中が持続しない)の問題と多動性(落ち着きがない)、衝動性の問題を有している障害。
チック症群
(チック障害群)
突発的、急速、反復性、非律動性運動または発声のことである「チック」を特徴とした障害。(非律動性:律することができない)
トゥレット症に代表される。
発達性協調運動症
(発達性協調運動障害)
運動発達の遅れ、物を落とす、不器用などの障害。

  ICD-10では「知的障害」を独立して扱い、発達障害には含まれません。日本の法律においても知的障害は「発達障害」に含まれず、福祉法も「知的障害者福祉法」と「発達障害者支援法」と分かれています。

その他、言語の習得と使用における障害である「言語症」や、言語・非言語コミュニケーションの社会的使用における障害である「社会的コミュニケーション症」などのコミュニケーション症群(DSM-5)といったものもあります。

「分離不安症」や「選択制緘黙」も発達障害として扱われますが、ここではDSM-5に準拠し、「不安症群(不安障害群)」のなかで記載します。


援助の概要

 発達障害によって、「自尊心の低下、学習困難、抑うつ、いじめ、不登校」などの二次障害がもたらされることが多くあります。
発達障害の援助には、それらの2次障害を防ぐという目的も含まれます。

 発達障害の援助のためには、本人やその家族、そして周囲の人々が障害と特性に関して理解することが重要となります。
 また、障害をもつ子どもの特性や状態に応じた個別的で具体的な対応が必要とされます。
援助方法としては、内省を促すようなカウンセリングよりも、「環境整備」や「ソーシャルスキルトレーニング」が挙げられます。 また、障害によっては薬物療法がおこなわれます(例:注意欠如/多動症など)。

 環境整備のひとつには、学校における「合理的配慮」があり、教室の座席の位置を調整したり、視覚的な教材を用意するといった調整のことです。
 また、ソーシャルスキルトレーニングを通して、早い段階から社会生活のために必要なスキルや対人交流スキルが訓練できるように働きかけます。
 
 スクールカウンセラーは、「心理的アセスメント」、「子どもへの心理支援」、「教員・保護者らへのコンサルテーション」を行うことが求められます。障害をもつ子どもに対する「合理的配慮」の具体化においては、児童生徒の援助のニーズおよび、意思の把握、ニーズに応じる方法の提案と、合理的配慮を決定するプロセスにおいて、保護者等を心理的に援助します。
 
*合理的配慮:障害者から何らかの助けを求める意思の表明があった場合、過度な負担になり過ぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要な便宜のこと。



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