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心理学用語集: キャリア理論

1 - 基礎心理学産業心理学 >69- キャリア理論

 キャリアは「個人の生涯にわたる職業選択の活動や態度」や「生涯にわたる役割や生き方のプロセス」などと定義されます。ここでは、「キャリア理論」について説明します。

用語:スーパー (Super)の理論 [ライフステージ, ライフ・キャリア・レインボー, キャリア・アダプタビリティ, アーチモデル ]/
シャイン (Schein)のキャリア・アンカーコンピテンシーキャリア・ラダーキャリア・プラトー



Super(スーパー)のキャリア理論

 Super(スーパー)は「ライフステージ(ライフスパン)」、「ライフ・キャリア・レインボー」、「キャリア・アダプタビリティ」、「アーチモデル」といったキャリアに関する概念を提唱しました。

  1. ライフステージ(ライフスパン):
     キャリアは人生の一連の過程における継続的な「発達的なプロセス」であると考えに基づき、キャリアの発達的な段階を「ライフステージ」と呼びました。
     ライフステージは、「成長段階」「探索段階」「確立段階」「維持段階」「下降(解放)段階」の5段階であると考えます。
  2. ライフ・キャリア・レインボー
     キャリアを「人生における役割の組み合わせである」と定義し、ライフステージとライフロール(役割)を組み合わせた「ライフ・キャリア・レインボー」を考えました(組合わせた図が虹のような形になる)。
     ライフロールには「子供、学生、市民、労働者、配偶者、親、余暇を楽しむ人」といったものがあり、各ライフステージにおいて、各役割とその度合いが組み合わさったものがキャリアとなります。

     例)高校生の時代は、役割として「1. 子供」「2. 学生」「3. 余暇を楽しむ人」の3つを担う。「1.子ども」の役割の度合いは成長とともに少なくなる。
  3. キャリア・アダプタビリティ
     成人のキャリア発達において重要となるものは、仕事内容や条件とその変化に対する適応力であると考え、その適応力を「キャリア・アダプタビリティ」と呼びました。
    (一方、思春期までのキャリア発達において重要になるものは「成熟」であると考えた。)
  4. アーチモデル:
     キャリアにおいて自己を確立するには自己概念(役割の自己概念)を形成し、実現していくことが重要であると考えました。
     アーチモデルとは、「生物学的・地理的要因」を土台とし、「パーソナリティ」と「社会的要因」を柱としたアーチの頂点に「自己概念」と「自己」が存在するという概念です。
     すなわち、自己の確立と自己概念の形成は、生物学的・地理的要因、パーソナリティ(心理学的)、社会的要因の影響を受けるという考えます。


Schein(シャイン)のキャリア・アンカー

 キャリア・アンカーとは、個人が選択するときに絶対に譲れない「欲求・価値観・能力など」のことであり、シャイン(Schein, E.H.)が提唱しました。
 キャリアに対する根源的な指向であり、「才能・能力」「動機・欲求」「態度・価値」といった自己のイメージ・認識パターンの相互作用によって形成されてゆきます。

 キャリア・アンカーには下記の8種類があるとされます。

  1. 専門コンピテンス(TF): 専門的な分野で能力を発揮する
  2. 経営管理コンピタンス(GM): 集団の統率や権限を行使する柔軟な能力を発揮する
  3. 自律(AU): 自分の裁量で仕事を進めていく
  4. 安定(SE): キャリアや経済的安定を得る
  5. 企業家的創造性(CE): 新しいものを創り出す、築き上げる
  6. 社会への貢献(SV): 暮らしやすい社会の実現や他者の救済、価値ある事へ取り組む
  7. チャレンジ(CH): 困難の克服、問題解決、人と競争をする
  8. 全体性と調和(LS): 個人的な欲求や家族の要望など、全体のバランスや調整をとる
コンピテンス・コンピテンシー:

 「コンピテンス」とは、物事を成功させたり効率的に行うための「能力や技量」のことです。
 「コンピテンシー」とは、職務や役割における効果的な行動、優れた行動に結びつく「個人特性」のことです。高業績者の行動特性ともされます。
 コンピテンスが一般的な能力を意味しますが、コンピテンシーは他との差別化(高業績)につながる特性・能力を意味します。 



キャリア・ラダーとキャリア・プラトー
キャリア・ラダー:

 キャリア・ラダーとは、組織におけるキャリアアップ(昇進等)のための「はしご(ラダー)」を意味する能力開発や人事制度のシステムです。
 はしごを昇るように下位職から上位職へとキャリアアップできるように、仕事内容を難易度や賃金に応じて複数の職階に細分化し、それらに必要なスキルを明確にした仕組みです。


キャリア・プラトー:

 キャリア・プラトーとは、昇進や能力が停滞している(頭打ち状態)の事です(高原=プラトーを上り続けると、その先が台地=平らとなっている様子から)。
 中年期を迎えると昇進の見通しがわかる、能力の限界や成長ができない事を感じるといったことから、キャリアプラトーになることが多くみられます。



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